2017_10
02
(Mon)09:29

ドビュッシー 花火

12月10日大阪豊中市立芸術文化センターで演奏するドビュッシーの花火について書きます。



ドビュッシーの花火はドビュッシーの作曲した24曲のピアノのための前奏曲の中の一曲です。

第1巻と第2巻に分かれ、それそれ12曲ずつ収められていますが、花火は第2巻の12番目の曲です。

7月14日のフランス革命記念日の情景を描いたもので、「遠くlointain」の賑わいから始まり夜空に光る花火の様子を表していますが、ドビュッシー独特の音の響きと素早い音の動きのピアノの名技性が結びついたヴィルトゥオーゾな曲です。

最後の部分で、フランス革命の時に兵士によって歌われた事から作られたフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」が引用されております。


ピアニスト谷真子公式サイトはこちらへ
2016_09
16
(Fri)09:29

ドビュッシー 仮面

ドビュッシーは当初「仮面」を「ベルガマスク組曲」の一曲に入れようと考えていました。 ドビュッシーが歌曲にしたヴェルレーヌの詩集「艶めく宴」の「月の光」の一節にも「Masques」という言葉が出てまいります。

この「艶めく宴」の中にも描かれているイタリア喜劇の世界~華やかで滑稽であるがその裏には哀しい運命が潜んでいる~にドビュッシーは関心を寄せておりました。

イタリア喜劇に仮面はなくてはならないものですが、仮面の持つ二面性は曲を通して交互に表れ、それはリズムや調性などによって表現されております。

ドビュッシーは「仮面」でドビュッシーという人間そのものを表現しようとしたのではないかと思います。

ドビュッシー 仮面♫~チッコリーニ


ピアニスト谷真子公式サイト


2016_09
12
(Mon)10:26

ドビュッシー 喜びの島 イ長調/Debussy L'isle joyeuse A-Dur

ドビュッシーの「喜びの島」はヴァトーの絵画「シテール島への巡礼」の影響を受けて1904年に作曲されたピアノ曲です。

シテール島はエーゲ海、クレタ島の北西にある島で神話では愛の女神ヴィーナスの島とされています。

初演は1905年2月18日パリの国民音楽協会にてリカルド・ビニェスの演奏により「仮面」とともに演奏されました。

装飾音やリズムの変化といっったドビュッシーには珍しくヴィルトゥオーゾ的な技巧を駆使して大胆な表現力や鮮やかな色彩感に満ち溢れ、幻想的な愛の歓びを描き出しています。

イタリアの指揮者ベルナルデイオ・モリナーリによる管弦楽版はドビュッシー自身の指示に基づいた編曲です。

ドビュッシー 喜びの島♫~ポリーニ
ドビュッシー 喜びの島♫~ホロヴィッツ
ドビュッシー 喜びの島♫~フランソワ
ドビュッシー 喜びの島♫~ギーゼキング
ドビュツシー 喜びの島♫~リヒテル
ドビュッシー 喜びの島♫~ブレハッチ
ドビュツシー 喜びの島♫~ミケランジェリ
ドビュッシー 喜びの島♫~コチシュ
ドビュッシー 喜びの島♫~管弦楽版


ピアニスト谷真子公式サイト

2016_07
20
(Wed)08:33

ドビュッシー 版画/Debussy Estampes

「版画」は1903年に完成されたドビュッシー(1862~1918)のピアノ曲で「映像」とともに印象主義音楽のピアノ曲の書法を確立した作品です。

3曲の独立した曲から成り、オリエント・スペイン・フランスから題材を採っております。

作曲の完成直後に書いた手紙の中で「曲名がとても気に入っています。 東洋にもスペインにも行った事がないため想像で埋め合わせをするしかありません。」と書いています。

1890年代半ば頃から作曲に着手し1903年に完成、翌1904年1月9日にリカルド・ビニェスによって初演されました。

大作オペラ「ペレアスとメリザンド」を完成し初演を終えた時期で本格的ピアノ作品としてはしばらくぶりとなっております。

献呈は第1曲と第3曲はジャック・エミール・ブランシュに、第2曲はピエール・ルイスに献呈されています。

P1030475.jpg

1 塔 / "Pagodes"
1
1889年パリで開催された万国博覧会でバリ島民の演奏するガムラン音楽を聴きドビュッシーは深く興味を持ちます。 この曲はインドシナ民族音楽を模倣したものでアジアを暗示しております。 五音音階を用いた東洋風の主題が独特の雰囲気を作り上げております。
ドビュッシー 版画第1曲”塔♫~チッコリーニ

