シューマン ダヴィッド同盟舞曲集 作品6/Schumann Die Davidsbundlertanze Op.6

「ダヴィッド同盟舞曲集」はシューマンが1837年に作曲し、後自費出版した18曲から成るピアノ曲集です。

「ダヴィッド同盟」というのはシューマンが考え出した架空の団体で、保守的な考えの人に対して新しい芸術を創作するために戦っていく人達の集まりの呼称です。 「謝肉祭」の中にも表れます。

当時、ロマン主義芸術家の間では芸術を理解しない保守的な俗物「ペリシテ人」に対抗する新しい芸術のための運動である同盟構想がよく行われておりました。

ダヴィッドとは旧約聖書に描かれているペリシテ人戦士ゴリアテを倒したダビデ王に由来しますが、同盟のメンバーはシューマン自身を表すフロレスタンやオイゼビウスやクララ・ヴィーク、フリードリヒ・ヴィークなどをモデルにした人物等で構成されております。 また実際の社会的活動として音楽評論雑誌を発刊したりもしておりました。

曲はシューマンとクララの将来の結婚式の前夜に集まった同盟員達の様子を描いており、フロレスタンとオイゼビウスという2人の人物が主役となっております。

フロレスタンはシューマンの中の明朗で積極的な「動」を表し、オイぜビウスは冷静で瞑想的な「静」の部分を表す人物として描かれております。

作品には初稿と第2稿があり初稿には曲の性格が動である時には「F]、静である時には「E」と書かれ、冒頭に格言も記述されていますが、第2稿ではこれらの記述は削除されております。

シューマン ダヴィッド同盟舞曲集♫~アラウ
シューマン ダヴィッド同盟舞曲集♫~コルトー
シューマン ダヴィッド同盟舞曲集♫~ギーゼキング



ピアニスト谷真子公式サイト

シューマン クライスレリアーナ 作品16/Schumann Kleisleriana Op.16

「クライスレリアーナ」はシューマンが1838年に作曲した8曲から成るピアノ曲集ですがショパンに献呈されております。

作家のE.T.A.ホフマンにシューマンは大変傾倒しておりましたが、ホフマンの書いた小説に登場する「楽長クライスラー」からタイトルの「クライスレリアーナ」は取られております。

シューマンは叶わぬ恋を描いたこの小説の主人公クライスラーに自分を重ね、当時結婚に反対され苦しんでいた自分とクララとの恋愛にも重ねあわせ、創作の源泉としたようです。

シューマンはこの時期に他にも傑作を多く生み出しております。

シューマン クライスレリアーナ♫~アルゲリッチ
シューマン クライスレリアーナ♫~ホロヴィッツ
シューマン クライスレリアーナ♫~ポリーニ


ピアニスト谷真子公式サイト

シューマン 森の情景 作品82/Schumann Waldszenen Op.82

シューマンの「森の情景」はシューマンが作曲した全9曲からなるピアノ独奏曲ですが、1848~1849年にかけて作曲され1850年に出版されました。

ドイツロマン主義者の詩人にとって「森」とは静寂、活気、神秘、情景といった趣を持つものでしたが、シューマンの「森の情景」は文学と音楽の結びつきをさらに高め、ロマン派詩人達の描いた「森」をモチーフとして作曲したと言われております。

作曲当時は各曲に短い詩が載せられておりましたが、出版に際して第4曲目の「気味の悪い場所」のフリードリッヒ・ヘッベルの詩以外は除かれました。

第1曲 森の入り口 / "Eintritt"
1
明るく始まるものの、陰と陽の対比がみられる曲です。 メロディーが高声、内声、低声と様々な音域で歌われていきます。

第2曲 茂みのなかで獲物を待ち伏せる狩人 / "Jager auf der Lauer"
2
 <森の入り口>から一転して、激しさを貫く曲です。 左右の手がユニゾンとなる部分が効果的に挿入されています。

第3曲 孤独な花 / "Einsame Blumen"
3
訴えかけるかのように、メロディーが上に下に曲線を描いていきます。 簡素な伴奏は、このメロディーを非常に引き立てております。

第4曲 気味の悪い場所 / "Verrufene Stelle"
4
この曲にのみ、冒頭に詩が添えられています。その内容は光の届かない森の中で高く伸びた花は青白く、ただ一本赤い花も、陽の光ではなく、大地の色、人間の血を吸い込んだ赤色をしているという不気味なものです。

第5曲 親しみのある風景 / "Freundliche Landschaft"
5

第6曲 宿 / "Herberge" 
6
主に高声で歌われるメロディーが、時折、中音域や低音域に移り、会話を連想させます。 メロディーそのものも、音形もリズムも共に、語りかけるような語尾が特徴的です。

第7曲 予言の鳥 / "Vogel als Prophet"
7
曲の中ほどで、ほんのひと時、コラール風の場面がみられます。 曲全体が、半音階的な音の動きに満たされています。

第8曲 狩の歌 / "Jagdlied" 
8
勇壮な趣に、どこか哀愁も感じられる曲です。

第9曲 別れ / "Abschied"
9

シューマン 森の情景♫~ピリス
シューマン 森の情景♫~リヒテル


ピアニスト谷真子公式サイト

シューマン パピヨン 作品2/Schumann Papillons Op.2

シューマンの「パピヨン」はシューマンが1829年から1831年のピアニストとしての活動を始めた直後のピアノ作品です。

タイトルとなっている”パピヨン”はドイツの詩人ジャン・パウルの文学の中で良く現れるロマン的な詩的理念の象徴ですが、シューマンはこのジャン・パウルに強く憧れ彼の詩を愛読しておりました。

シューマンの「パピヨン」はジャン・パウルの小説の「生意気ざかり」の最後の仮面舞踏会を音で表した曲ですが、家族に宛てた手紙の中でもそのように記しております。

夢想家のヴァルトと情熱家のヴルトという双子の兄弟が一人の女性に恋をし仮面舞踏会の一夜、二人は彼女がどちらを選ぶのか見極めようとします。

曲は6小節の序奏と12曲から構成されております。

序奏
P1030769.jpg

第1曲「仮面舞踏会」
ドルチェで仮面舞踏会の旋律が提示されます。 この旋律は後の「謝肉祭」の第6曲の「フロレスタン」にも引用されています。
1

第2曲「ヴァルト」
2

第3曲「ヴルト」
ヴァルトおよびヴルトは、小説に登場する双子の兄弟の名です。 ヴァルトは夢想家、ヴルトは行動家です。
3

第4曲「仮面」
4

第5曲「ヴィーナ」
ヴィーナは小説に登場する女性の名です。
5

第6曲「ヴルトの踊り」
6

第7曲「仮面の交換」
7

第8曲「告白」
8

第9曲「怒り」
9

第10曲「仮面を脱ぐ」
10

第11曲「大急ぎ」
11

第12曲「終景と帰り行く兄弟たち」
朝6時の鐘が鳴ると音楽はディミヌエンドしてppで終わります。 「謝肉祭」の終曲にも使われているメロディと第1曲の仮面舞踏会の旋律が絡み合います。
12

