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2017_03
27
(Mon)11:01

シューマン ダヴィッド同盟舞曲集 作品6/Schumann Die Davidsbundlertanze Op.6

「ダヴィッド同盟舞曲集」はシューマンが1837年に作曲し、後自費出版した18曲から成るピアノ曲集です。

「ダヴィッド同盟」というのはシューマンが考え出した架空の団体で、保守的な考えの人に対して新しい芸術を創作するために戦っていく人達の集まりの呼称です。 「謝肉祭」の中にも表れます。

当時、ロマン主義芸術家の間では芸術を理解しない保守的な俗物「ペリシテ人」に対抗する新しい芸術のための運動である同盟構想がよく行われておりました。

ダヴィッドとは旧約聖書に描かれているペリシテ人戦士ゴリアテを倒したダビデ王に由来しますが、同盟のメンバーはシューマン自身を表すフロレスタンやオイゼビウスやクララ・ヴィーク、フリードリヒ・ヴィークなどをモデルにした人物等で構成されております。 また実際の社会的活動として音楽評論雑誌を発刊したりもしておりました。

曲はシューマンとクララの将来の結婚式の前夜に集まった同盟員達の様子を描いており、フロレスタンとオイゼビウスという2人の人物が主役となっております。

フロレスタンはシューマンの中の明朗で積極的な「動」を表し、オイぜビウスは冷静で瞑想的な「静」の部分を表す人物として描かれております。

作品には初稿と第2稿があり初稿には曲の性格が動である時には「F]、静である時には「E」と書かれ、冒頭に格言も記述されていますが、第2稿ではこれらの記述は削除されております。

シューマン ダヴィッド同盟舞曲集♫~アラウ
シューマン ダヴィッド同盟舞曲集♫~コルトー
シューマン ダヴィッド同盟舞曲集♫~ギーゼキング



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2017_03
22
(Wed)10:14

シューマン クライスレリアーナ 作品16/Schumann Kleisleriana Op.16

「クライスレリアーナ」はシューマンが1838年に作曲した8曲から成るピアノ曲集ですがショパンに献呈されております。

作家のE.T.A.ホフマンにシューマンは大変傾倒しておりましたが、ホフマンの書いた小説に登場する「楽長クライスラー」からタイトルの「クライスレリアーナ」は取られております。

シューマンは叶わぬ恋を描いたこの小説の主人公クライスラーに自分を重ね、当時結婚に反対され苦しんでいた自分とクララとの恋愛にも重ねあわせ、創作の源泉としたようです。

シューマンはこの時期に他にも傑作を多く生み出しております。

シューマン クライスレリアーナ♫~アルゲリッチ
シューマン クライスレリアーナ♫~ホロヴィッツ
シューマン クライスレリアーナ♫~ポリーニ


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2017_01
28
(Sat)10:38

シューマン 森の情景 作品82/Schumann Waldszenen Op.82

シューマンの「森の情景」はシューマンが作曲した全9曲からなるピアノ独奏曲ですが、1848~1849年にかけて作曲され1850年に出版されました。

ドイツロマン主義者の詩人にとって「森」とは静寂、活気、神秘、情景といった趣を持つものでしたが、シューマンの「森の情景」は文学と音楽の結びつきをさらに高め、ロマン派詩人達の描いた「森」をモチーフとして作曲したと言われております。

作曲当時は各曲に短い詩が載せられておりましたが、出版に際して第4曲目の「気味の悪い場所」のフリードリッヒ・ヘッベルの詩以外は除かれました。

第1曲 森の入り口 / "Eintritt"
1
明るく始まるものの、陰と陽の対比がみられる曲です。 メロディーが高声、内声、低声と様々な音域で歌われていきます。

第2曲 茂みのなかで獲物を待ち伏せる狩人 / "Jager auf der Lauer"
2
 <森の入り口>から一転して、激しさを貫く曲です。 左右の手がユニゾンとなる部分が効果的に挿入されています。

第3曲 孤独な花 / "Einsame Blumen"
3
訴えかけるかのように、メロディーが上に下に曲線を描いていきます。 簡素な伴奏は、このメロディーを非常に引き立てております。