2 グラナダの夕べ / "La soiree dans Grenade"
2
ハバネラのリズム、ムーア人の歌調、ギターの響き、アラビア音階の利用がスペイン情緒を掻き立て、スペインのアンダルシア地方の古都グラナダを彷彿とさせる音楽になっております。 ドビュッシーはスペイン体験がほとんどないにもかかわらず、スペインの作曲家ファリャは「スペインを見事に描き切っている」とドビュッシーの天性の想像力と才能を賞賛致しました。
ドビュッシー 版画第2曲”グラナダの夕べ♫~チッコリーニ

3 雨の庭 / "Jardins sous la pluie"
3
フランスの童謡「もう森になんか行かない Nous n'irons plus au bois」や「眠れ坊や眠れ Dodo l'engant do」が引用されており、繊細なアルペジオによってドビュッシーの母国フランスの庭園の木立に降りかかる雨が描写されております。
ドビュッシー 版画第3曲”雨の庭♫~アルゲリッチ
ドビュッシー 版画第3曲”雨の庭♫~ミッシェル・ベロフ

ドビュッシー 版画♫~モニク・アース
ドビュッシー 版画♫~リヒテル
ドビュッシー 版画♫~アルゲリッチ


ピアニスト谷真子公式サイト

2015_12
20
(Sun)07:00

ドビュッシー 前奏曲集第1巻・第2巻

クロード・ドビュッシー(1862~1918)は24曲の前奏曲を書き、それをそれぞれ12曲ずつの2巻の前奏曲集として出版いたしました。 前奏曲集第1巻は1910年に、前奏曲集第2巻は1913年に完成いたしております。

ショパンの「24のプレリュード」やバッハの「平均律」を意識していたとは思いますが、ドビュッシーは24のすべての調を使って規則的に書き上げてはおりません。 ドビュッシーがこの曲集で扱った素材は、伝説、風景、人物、詩、小説などで多彩ですが、そうした素材をドビュッシーの心の中の幻想の世界に採り入れ、より純化し、変幻自在な書法で音楽で描写いたしております。

ドビュッシーは少年時代からピアノに親しみパリ音楽院でも作曲を専攻するまではピアニストを目指していたためピアノという楽器には精通しておりました。 また評論活動も盛んで80篇を超える評論を書いております。
P1020776.jpg
自己の感性の中に潜むファンタジーを音で綴り上げることを創作の理念としてしていたフランス印象派音楽を代表するドビュッシーは、そういう才能と自らが開発したピアノの斬新なテクニックを用いて、より抽象的で幻想的な世界をこの「前奏曲集」の中で表現しております。

ちなみに初版のデュラン社の楽譜では各曲のタイトルを楽譜の最後のページの終止線の下に括弧で括り書いております。 これは必要以上に標題音楽としてとらえ過ぎないようにというドビュッシーの意志を示しているのではないかと思います。
↓安川加寿子氏校訂版より 
P1020750.jpg

P1020763.jpg

前奏曲集第1巻
第1曲デルフィの舞姫たち - Danseuses de Delphes
「ゆっくりと荘重に」
1
ルーブル美術館の思い出がタイトルの由来となっております。 ギリシャの古代都市デルフィの神殿の舞姫たちの姿を描いた音楽であろうと思われます。 まるでサラバンドのような音の流れの中に古代への憧憬やエキゾティックな雰囲気が描写されております。

第2曲ヴェール(帆) - Voiles
「中庸の速さで」
2
錨を降ろした帆船または神秘のヴェールのどちらの意味にもとれますが、軽妙で流動的、またミステリアスな味わいの作品です。

第3曲野を渡る風 - Le vent dans la plaine
「活発に」
3
20年前にドビュッシーはヴェルレーヌの詩「そは、やるせなき」で歌曲を作曲しておりますが、その詩の中の「風は野で、息をとめる」からタイトルが付けられております。 野を渡る風や時折吹きつける疾風を表現しているかのようです。

第4曲夕べの大気に漂う音と香り - Les sons et les parfums tournent dans l'air du soir
「中庸の速さで」
4
ボードレールの「悪の華」の中の「夕べの調べ」の詩の一節にインスパイアされて作られた音楽です。 しなやかなリズムとデリケートな色彩感がドビュッシー独特の世界を描写しております。