シューマン パピヨン♫~リヒテル
シューマン パピヨン♫~アラウ
シューマン パピヨン♫~デームス
シューマン パピヨン♫~ペライア


ピアニスト谷真子公式サイト♪ 


シューマン アレグロ ロ短調 Op.8/Schumann Allegro h-moll Op.8

P1030782.jpg

P1030767.jpg

シューマン(1810~1856)はドイツロマン派を代表する作曲家ですが、1830年、シューマンは20歳の時フランクフルトでパガニーニの演奏を聴き強い衝撃を受けます。 ヴィルトゥオーゾへの道を目指したシューマンは1830年作品1という作品番号を付して「アベッグ変奏曲」を完成致します。

それまで音楽の道に進むことを反対していた母親もこの作品を大変祝福し、シューマンは晴れて音楽家としての道を進む事を許されます。

「アレグロ」は初め「ロ短調のソナタ」の第1楽章として1831年から32年にかけて作曲が進められておりましたが「アレグロ」(作品8)として出版されました。

同時期に出版された曲に「パピヨン」(作品2)や「パガニーニの≪カプリス≫による練習曲」(作品3)などがあります。

シューマン アレグロ♫~デームス
シューマン アレグロ♫~ラローチャ



ピアニスト谷真子公式サイト



シューマン フモレスケ 変ロ長調 作品20/Schumann Humoreske B-Dur Op.20

フモレスケはシューマンが1839年に作曲したピアノ独奏曲ですが、その当時シューマンはウイーンに住んでおりました。 同時期に作曲された曲としては「アラベスク」や「花の曲」があります。

後、結婚をするクララは当時はパリに滞在しておりましたが、シューマンはクララへの手紙の中でフモレスケの作品の中でクララへの愛を書き表しているとクララに書いております。

またシューマンは自身で「この世のあらゆる事から影響を受け、その気持ちを音楽で表すという方法を見つけた」と述べていますが、その言葉通りフモレスケはその表情を次々に変え捉えにくい作品となっております。

シューマンによるとフモレスケはドイツ人に特有なフモレスケ(人間の様々な感情が交差した状態)でいわゆるユーモアとは異なると言っております。

曲は大きく分けると7つの部分に分けられますが、5,6,7の部分を一つにまとめて考え5つに分ける解釈もあります。
1.単純に(Einfach 変ロ長調 4/4拍子)
1
2.性急に ("Hastig" ト短調 2/4拍子)
2
3.単純、繊細に "Einfach und zart" (ト短調 4/4拍子)
3
4.愛情をこめて ("Innig" 変ロ長調 4/4拍子)
4
5.非常に活発に ("Sehr lebhaft" ト短調-変ロ長調 2/4拍子)
5
6.いくらか華麗さをもって ("Mit einigem Pomp" ハ短調 4/4拍子)
6
7.最後に ("Zum Beschluss" 変ロ長調 4/4拍子)
7

シューマン フモレスケ♫~チョ・ソンジン
シューマン フモレスケ♫~ラローチャ
シューマン フモレスケ♫~ルプー


ピアニスト谷真子公式サイト

シューマン 幻想曲 ハ長調 作品17/Schumann Fantasie C-Dur Op.17

今日はシューマンの幻想曲 ハ長調 作品17について簡単に書いて見ようと思います。

ベート-ヴェンによって古典派ソナタは完成し、時代は新しいロマン派ソナタを求めておりました。 ベートーヴェンの晩年の作品、シューベルトにその時代の変遷はみられますが、、シューマン、リストらロマン派の作曲家達によって新しいロマン派ソナタの曲が作曲されていきます。

その中で幻想曲ハ長調はシューマン作曲のピアノのための作品でソナタ風幻想曲です。 

1835年リストらを中心にしてボンにベートーヴェン記念像の建立が計画され、シューマンも発起人として寄付を目的に1836年から1838年にかけてこの曲を作曲しました。

当初は「フロレスタンとオイゼビウスによる大ソナタ」と題され各楽章にも表題が付けられていましたが、出版社の意向でこれは外され冒頭にはドイツの文学者シュレーゲルの詩の一部が掲げられております。

作品はリストに献呈され返礼としてリストからはシューマンに「ピアノソナタロ短調」が贈られております。

第1楽章
ベートーヴェンらしいソナタ形式で書かれていますが、シューマン的な手法が見られます。 楽章の終わりの方ではベートーヴェンの歌曲”遥かなる恋人に”の一部が現れます。
第2楽章
初めはこの楽章には「凱旋門」という標題が付けられており、壮大な行進曲となっております。
第3楽章
ベートーヴェンのピアノソナタ作品111の終楽章を想い出すような曲ですが、シューマンらしいロマンティシズムに溢れた曲です。

シューマン 幻想曲♫~ホロヴィッツ
シューマン 幻想曲♫~リヒテル
シューマン 幻想曲♫~ブレンデル
シューマン 幻想曲♫~ペルルミュテール
シューマン 幻想曲♫~ガブリリュク

シューマン 幻想曲♫~谷真子



ピアニスト谷真子公式サイト

シューマン ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44/Schumann Quintett fur Klavier und Streichquartetto Es-Dur Op.44

ピアノ五重奏曲作品44はピアノと弦楽四重奏(2本のヴァイオリン・ビオラ・チェロ)のために書かれたシューマンの代表的な室内楽作品です。

ごく初期のピアノ四重奏曲を例外として、シューマンはこの年までに室内楽作品を一曲も完成させていませんでしたが、「室内楽の年」と言われる1842年中に3曲の弦楽四重奏曲とこのピアノ四重奏曲を作曲しており、この曲は1842年9月から10月にかけてのわずか数週間のうちに作曲されました。