第4曲 気味の悪い場所 / "Verrufene Stelle"
4
この曲にのみ、冒頭に詩が添えられています。その内容は光の届かない森の中で高く伸びた花は青白く、ただ一本赤い花も、陽の光ではなく、大地の色、人間の血を吸い込んだ赤色をしているという不気味なものです。

第5曲 親しみのある風景 / "Freundliche Landschaft"
5

第6曲 宿 / "Herberge" 
6
主に高声で歌われるメロディーが、時折、中音域や低音域に移り、会話を連想させます。 メロディーそのものも、音形もリズムも共に、語りかけるような語尾が特徴的です。

第7曲 予言の鳥 / "Vogel als Prophet"
7
曲の中ほどで、ほんのひと時、コラール風の場面がみられます。 曲全体が、半音階的な音の動きに満たされています。

第8曲 狩の歌 / "Jagdlied" 
8
勇壮な趣に、どこか哀愁も感じられる曲です。

第9曲 別れ / "Abschied"
9

シューマン 森の情景♫~ピリス
シューマン 森の情景♫~リヒテル


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2017_01
04
(Wed)09:36

シューマン パピヨン 作品2/Schumann Papillons Op.2

シューマンの「パピヨン」はシューマンが1829年から1831年のピアニストとしての活動を始めた直後のピアノ作品です。

タイトルとなっている”パピヨン”はドイツの詩人ジャン・パウルの文学の中で良く現れるロマン的な詩的理念の象徴ですが、シューマンはこのジャン・パウルに強く憧れ彼の詩を愛読しておりました。

シューマンの「パピヨン」はジャン・パウルの小説の「生意気ざかり」の最後の仮面舞踏会を音で表した曲ですが、家族に宛てた手紙の中でもそのように記しております。

夢想家のヴァルトと情熱家のヴルトという双子の兄弟が一人の女性に恋をし仮面舞踏会の一夜、二人は彼女がどちらを選ぶのか見極めようとします。

曲は6小節の序奏と12曲から構成されております。

序奏
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第1曲「仮面舞踏会」
ドルチェで仮面舞踏会の旋律が提示されます。 この旋律は後の「謝肉祭」の第6曲の「フロレスタン」にも引用されています。
1

第2曲「ヴァルト」
2

第3曲「ヴルト」
ヴァルトおよびヴルトは、小説に登場する双子の兄弟の名です。 ヴァルトは夢想家、ヴルトは行動家です。
3

第4曲「仮面」
4

第5曲「ヴィーナ」
ヴィーナは小説に登場する女性の名です。
5

第6曲「ヴルトの踊り」
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第7曲「仮面の交換」
7

第8曲「告白」
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第9曲「怒り」
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第10曲「仮面を脱ぐ」
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第11曲「大急ぎ」
11

第12曲「終景と帰り行く兄弟たち」
朝6時の鐘が鳴ると音楽はディミヌエンドしてppで終わります。 「謝肉祭」の終曲にも使われているメロディと第1曲の仮面舞踏会の旋律が絡み合います。
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シューマン パピヨン♫~リヒテル
シューマン パピヨン♫~アラウ
シューマン パピヨン♫~デームス
シューマン パピヨン♫~ペライア


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2016_12
30
(Fri)07:33

シューマン アレグロ ロ短調 Op.8/Schumann Allegro h-moll Op.8

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シューマン(1810~1856)はドイツロマン派を代表する作曲家ですが、1830年、シューマンは20歳の時フランクフルトでパガニーニの演奏を聴き強い衝撃を受けます。 ヴィルトゥオーゾへの道を目指したシューマンは1830年作品1という作品番号を付して「アベッグ変奏曲」を完成致します。

それまで音楽の道に進むことを反対していた母親もこの作品を大変祝福し、シューマンは晴れて音楽家としての道を進む事を許されます。

「アレグロ」は初め「ロ短調のソナタ」の第1楽章として1831年から32年にかけて作曲が進められておりましたが「アレグロ」(作品8)として出版されました。

同時期に出版された曲に「パピヨン」(作品2)や「パガニーニの≪カプリス≫による練習曲」(作品3)などがあります。

シューマン アレグロ♫~デームス
シューマン アレグロ♫~ラローチャ



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