第5曲アナカプリの丘 - Les collines d'Anacapri
「極めて中庸の速さでー活発に」
5
アナカプリとはイタリアのカプリ島にある街の名前で高い崖の中腹にあります。 そこに行くには500段あまりの石段を昇るか、細くくねった道を行くしかありませんでした。 蜘蛛の毒から人を救うために始められた舞曲がその町にはありましたが、ドビュッシーはタランテラのリズムの旋律やナポリ民謡を用いて、南欧的な雰囲気を音楽で描写しております。

第6曲雪の上の足跡 - Des pas sur la neige
「悲しげにゆっくりと」
6
荒涼な凍てつく世界が鮮烈に描かれております。

第7曲西風の見たもの - Ce qu'a vu le vent d'ouest
「活発に騒然と」
7
アンデルセンの童話の「パラダイスの庭」からのタイトルです。 この物語の中で西風は「見たもの」について語ります。 フランス人にとって西風は凶暴な嵐ですが、ドビュッシーは西風が強く吹きまくる荒々しい様子を描写しており、激動的なダイナミックな音楽です。 ドビュッシーには珍しい過激な音響効果が特色です。

第8曲亜麻色の髪の乙女 - La fille aux cheveux de lin
「非常に静かに、やさしく表情をつけて」
8
フランスの詩人ルコント・ド・リールの「スコットランドの歌」におさめられた同名の詩にインスパイアされた作品です。 可憐な美少女の肖像を透明な感触で描いた音楽ですが、他の曲と違って変ト長調に調性がはっきり決まっており旋律的な曲です。 ルコント・ド・リールの詩に曲を付ける試みは最初期の作品から見られますが、この曲も未発表の古い歌曲からの編曲のため、そうなったのではないかと思われます。
亜麻色の髪の乙女♫~ツイメルマン

第9曲とだえたセレナード - La sérénade interrompue
「中庸な活発さで」
9
アンダルシア風のリズムに乗った作品でスペイン的な情緒が色濃く滲み出ております。 

第10曲沈める寺 - La cathédrale engloutie
「深い静けさのうちに」
10
ブルターニュに伝わるケルト族の伝説にインスパイアされて作られた作品です。 イゾルデの生まれた町のイスの寺院はイスの民の不信仰のために海中深く沈んでしまいますが、住民への見せしめのためにカテドラルは日の出とともに浮上するという伝説です。 和音を連ねた楽譜は視覚的には建造物を造るようにアーチを描いております。

第11曲パックの踊り - La danse de Puck
「気紛れで軽妙に」
11
ドビュッシーはシェイクスピアの「夏の夜の夢」を愛読しておりました。 オベロンの角笛の響く中、いたずらものの小妖精パックの踊る姿が音楽で表現されております。  またアーサー・ラッカムの描く「夏の夜の夢」の挿絵もヒントになったと言われております。

第12曲ミンストレル - Minstrels
「中庸の速さで」
12
元は1820年代のアメリカの農園で生まれた音楽です。 黒人たちは、ケークウォークを踊り、コルネットやバンジョーやドラムを鳴らしミンストレル・ショウを開きます。 それがヨーロッパに伝わり楽しく賑やかなショウは当時のパリで絶大な人気を博していたようです。 ドビュッシーは様々な楽器や宙返り、タップダンスなどの様子を巧みに描写しております。

ドビュッシー 前奏曲集 第1巻♫~ミケランジェリ

第2巻
第1曲霧 - Brouillards
「中庸の速さで」
1
3段になる楽譜↓の一番下の段は、ほとんど白鍵で和音で書かれています。 上の2段はおおむね黒鍵で分散和音の形になっております。 その流れと白と黒の濃淡が夢幻的な霧の世界を生み出しております。
P1020777.jpg

第2曲枯葉 - Feuilles mortes
「ゆっくりとメランコリックに」
2
平行和音やリズムのコンビネーションでメロディが揺れ動きます。

第3曲ヴィーノの門 - La Puerta del Vino
「ハバネラの動きで」
3
ファリャがドビュッシーに送ったグラナダの絵葉書によってアイデアが生まれました。 それにはアルハンブラ宮殿にあるこの門が描かれておりました。 光と影の激しい対比の音楽です。

第4曲妖精たちはあでやかな踊り子 - Les Fées sont d'exquises danseuses
「急速で軽快に」
4
「ピーター・パン」のフランス語訳に収められた挿絵にインスパイアされて作曲しました。 そこに描かれている妖精は蜘蛛の糸の上で蜘蛛の弾くチェロに合わせて踊ります。 8分の3拍子を5分割、4分割、トリル、7分割しリズムのアラベスク↓が展開されます。
P1020778.jpg