妻のクララ・シューマンに献呈され、初演も翌1843年1月8日ライプツィヒにてクララ・シューマンのピアノで行われました。

この時、聴衆の中にはドイツロマン派に批判的態度を示していたベルリオーズもおりこの曲に非常に感激したと伝えられております。

またシューマンの家でこの曲を聴いたリストは「余りにもライプツィヒ過ぎる」とあまり褒めず、この事をきっかけにシューマンはリストと距離をおくようになります。

シューマン ピアノ五重奏曲♫~アルゲリッチ
シューマン ピアノ五重奏曲♫~ゼルキン
シューマン ピアノ五重奏曲♫~コチシュ
シューマン ピアノ五重奏曲♫~トリフォノフ
シューマン ピアノ五重奏曲♫~コブリン


ピアニスト谷真子公式サイト



シューマン トッカータ ハ長調 作品7/Schumann Toccata C-Dur Op.7

シューマン(1810~1856)のトッカータは1833年に書かれたピアノ独奏曲ですが、この頃のシューマンはピアニストを目指しておりパガニーニの曲をピアノのために編曲するなどしてピアノ演奏技術の向上を目指しておりました。

そのような時期に書かれたこの曲は、きわめて高い演奏技術を前面に押し出し技巧を追求した曲で、華やかな外面的効果を狙った作品です。

親友のピアニスト・作曲家のルートヴィッヒ・シュンケに献呈され、シュンケは返礼として「大ソナタト短調」作品3を献呈しますが翌1834年肺結核で夭折したため、後シューマンは自作のピアノ協奏曲に「大ソナタ」の一節を引用しております。

1830年に書かれたトッカータの初稿は「練習曲」と題されておりますが、近年自筆譜が発見され2009年にヘンレ社から出版されております。

曲はソナタ形式で書かれておりますが、活気溢れた運動性の強い曲の中に叙情的なメロディや緻密な和声、対位法的書法までもが盛り込まれ、様々な作曲技法が光る名曲です。

P1030211.jpg

シューマン トッカータ♫~シフラ
シューマン トッカータ♫~ホロヴィッツ
シューマン トッカータ♫~キーシン
シューマン トッカータ♫~アルゲリッチ
シューマン トッカータ♫~リヒテル
シューマン トッカータ♫~フランソワ
シューマン トッカータ♫~ケンプ

P1030210.jpg
ホロヴィッツ(ピアノ)


ピアニスト谷真子公式サイト




シューマン ピアノ・ソナタ第1番 嬰へ短調 作品11/Schumann Klaviersonate fis-moll Op.11

シューマン(1810~1856)の「ピアノ・ソナタ第1番」はシューマンの1832~1836年にかけて作曲され1836年に出版されております。

シューマンが初めてソナタ形式に挑戦したもので、初版は「フロレスタンとオイゼビウスによるピアノ・ソナタ、クララに献呈」と題されております。

シューマンは3曲のピアノ・ソナタと未完の4番を残しておりますが、当時シューマンはこのピアノ・ソナタ第1番は生命力が乏しい事を述べ、ソナタ形式そのものに限界があり今後より自由で新しいものを創造すべきだと書き残しております。 しかし現在では数多く演奏され多くの演奏家のレパートリーとなっております。

P1020948.jpg
第1楽章 序奏付きソナタ楽章 嬰へ短調
1
1832年の自作作品「アレグロ・ファンダンゴ」を改作したものです。 ファンダンゴとはスペインのアンダルシア地方に伝わる舞曲のリズムですが、シューマンの外交的な性格を象徴するような想像上の人物のフロレスタン的な要素が強いです。 長大な序奏が繰り広げられ、単に導入ではなく再現部の前の導入も兼ねており第2楽章アリアの主題も表れます。

第2楽章 アリア イ長調
2
1827年の自作歌曲「アンナに寄せて(ケルナー詩)」に基づいて書かれたもので、シューマンの内向的な一面を象徴するオイぜビウス的な要素が強い楽章です。 非常に美しく簡潔に書かれております。 第1楽章の主要モティーフである左手5度の動機も効果的に扱われております。

第3楽章 スケルツォと間奏曲 嬰へ短調
3
スケルツォ楽章でありながらロンド形式に近く、このような要素を持ち込む事によりシューマンらしい古い習慣への皮肉が込められていると言われております。

第4楽章 フィナーレ 嬰へ短調
4
繰り返されるフロレスタン的な主題にオイぜビウス的なフレーズを持つ対位楽想も加えられ情熱的なコーダでしめくくられております。 分厚い和音の主題に始まる長大な終楽章ですが自由なロンド楽章で様々な要素が持ち込まれ形式的には複雑を極めております。

シューマン ピアノ・ソナタ第1番♫~キーシン
シューマン ピアノ・ソナタ第1番♫~アラウ
シューマン ピアノ・ソナタ第1番♫~ギーゼキング
シューマン ピアノ・ソナタ第1番♫~ギレリス
シューマン ピアノ・ソナタ第1番♫~アヴデーエワNo.1
シューマン ピアノ・ソナタ第1番♫~アヴデーエワNo.2
シューマン ピアノ・ソナタ第1番♫~コブリン


レッスン問い合わせ

 




シューマン アラベスク ハ長調 作品18/Schumann Arabeske in C major Op.18

シューマンの「アラベスク」はドイツ ロマン派の化身ともいわれる思索的でロマンに満ちたロヴェルト・シューマン(1810~1856)の本領が示された幻想溢れた名作です。

1839年ウイーン時代に作曲されたシューマンの代表作のピアノ曲ですが、題名の「アラベスク」はアラビア風のという意味でアラビアの建築や工芸などに見られる唐草模様の装飾の事を指します。

P1020942.jpg

音楽ではこの唐草模様を連想させる装飾的な性格の楽曲のタイトルに用いられ、ドビュッシーの「アラベスク」などいろいろありますが、最初に使用したのはシューマンでした。

曲はABACA+コーダのロンド形式です。 付点リズムと内声部が絡み合う繊細な主題にホ短調とイ短調のエピソードが挿入されております。

Aの第1の部分がまさに唐草模様を見るような音楽で、その後もシューマンが綴った詩を聴くような美しい旋律が連なり、夢見心地なロマンの世界が描かれて曲は閉じられます。

P1020937.jpg
第1の部分A
1
ハ長調 4分の2拍子で軽快にそして柔らかくの指示があります。 付点のリズムのメロディが繊細に内声と絡み合いながらまるで唐草模様のように歌われていきます。

第2の部分B
2
Minore Ⅰと記されホ短調の少しゆっくりなテンポのエピソード風の部分です。 ソプラノとテノールがユニゾンでメロディを奏でる四声体で少し憂鬱な雰囲気です。