P1020779.jpg

P1020780.jpg

P1020781.jpg

第5曲ヒースの荒野 - Bruyères
「静かに、甘美な表情で」
5
黄金色の麦畑、薄紫に広がるヒース、沈む赤い太陽、そんな大自然を好んで描いた画家の展覧会にドビュッシーは通いその絵からインスパイアされて作曲しました。 全音階的な書法で書かれた懐かしいシンプルな響きの作品です。 

第6曲奇人ラヴィーヌ将軍 - Général Lavine - excentrique
「ケークウォークのスタイルと動きで」
6
アメリカの喜劇俳優エドワード・ラ・ヴィーヌを通してドビュッシーは繊細な諧謔をみせます。 シンコぺーションのリズムがユーモラスな効果を見せています。

第7曲月の光が降り注ぐテラス - La terrasse des audiences du clair de lune
「ゆるやかに」
7
「メトード・ローズ」の中の童謡「月の光に」の一節が変容された、インドを舞台にした物語です。

第8曲水の精 - Ondine
「スケルツァンド」
8
水底に住む危険な妖精オンディーヌの伝説です。 同じ素材を基にしながらラヴェルとは全く違い、ドビュッシーは水のようにうつろう時間の神秘に眼を向けております。

第9曲ピクウィック殿をたたえて - Hommage à S. Pickwick Esq. P.P.M.P.C.
「荘重に」
9
ピクウィック卿とはイギリスのディッケンズの小説「ピクウィック・ぺーパーズ」の主人公の事です。 イギリス国歌が用いられております。 

第10曲カノープ - Canope
「とても静かに優しく悲しげに」
10
カノープとはナイル河のほとりにある古代エジプトの都市の名前ですが、やがてそれはエジプトの骨壺の名前となりました。 廃墟と死を思い起こさせるこの音楽は悲しくクレッシェンドしてもpになるばかりです。

第11曲交代する三度 - Les tierces alternées
「中庸の活気ある速さで」
11
3年後に完成する練習曲集を予告する最も抽象的な作品です。 三度の変化による多彩な響きのイメージです。

第12曲花火 - Feux d'artifice
「中庸の活気ある速さで」
12
フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」が用いられております。 鮮烈で豪華な音の絵巻で前奏曲としては大作です。
花火♫~ツイメルマン

ドビュッシー 前奏曲集第1巻・第2巻♫~ツイメルマン

P1020784.jpg
ミケランジェリ

P1020783.jpg
パスカル・ロジェ

P1020782.jpg
ジャック・ルヴィエ

P1020785.jpg
安川加寿子


明日はシューマンの幻想小曲集について書きます。

レッスン問い合わせ










2015_12
16
(Wed)07:23

ドビュッシー 12のエチュード

ドビュッシー(1862~1918)の「12のエチュード」はクロード・ドビュッシーの最晩年の作品ですが、1915年に作曲され1916年12月にパリで初演されております。 「a la memoire de Chopin」としてショパンに捧げられております。

1914年第1次世界大戦の勃発と共に出版界もまた大きな打撃を受け、新しい楽曲の出版は不可能になってまいりました。 ドビュッシーの主要作品を一手に出版していたデュラン社は古典音楽の再版を企画し、その校訂をフランスの作曲家達に依頼いたします。 そこでドビュッシーはショパンのピアノ曲の校訂を引き受けます。 1915年1月から校訂の仕事に取り掛かりますが、7月になり病身のドビュッシーは転地のためイギリス海峡に面した港町に住みそこで仕事に打ち込みます。 ショパンの校訂に取り組みながらドビュッシーは「チェロ・ソナタ」と「12のエチュード」を9月末には完成させ、10月にはパリへ戻ります。

ショパンのエチュードと同様にドビュッシーのエチュードは冷たい技巧を要求するものではなく音楽であり人に喜びを与える芸術となっております。

彼のピアノ音楽の全ての集大成であり、ドビュッシーの世界に入るための鍵となる作品です。 精神的でありながら技巧的にも、リズムや音の追及、和声的な感覚、調性など極限にまで到達しており、この意味において20世紀音楽における先駆者となりました。

出版譜は2部に分かれており6曲ずつの構成となっております。 また初版の序文には「指使いは自分で探す事」と書いてあり、エチュードとしていながら楽譜には運指は一切書かれておりません。


1.5指のための
慎重に単純な音型から始まり複雑な技法へと展開していきます。 ピアノのメカニックな面をからかったウイットも感じられます。
1

2.3度のための
3度音程を精妙この上ない書法でいろいろに編み上げていきます
2

3.4度のための
ドビュッシーの和音の基盤である4度の音程から自由に香り豊かな音楽を引き出しております。
3

4.6度のための
ドビュッシーの6度進行の音楽はこれまでにない協和音に甘んじながら進んでまいります。
4

5.オクターヴのための
オクターヴを使って演奏の難しいきらびやかなパッセージを描写しております。
5

6.8つの指のための
両方の親指を除いた8本の指で突進するようなエチュードを作っております。
6

7.半音階のための
12の半音階のきらめく断面が魅力的にきらきら光り輝いております。
7

8.装飾音のための
古典的な書法の装飾音ではなくドビュッシーが創案した装飾音です。 前打音でありながら彩飾され旋律的です。
8

9.反復音のための
近代のピアノから創造した反復音の技巧です。
9

10.対立するソノリティのための
ピアノ演奏におけるオーケストラ的とはどういう事かを追求した美しく精妙なエチュードです。
10

11.重複するアルぺージョのための
ドビュッシーが愛用した様々なアルぺージョが織りなされております。
11

12.和音のための
和音をつなげるとはを探ったエチュードです。
12

12のエチュード♫~ギーゼキング
12のエチュード♫~ミッシェル・べロフ
12のエチュード♫~内田光子

P1020720.jpg
ギーゼキング

P1020721.jpg
フランソワ

P1020723.jpg
安川加寿子

P1020722.jpg
内田光子

ちなみにyou tubeにドビュッシーの「チェロ・ソナタ」と「12のエチュードより第11曲重複するアルぺージョのための」の演奏を私もアップいたしておりますので、そちらにもリンクいたします。

ドビュッシー チェロ・ソナタ 第1楽章♫~谷真子
ドビュッシー チェロ・ソナタ 第2・3楽章♫~谷真子
ドビュッシー 12のエチュード 重複するアルぺージョのための♫~谷真子


明日はショパンの24のプレリュードについて書きます。


レッスン問い合わせ








2015_12
15
(Tue)07:00

ドビュッシー 子供の領分

MESSAGE
P1020615.jpg

ドビュッシーの子供の領分はクロード・ドビュッシ(1862~1918)が1908年完成させたピアノのための組曲です。 1908年デュラン社から出版されその年の12月にはイギリス人ピアニストのハロルド・バウアーによってパリで初演され好評を得ました。

当時3歳だった娘クロード・エマ(愛称シュウシュウ)のために作曲されましたが、子供が演奏する事を目的としたものではなく大人が子供らしい気分に浸る事を目的としたメルヘンともいうべき音楽です。 子供の目を通して見る日常のありさまを、ユーモアに満ちた優しい響きの中に再現しようとしたもので、ドビュッシーの詩的天分を強く印象付けてくれる作品です。

タイトルは英語で書かれており、愛娘クロード・エマにイギリス人の家庭教師が付いていたのと関係があると言われております。

1.Doctor Gradus ad Parnassum グラドゥス・アド・パルナッスム博士
1
イタリアのピアニストのクレメンティに「グラドゥス・アド・パルナッスムというピアノ練習曲集があります。 運指の練習曲集ですがドビュッシーもそれが嫌いだったようです。 「パルナッスム」はギリシャのパルナッソス山の事でアポロンとミューズがこの山にこもったという伝説から詩歌・芸術の象徴と言われております。 ラテン語のGradus ad ParnassumはSteps to Parnassus(ミューズの住居パルナッソスへの歩み)という意味ですが、ドビュッシーはこの種の味気ない練習曲集にDoctor(博士)を付ける事でアカデミックな先生連を皮肉っております。 クレメンティの練習曲を退屈そうに練習している子供の姿をパロディ風に風刺して描いており、いやいや練習する子供への父親の優しい同情が繊細な響きの中に聴こえます。

2.Jimbo's Lullaby象の子守歌
2
シュウシュウが一番大事にしていたのが象の縫いぐるみのジンボーですが、シュウシュウはベッドでジンボーと添い寝をして子守歌を歌ってやっております。 やがて子供は縫いぐるみの象と一緒に眠ってしまいます。