第3の部分A
3

P1020944.jpg
第1の部分の再現です。

第4の部分C
4
Minore Ⅱと記されます。 第1の部分のメロディを変形したイ短調の音形がドラマティックに展開していきます。

第5の部分A
P1020943.jpg
第1の部分の再現です。

第6の部分コーダ
6
ゆったりとしたメロディが夢見るようで静かに曲は終わります。

シュ―マン アラベスク♫~ケンプ
シューマン アラベスク♫~ホロヴィッツ
シューマン アラベスク♫~ポリー二
シューマン アラベスク♫~キーシン
シューマン アラベスク♫~ギレリス

P1020938.jpg
ホロヴィッツ


レッスン問い合わせ








シューマン ウイーンの謝肉祭の道化 Op.26/Schumann Faschingsschwank Aus Wien Op.26

「ウイーンの謝肉祭の道化」はロヴェルト・シューマン(1810~1856)が1839年作曲した全5曲から構成されるピアノ曲で、「幻想的絵画」(Phantasiebilder)という副題が付いております。 

クララとの結婚話がうまく進まなかったシューマンは1838年秋から1839年3月にかけてウイーンに滞在し、同地の謝肉祭の体験にインスパイアされたシューマンは、その賑やかさなどの様子を生き生きと幻想的に描写してこの曲を作曲いたしました。 そういう点では「アラベスク」や「花の曲」、「フモレスケ」などと連鎖し合った一作という事ができます。

シューマン自身はこの曲を「ロマンティックなショーピース」といささか揶揄的に呼び、副題からも判るように、構図は少し大味で曲想も非常に快活ないかにもシューマンがウイーンで体験した謝肉祭の喧噪や賑わいを描写した描写音楽的な側面は持っておりますが、シューマンが当初は「ロマンティックな大ソナタ」と名付けようとしていたように、内容は単なる描写音楽の小作品群というよりも、変則的な自由なソナタと捉える事ができます。

4曲はウイーン滞在中に作曲され最後の1曲はライプツィヒに帰郷した1839年の3月以降に書かれております。 出版は1841年ウイーンのブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版されております。

第1楽章アレグロ
1
古いフランス風ロンドの形態にエピソードが5つも挿入されておりその楽想の目まぐるしい移り変わりが賑やかな謝肉祭の雰囲気を巧みに描写しております。 第4エピソードに当時ウイーンでは演奏を禁じられていたフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の一部が登場いたします。

第2楽章ロマンツェ
2
三部形式で書かれた短く美しい抒情的な楽章です。 3拍子の移ろうかのような中間部が印象的です。

第3楽章スケルツィーノ
3
ロンド形式によるユーモラスなスケルツォです。 リズムと軽妙な躍動感が支柱となっております。

第4楽章インテルメッツォ
4
内声部の細かい3連音符の動きを背景に旋律線がくっきりと浮かび上がっております。 スフォルツアンドを多用したエネルギッシュな楽章でPの表示は終止和音で初めて現れます。

第5楽章フィナーレ
5
ソナタ形式による活気あふれる終曲です。 謝肉祭の喧騒が再び戻っております。 曲尾はプレストとなり高潮して全曲が終わっております。

シューマン ウイーンの謝肉祭の道化♫~リヒテル
シューマン ウイーンの謝肉祭の道化♫~ペライア
シューマン ウイーンの謝肉祭の道化♫~ラローチャ
シューマン ウイーンの謝肉祭の道化♫~ミケランジェリ
シューマン ウイーンの謝肉祭の道化♫~シフラ

P1020922.jpg
アシュケナージ


レッスン問い合わせ








シューマン 花の曲 変二長調 作品19

謹賀新年
本年もよろしくお願い申し上げます。

さて今日は新年に相応しいシューマンの「花の曲」をご紹介しようと思います。

シューマンは1838年10月から3月にかけてクララとの結婚話がうまくいかないためウイーンで一旗揚げようとウイーンに滞在いたします。 そのウイーン滞在中に作曲したピアノ曲の一つがこの「花の曲」です。

花のいろいろな姿をあらわしているような変化にも富み抒情的な美しさを持つ小品です。

毎年新年には恒例の「NEW YEAR CONCERT」が開かれその模様は全世界に中継されますが、 その会場でも毎年お花の美しさには音楽の素晴らしさを一層引き立たせてくれる美しさがございます。

一年のスタートを美しい音楽で飾って頂ければと思います。

シューマン 花の曲♫~アラウ
シューマン 花の曲♫~リヒテル
シューマン 花の曲♫~ホロヴィッツ
シューマン 花の曲♫~デームス

P1020884.jpg

P1020883.jpg
ホロヴィッツ

レッスン問い合わせ








シューマン 子供の情景 作品15

シューマン 「子供の情景作品15」はロヴェルト・シューマン(1810~1856)の作曲したピアノ曲の代表曲の一つですが、特にその第7曲「トロイメライ」はヴァイオリンやチェロにも編曲されておりよく演奏されますので皆様お聴きになられたことがあるのではないかと思います。

シューマン トロイメライ♫~谷真子、ニコラ・デルタイユ(チェロ)

シューマン 「子供の情景」は1848年シューマンの語るところによると「子供の学習用のピアノ曲ではなくと、むしろ年とった人の回想であり子供心を描いた大人のための作品である」と書いております。 シューマンの子供の世界への憧れと自分の回想がこの曲集になったと言えるのではないかと思います。

また1838年3月7日にシューマンはクララに宛てて次のような手紙を書いております。「子供のための服を着た気分になってこの曲を作曲しました。 あなたは、前に私のことを時々子供みたいなところがあるといいましたけれども、その言葉が私の胸に残っていて、それがちょうど羽根を与えられたかのように余韻となって30曲ほどの小さな曲を書きました。 その中から12曲ばかりを選び、それに”子供の情景”というタイトルを付けました。 私はこの曲集を誇りに思っております。」

結果として13曲からなる曲集となりましたが、演奏技巧上は決して高度ではなく平易に書かれておりますが、面白くその世界を描写するのは容易いことではありません。 シューマン独特の幻想的な世界を繰り広げるのはかなり難しい作品ではないかと思います。

シューマンは1829年から1830年にかけて作品1のアベッグ変奏曲を作曲致しますが、そのあと10年間はピアノに集中して作品が生み出されております。 そのような中で「子供の情景」は1838年に作曲されましたがそれぞれの曲の個性と相互の関連を意識しながら聴くとシューマンのこの曲に込めた統一感が感じられます。

P1020878.jpg
第1曲
見知らぬ国と人々について
1

第2曲
不思議なお話
2

第3曲
鬼ごっこ
3

第4曲
おねだりする子供
4

第5曲
大満足
5

第6曲
重大事件
6

第7曲
トロイメライ
7

第8曲
炉辺にて
8

第9曲
木馬の騎士
9

第10曲
むきになって
10

第11曲
びっくり
11

第12曲
子供は眠る
12

第13曲
詩人のお話
13

シューマン 子供の情景♫~アルゲリッチ
シューマン 子供の情景♫~ピリス
シューマン 子供の情景♫~クララ・ハスキル
シューマン 子供の情景♫~ホロヴィッツ
シューマン 子供の情景♫~ルプー

P1020879.jpg
ホロヴィッツ

P1020880.jpg
クラウス・シルデ


レッスン問い合わせ



シューマン 幻想小曲集 Op.12

シューマン(1810~1856)の「幻想小曲集作品12」は8つの小品からなるピアノ曲集ですが、それぞれに詩的なタイトルが付けられておりながら、互いに深い関連性があり、統一感を持ってまとめあげられた作品です。

どの曲もファンタジー豊かな小品ですが、各曲のコントラストと調和と均衡は見事で、シューマンらしい幻想的な美しい作品となっております。

1837年から1838年にかけて作曲され、1838年ライプツィヒのブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版、シューマンと親交のあったイギリスの女流ピアニストのアンナ・ロビーナ・レードロウに献呈されております。

この曲集には知られている8曲の他にシューマンが1835年に「スイス音楽時報」に発表した無題の第9曲が存在し、草稿時には9曲でしたが出版された時には削除されて8曲となっております。 ピアニストによって第9曲の扱い方は異なります。
P1020806.jpg
アルゲリッチ
P1020807.jpg
アラウ

また「幻想小曲集」というタイトルはシューマンが傾倒したドイツロマン派の小説家ホフマンの「カロ風幻想作品集」に由来しております。

ちなみにシューマンが「幻想小曲集」と名付けた作品は他に作品73(クラリネットとピアノ)、作品88(ピアノ三重奏)、作品111(ピアノ独奏)があります。

第1曲「夕べに」Des Abends
1
同じ旋律が繰り返されますが微妙な転調による色づけがまるで夕暮れの空の織りなす綾を見ているようです。

第2曲「飛翔」Aufschwung
2
第1曲目とは対照的に急速なリズムの中で次々と音楽的なイメージが飛翔する作品です。

第3曲「なぜに」Warum?
3
冒頭に提示される6音からの音型の繰り返しが「なぜ?」という気持ちを代弁するかのようです。

第4曲「気紛れ」Grillen
P1020801.jpg
スケルツォ的性格の作品です。 調やリズムの扱いに「気紛れ」なムードが出ております。

第5曲「夜に」In der Nacht
5
クララに宛てた手紙の中で、ホフマンの「ヘロとレアンダー」という物語に出てくるエピソードを引用しています。 それは灯台の下で毎晩たいまつを掲げて待つ女のもとに男が海を泳いで渡って会いに行くという幻想的な恋人たちのエピソードです。

第6曲「寓話」Fabel
6
緩やかな音楽とスケルツァンド風な音楽が対比しながら曲は進んで行きます。

第7曲「夢のもつれ」Traumes-Wirren
7
A-B-A'という三部形式の作品です。 常に運動を続けるAとコラール風のBの対比が鮮やかです。 

第8曲「歌の終わり」Ende vom Lied
8
クララに「曲集の終わりはすべてが楽しい結婚式へと思いましたが、君を想う胸の痛みのため、婚礼の鐘と葬式の鐘が入り混じって聴こえてきます。」と書き送っています。  快速なテンポで婚礼の喜びが歌われますが、最後のコーダ↓では一転して瞑想的な雰囲気になり鐘の音が響き渡ります。
P1020802.jpg

第9曲「無題」ANHANG
9

シューマン 幻想小曲集 作品12♫~アルゲリッチ
シューマン 幻想小曲集 作品12♫~イエルク・デームス

シューマン 幻想小曲集 作品12より~谷真子(高1)

P1020803.jpg
アラウ

P1020804.jpg
アルゲリッチ

P1020805.jpg
ブレンデル


明日はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番について書きます。

レッスン問い合わせ







シューマンの幻想曲の暗譜の仕方

カテゴリー♪阿部裕之先生♪の記事の中に入っております。

シューマン ピアノ協奏曲 イ短調 作品54

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

シューマン(1810~1856)のピアノ協奏曲イ短調はシューマンが遺した唯一の完成されたピアノ協奏曲ですが、シューマンは若い頃からピアノ協奏曲の作曲を試みていたことは確かなようで、管弦楽の用法に苦心し未完成に終わっていたようです。

しかし1840年クララと結婚してからは、すぐれた管弦楽の作品を残しており、1841年には「ピアノと管弦楽のための幻想曲」イ短調を書いております。 これは以前の未完の作品とは違いかなりすぐれていたためかなりの成功を収めていたようですが、まだ協奏曲ではありませんでした。

その4年後の1845年にシューマンはメンデルスゾーンのピアノ協奏曲を聴き、また妻クララの希望もあって、「ピアノと管弦楽のための幻想曲」を一部手直しをして第1楽章とし、さらに間奏曲とフィナーレを作曲して「ピアノ協奏曲イ短調」を完成させました。

4年間の空白があるのにも関わらず全曲の統一感は見事でピアノと管弦楽の用法がさらに充実しておりピアノ入りの交響楽的な性格が一層鮮明になっております。 またピアノと管弦楽の対比を強調しながらピアノと管弦楽を融合させるというシューマン独自の音楽の世界も見出せます。

初演は1845年ドレスデンでクララの独奏によって行われ、翌1846年にはライプツイヒでクララ独奏、メンデルスゾーン指揮で演奏されたようです。 またその1年後にはウイーンでクララ独奏、シューマン指揮で演奏が行われております。 第2楽章と第3楽章は続けて演奏されます。

シューマン ピアノ協奏曲 イ短調♫~エフゲニー・キーシン
シューマン ピアノ協奏曲 イ短調♫~マルタ・アルゲリッチ
シューマン ピアノ協奏曲 イ短調♫~アルフレッド・ブレンデル

P1020565.jpg

P1020566.jpg
第1楽章

P1020567.jpg
第2楽章

P1020568.jpg
第3楽章

P1020569.jpg
ピアノ協奏曲 イ短調CD~アルフレッド・コルトー

P1020570.jpg
ピアノ協奏曲 イ短調CD~アルフレッド・ブレンデル


明日はショパンの即興曲4曲について書きます。

12/5(土) 16:00~17:00 NHKEテレで「日本音コン本選ドキュメント」が放送されます。

私が師事する♪阿部裕之先生♪も第49回日本音楽コンクールで第1位に輝いていらっしゃいます。 日本音楽コンクールは日本で一番歴史のある音楽コンクールで、数多くのアーティストを輩出している日本で最も権威あるコンクールです。 是非ご覧頂けたらと思います。












シューマン 交響的練習曲 作品13

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

1834年から1837年にかけて作曲されたピアノ曲の大作のシューマンの「交響的練習曲」は、独奏的なピア二ズムと楽器を交響的に扱う表現力の豊かさでピアノ作品の中でも名作と言われ独特の地位を保っている作品です。

主題と12の練習曲から成立しておりますが、もとは18の練習曲から成立しておりました。 シュ―マンはその内6曲を削ってしまいましたが、彼の死後ブラームスがこの曲の編集を行った時にシューマンが削っていた曲の中から5曲を復活させました。 それは現在「遺作変奏曲」として演奏されております。 この「遺作変奏曲」の5曲は12の練習曲の曲間のどこにでもピアニストが自由に挿入でき、どこに挿入して演奏するかは各ピアニストによって違っております。

この5曲の「遺作変奏曲」にはシューマンのオイゼビウス的側面が色濃く出ておりそれをどう扱うかによってピアニストの解釈がよく分かります。


*****
オイぜビウスとは?
シューマンの夢想的で内向的側面の事。 反対に情熱的で外交的な側面をフロレスタンという。 シューマンはペンネームで両方を使い分けており全作品に見えるシューマンの性格である。


主題は作曲当時24歳だったシューマンが思いを寄せていたエルネスティーネ・フォン・フリッケンの養父で音楽好きのフリッケン男爵の作曲したフルート独奏のための変奏曲の主題をもとに書かれております。 そのアマチュア音楽家の書いた主題をシューマンは見事に深い響きと豊かな色彩の音楽に変身させております。

主題のモティーフのC#-G#-E-C#が分散したり伴奏に潜り込んだりして全曲に渡って使われております。 第1練習曲は跳躍するようなリズムの快活な曲です。 第2練習曲は交響的な新しい響きとなっております。 第3練習曲は静かな内声の歌い方が心に響きます。 第4練習曲から第6練習曲は曲の中枢部分で充実感に溢れた音楽です。 第7と第8練習曲も中枢部分の続きで表現が多彩です。 第9練習曲は毅然とした曲想で曲をしめております。 第10練習曲・第11練習曲はダイナミックで快活なリズムです。 そしてフィナーレへと導かれます。

シューマン 交響的練習曲♫~エフゲニー・キーシン No.1
シューマン 交響的練習曲♫~エフゲニー・キーシン No.2
シューマン 交響的練習曲♫~エフゲニー・キーシン No.3
シューマン 交響的練習曲♫~リヒテル

P1020491.jpg
交響的練習曲CD~アルフレッド・ブレンデル

P1020492.jpg
交響的練習曲CD~エフゲニー・キーシン


火曜日はリストの3つの演奏会用練習曲 S.144から 「ため息」について書きます。 この曲はフィギュアスケートの宮原知子選手が今季のフリーで使用している曲ですが甘美な詩情にあふれた美しい曲です。









シューマン アベッグ変奏曲 作品1

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

シューマン(1810~1856)のアベッグ変奏曲は1829年から1830年にかけてライプツィヒで書かれたシューマン20歳の時の意欲的なデビュー作です。 正式なタイトルは「アベッグの名による主題の、ピアノのための変奏曲」です。

シューマンは初めはピアニストを目指しておりましたが、練習しすぎからの手の故障によりピア二ストへの道を断念致します。 音楽家への夢は大きかったようですが家庭の事情によりライプツィヒ大学で法律をお勉強する事になります。 その中この「アベッグ変奏曲」を上梓する事によって新進気鋭の作曲家としてスタートできた彼の喜びと気概はひとしおのものがあったようで、それを母に伝える手紙も残されております。

献呈者は伯爵令嬢パウリーネ・フォン・アベッグとなっておりますが、これは架空の人物でシューマンのユーモア精神溢れた想像力の産物だろうと考えられます。 モデルとして推察できる人物はシューマンの周りに数名おりますが、彼の心に深く関わったという事実はございません。

ですからシューマンの周りの親しい存在の人をAbeggという名に置き換え空想を膨らませその綴りのA-B-E-G-Gを音に置き換え主題を作り創作したと考えるのが至当なのではないかと思います。

しかしこの創作態度が初期ロマン派的でもあり後のシューマンの作風の核とも言えるのではないかと思います。 そういう意味でこのデビュー作はシューマンの作品の中で非常に重要な作品と言えるのではないかと思います。

当時としてはオペラの旋律を主題としていないのも斬新な発想だったようですが、表題の綴りをドイツ音名に置き換え主要動機を作っていくという文学的なアイデアがこの作品をさらにファンタスティックにさせているのではないかと思います。

主題は前述の通りABEGGの5音からなる動機で始まり若々しくシンプルで清楚な主題です。 その後第1、第2、第3変奏と続きますが明確に変奏番号が打たれているのは第3変奏までで後は「カンタービレ」と「幻想曲風フィナーレ」と書かれているだけです。

ランランとキーシンの演奏にリンク致します。

シューマン アベッグ変奏曲 Op.1♫~ランラン
シューマン アベッグ変奏曲 Op.1♫~キーシン

P1020414.jpg
アシュケナージ

P1020413.jpg
キーシン デビューリサイタル

この曲は中学生の時♪故片岡みどり先生(当時相愛大学名誉教授)♪の元でお勉強した曲ですが、下の楽譜のご注意は片岡先生の楽譜から写させて頂いたものです。 片岡先生はいつもご自分の楽譜の注意をお勉強の前には写すようにおっしゃっていました。

P1020423.jpg

P1020424.jpg
主題

P1020425.jpg
第1変奏

P1020426.jpg
第2変奏

P1020427.jpg
第3変奏

P1020428.jpg
カンタービレ

P1020429.jpg
幻想曲風フィナーレ


明日はベートーヴェンの「創作主題による32の変奏曲 ハ短調」について書きます。











シューマン 「謝肉祭 Op.9」(11/4 第1稿目)

MESSAGE(11/4 第1稿目)
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

シューマン(1810~1856)はドイツロマン派を代表する作曲家ですが、比較的初期の20歳半ばの作品に「謝肉祭」という傑作があります。 この「謝肉祭」は2014年10月9日に大阪倶楽部で私が師事する♪阿部裕之先生♪が弾かれましたが、今日はこの作品について書いてみます。

この作品には副題として「4つの音に基ずく小景」と記されております。 4つの音とはA、es(音読みするとs)、c、hですがこれらを組み合わせるとAsch(アッシュ)となり、シューマンがクララと出会う前に婚約していたエルネスティーネの生まれ故郷の町の名前です。 「前口上」と「ショパン」を除く全ての曲にこの4つの音列が使われております。

シューマンは音楽批評を書いていた事でも有名ですが、初めての音楽批評は1832年のライプツィヒの音楽新聞に載せた「諸君、脱帽したまえ、天才だ」というショパンへの賛辞の批評です。 その後1834年に創刊された新音楽時報に「ダヴィッド同盟」というシューマンと音楽的意見を同じにする音楽家の団体(シューマンの心の中の架空の結社)の名前で音楽批評を展開していきます。

この批評にはシューマンの架空の結社「ダヴィッド同盟」の構成員が登場しますが、シューマンを表すフロレスタンとオイぜビウス、クララ、エルネスティーネ、そして音楽家のシューベルト、ショパン、パガ二ー二などが登場致します。

「謝肉祭Op.9」は前向きなシューマンの友人のダヴィッド(ダヴィデ王)同盟構成員達がカー二バルを祝い、踊り、楽しみ、その勢いで永遠に時代遅れの音楽界の俗物フィルステン(ペりシテ人)の討伐に向かうというあらすじの組曲になっております。 (ベートーヴェンが亡くなり、すぐ続いてシューベルトが亡くなりとした後のシューマンの音楽界への危惧が表現されているのかとも思われます。)

アデリーナ・ララ♪(クララの晩年の弟子)のCD
P1020124.jpg

前口上
前口上

ピエロ
アルルカン

高貴なワルツ(シューベルト)
高貴なワルツ

オイぜビウス(シューマン)
オイゼビウス

フロレスタン(シューマン)
フロレスタン

コケット
返事

スフィンクス
スフィンクス
[Es(S)-C-H-A] [As(AS)-C-H] [A-Es(S)-C-H]の音を長く伸ばして弾くと副題の謎解きができます。

蝶々
A.S.C.H.-S.C.H.A~.踊る文字

キアリーナ(クララ)
キアリーナ

ショパン
ショパン

エストレラ(エルネスティーネ)
エストレラ

再会
パンタロンとコロンビーヌ

ドイツ風ワルツ
ドイツ風ワルツ
クララの「ロマンティックなワルツ」作品4♫が引用されております

パガニーニ
パガニーニ

告白
プロムナード
休息

ぺリシテ人と戦うダヴィッド同盟の行進
行進

シューマン 「謝肉祭」♫~エフゲ二ー・キーシン(ピアノ)



***追記***
ダビデ王(ラテン語David)
旧約聖書に登場する古代イスラエルの王。 ペりシテ人のゴリアテと闘い勝利した話は有名。

フィルステン人(ラテン語Philistini)
旧約聖書に登場するペりシテ人の事。 古代イスラエルの主要な敵。 現代ヨーロッパでは「芸術や文学などに関心のない無趣味な人」の比喩で用いられる。

ベートーヴェン(1770~1827)、シューベルト(1797~1828)、シューマン(1810~1856)、ショパン(1810~1849)、パガニーニ(1782~1840)


続いて本日の第2稿目のブログの「指揮者 垣内悠希さんの年末・年始の日本での演奏会のご紹介」を書きます。





















アデリーナ・ララ(1872~1961)

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

現在、博士課程前期課程で研究テーマとしている「シューマン(1810~1856)の幻想曲Op,17」について書きたいと思います。

シューマンの幻想曲は3楽章から成る30分にも及ぶ大曲で、同時代の作曲家F.リストに献呈された曲です。(1836~1838)
第1楽章ではベートーベンの歌曲「遥かなる恋人へ」からの一節が引用されていたり、この曲の作られた背景にはクララ・シューマンとのエピソードなどいろいろな意味がこめられています。

ベートーヴェン歌曲集「遥かなる恋人に寄す」作品38~ヘルマン・プライ
ベートヴェン歌曲
ベートーヴェン歌曲

私は論文と並行して、7月4日に芦屋Classic Salonで、全楽章を演奏致しました。
この曲をご存知ない方がおられました、you tubeの方に公開しておりますので、一度聞いて頂けましたらうれしく思います。

you tubeよりシューマン幻想曲ハ長調Op.17~(谷真子)
https://youtu.be/h8cSdwEnnzg

ロベルト・シューマンは書店の息子として生まれ、大変な文学青年であったようです。
シューマンはライプツイヒ大学で法律を専攻しました。音楽大学での専門的な教育は受けていないですが、幼少より個人レッスンを受けており、音楽への夢をあきらめきれず、音楽家を志しました。もともとはピアニストになりたっかったようですが、練習のし過ぎで手を壊したのは有名です。

超絶技巧として有名な作曲家は同時代のF・リストですが、意外にもシューマンの曲の中にも超絶技巧的な箇所がよく出てきます。
これは当時、超絶技巧で有名であったヴァイオリニストのパガ二-二に憧れ、意識したものと言われています。


ロマン派のピアノ作品は、音楽以外の芸術から影響を受けている作品が多いのですが、シューマンの場合はその中でも文学と結びついている曲が多く、ホフマン(1776~1822)の「クライスラー」(1814~1815)からインスパイアされた「クライスレリアーナ」(1838)などはその代表的な例です。

シューマン クライスレリアーナ~マルタ・アルゲリッチ
https://youtu.be/S91cK2Z3z2I

ロベルト・シューマンの奥さんであるクララ・シューマンは当時とても人気のあるピアニストでした。 小学生用の伝記物のシリーズの本の中にもよく登場する人物ですので、小さいお子さんでもご存じの方も多いかと思います。
そのクララ・シューマンは当時ヨーロッパ中を演奏旅行していましたが、レッスンをすることにも熱心で晩年多くの弟子を育てました。 クララ・シューマンの晩年の自宅でのレッスンの様子は本の中にも記録として残されています。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3-%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9-%E5%8F%8B%E6%83%85%E3%81%AE%E6%9B%B8%E7%B0%A1-%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%9E%E3%83%B3/dp/4622077272
クララはシュ―マンの曲をコンサートで自分が初演し、レッスンではロヴェルト・シューマンがどのように演奏するように言っていたかを弟子に伝えていたようです。 アデリーナ・ララはクララの弟子で、ララのシューマンの幻想曲の演奏は現在録音されているCDの中では最も古く、シューマンに一番近い人物の演奏ではないかと思いますが、残念ながらそのCDは現在廃盤となり手に入らないようです。

Adelina de Lara(1872~1961)CDジャケットより
アデリーナ・ララ
アデリーナ・ララ

シューマン アラベスク~Adelina de Lara
https://youtu.be/c3pbO-GSnE8

余談ですが、クララ・シューマンによるドイツ語での料理のレシピ集なども残っています。

















Balazs MIKUSI ,PhD モーツァルトK.331自筆譜発見(ハンガリー国立セニーチェ図書館)

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

8月17日のブログで触れましたハンがリー国立セニーチェ図書館の世界を驚かせた出来事であるモーツァルト/ピアノ・ソナタK.331の自筆譜を発見されたのは、私がシューマンの写稿譜の事でお世話になった音楽部門主任のバラシュ・ミクシ氏でした。

8月17日ハンガリー国立セニーチェ図書館についての私のブログ


Dr. Mikusiにはシューマンの写稿譜をお送り頂く時、大変お世話になりました。

Dr. Mikusiのシューマンに関してのメール
ハンガリー国立セニーチェ図書館
ハンガリー国立セニーチェ図書館

今回自筆譜の一部が発見されたモーツァルト/ピアノ・ソナタK.331は専門の人でなくても「トルコ行進曲付」として皆さん良く知っている曲ですのでなおさら大きな話題になっているのだと思いますが、いくつかの参考になる記事を掲載致します。

自筆譜によるハンガリーのピアニスト/コチシュのK.331の演奏♫(AFPフランス通信社ホームページより)


ハンガリー国立セニーチェ図書館と自筆譜映像


ザルツブルクでの国際モーツァルト会議でのDr. Mikusiの発表の要約(日本語訳)♪


REUTERS(ロイター)~イギリス通信社

THE NEW YORK TIMES掲載記事(アメリカの新聞)♪


the guardian(イギリス新聞)♪

シューマンとハンガリー国立セニーチェ図書館

今日はシューマンについて徒然に書いてみようと思います。 シューマンと聞くと私には文学を愛した音楽家というイメージがあるのですが、妻のクララ・シューマンとの数多いエピソードでも有名な音楽家です。 ロベルトとクララの二人の往復書簡集が各国語に訳されて出版されておりますが、東京の本郷にあるアカデミア・ミュージックという輸入の楽譜や音楽書を扱っている書店で以前イタリア語の書簡集を見つけ求めました。 挿絵と構成の素敵な本ですが簡単なイタリア語ですので楽しく読めるかと思います。 装丁の一部ご紹介致します。
クララとロベルタの往復書簡集
アカデミア・ミュージック公式サイト


さてyou tubeに抜粋をアップしておりますシューマンの幻想小曲集Op.12は私が高校1年の時、第5回高校生国際芸術コンクールで入選した曲です。 初めは9曲の小品から成る曲でしたようですが1838年出版されるにあたって8曲にカットされたようです。第2曲の「飛翔」は良く発表会などでも単独で弾かれ有名ですが、本来は全曲で一つのシューマンの詩集となっているのではないかと思います。 標題は後からシューマンが付けたようです。

シューマンの幻想小曲集は元日本ベーゼンドルファー社代表の吉澤直記氏に高1の時この曲を聴いて頂いて大変音が美しいとお褒めの言葉を頂いた思い出の曲でもあります。(8月3日のブログに吉澤直記氏のお話を書いています。)

専門的な事はピアノを通してのレッスンでないとなかなか伝えきれないところがございますが、またyou tubeの演奏を聴いて頂けたらと思います。

ところで私は今大学の博士課程前期課程で「シューマンの幻想曲Op.17における演奏法と解釈」という論文を書きピアノ演奏の側面補強としております。 楽譜が出版される前の自筆譜というのは作曲家の心が素直に表れていますので、それを見るとピアニストは暗示を感じイマジネーションが広がってまいります。ファクシミリでも手に入れば是非見てみたいとピアニストは考えるものですが、シューマンの幻想曲の自筆譜は誰か個人の方の所有になっており閲覧する事はできないようです。 ハンガリーの国立図書館に限りなく自筆譜に近い写譜が保管されていると聞きハンガリー国立セ二ーチェ図書館に問い合わせたところ親切に対応して下さりCD-Romで送って下さいました。 音楽をしている私にはそれを再生する時の気持ちには心高ぶるものがあります。

ハンガリー国立セニーチェ図書館ではモーツァルト/ピアノ・ソナタK.331の自筆譜の楽譜が最近発見された事でも話題になっております。

ハンガリー国立セニーチェ図書館公式サイト

ハンガリー国立セニーチェ図書館
ハンガリー国立セニーチェ図書館
P1010133.jpg
blog_import_55c818b8221d2.jpg
音で表現する事を言葉で表現するのは思いの外難しいものがあり、プライベートで師事するピアニストの阿部裕之先生にはピアノレッスンを通して多くの事を教わっております。 ラヴェルの「鏡」やメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲も読譜しておりますので練習と論文の作成との時間配分に少し苦労致しております。(8月1日のブログに阿部裕之先生のお話を書いております。)

ピアニストというお仕事は自宅にいながら時空を超えて旅をしているようなもので、ある時は飛行機で世界を飛び回りまたある時はタイムマシーンで過去に言ったりとしているお仕事です。 厳しい長い道のりを経てなれるわけですが、ピアニストにしか分からない喜びも多くございます。 今は結果のなかなか出ない事は敬遠される時代ですが、こんな時代だからこそピアニストという仕事は必要なのではないかと思っております。 ピアニストになりたいけど、どこに行けばなれるのか、どうすればなれるのか分からないというお子さん方には私の経験が少しでも役に立てばと思っております。

作曲家の木(MADE IN FRANCE)
作曲家の木
古代書物の原型(VATICANA)
書物の原型
現代画家カンディンスキー(GERMANY)
カンディンスキー展チラシ

高1の時の幻想小曲集抜粋と最近の幻想曲全曲をyou tubeにリンク致しますのでお聴き頂けましたら幸いです。
シューマン/幻想小曲集Op.12より

シューマン/幻想曲Op.17

8月1日阿部裕之先生の記事

8月3日元日本ベーゼンドルファー社代表吉澤直記氏の思い出の記事

シューマン「幻想小曲集」

プロフィール

谷真子 masakotani

Author:谷真子 masakotani
東京音楽大学卒業

ADRESS
奈良市学園前

ピアニスト谷真子公式サイト
http://masakotani.co
奈良市学園前 谷真子ピアノ教室 教室ブログ「musica」
最新記事
カテゴリ
リンク
検索フォーム
カウンター