3.Serenade for the doll人形へのセレナード
3
子供がおもちゃの人形にセレナードを歌って聴かせている場面を描写した音楽です。

4.Snow is dancing雪は踊る
4
窓辺で降ってくる雪を眺めている子供心を表したものです。 冒頭の4つの単音はちらちらと舞い始めた雪を表しております。 子供心の幻想と侘しさを表現した音楽です。

5.The little shepherd小さな羊飼い
5
シュウシュウのガラスのおもちゃの羊飼いは角笛で甘い旋律を吹きます。 美しい牧歌です。

6.Golliwog's cake-walkゴリウォーグのケークウォーク
6
シュウシュウの大事なおもちゃのゴリウォーグ(19世紀末頃からヨーロッパで流行した黒人人形)が踊るケークウォークを描写しております。 ケークウォークというのは1850年頃から1930年にかけてアメリカの南部で流行った子供の遊びの事です。 子供たちは音楽に合わせて椅子の周りを歩いたり一緒に踊ったりします。 音楽が止むと椅子を捕まえない子が負けでたった一人が残るまで続けられます。 賞品がケーキだったところからケークウォークと呼ばれるようになりました。 ドビュッシーのケークウォークはその遊びで使われる音楽の事ですが、シンコぺーションを持った強烈なリズムでドビュッシーの「小さな黒人の子」でも使われております。

子供の領分♫~モニク・アース
子供の領分♫~ミケランジェリ
子供の領分♫~ワイセンベルク

P1020707.jpg
ミケランジェリ

P1020695.jpg
ギーゼキング

P1020696.jpg
モニク・アース

P1020697.jpg
パスカル・ロジェ

P1020698.jpg
フランソワ

P1020699.jpg
KAZUKO YASUKAWA


明日はドビュッシーの12のエチュードについて書きます。


レッスン問い合わせ




 

 



2015_11
06
(Fri)06:28

ドビュッシー 「映像 第2集」 (11/6 第1稿目)

MESSAGE(11/6 第1稿目)
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

ドビュッシーの「映像 第2集」は2015年6月9日大阪倶楽部で♪阿部裕之先生♪が演奏された曲ですが、第1集に続いて1907年に作曲され翌1908年ヴィニェスによって初演された作品です。

ドビュッシーは「ピアノにハンマーがついていない事を忘れさせる事が大切だ」と言っておりますが、映像第2集は第1集でのピアニスティックな奏法が益々押し進められ表現は極度に凝縮されたものとなっております。

「映像第1集」の完成直後にデュランに宛てて「この曲はシューマンの左、ショパンの右の座を占めるものと確信する」と言い「映像」への自信の程をのぞかせております。

映像第2集第1曲の「葉ずえを渡る鐘の音」は全音音階で書かれており、遥かに遠くから聴こえる鐘の音が樹の葉のさざめきをかき乱す事なく静かな森を伝わってくる様子が描かれております。

第2曲の「かくて月は廃寺に落つ」は荒れた寺と月の対照がイメージされており、中国芸術の研究家のラロワに献呈されたように異国的な雰囲気を醸し出しタイトルも漢詩をイメージさせるものとなっております。

第3曲の「金色の魚」は日本の漆絵皿に描かれた二匹の金色の蒔絵の鯉を描写したもので、流れに乗って二匹の鯉が元気良く泳いでいる様が描写されております。 幻想の世界と技巧が融和した見事なファンタジーの世界だと思います。

このようにドビュッシーは印象主義的な作風をこのピアノ曲「映像」で確立させ、和声は益々希薄になり、余分な装飾もなく、和音の間隔が空いてきていてピアニスティックな響きの開発がなされているのではないかと思います。

モニク・アースの♬映像♬にリンク致します。

「映像」楽譜
P1020103.jpg

第1集第1曲「水の反映」
P1020104.jpg

第2曲「ラモー讃」
P1020105.jpg

第3曲「運動」
P1020106.jpg

第2集第1曲「葉ずえを渡る鐘の音」
P1020107.jpg

第2曲「そして月は廃寺に落ちる」
P1020108.jpg

第3曲「金色の魚」
P1020175.jpg


続いて第2稿目を書きます。


2015_11
05
(Thu)06:09

ドビュッシー 「ベルガマスク組曲」 (11/5 第1稿目) 

MESSAGE (11/5 第1稿目)
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

ドビュッシー(1862~1918)はフランスの近代の作曲家ですが、長音階・短音階以外の旋法を用いたり機能和声にとらわれない自由な和声を用いたりして、独自の書法で色彩的な音の世界を創り出した作曲家です。 

ドビュッシーは元々はピアニスト志望で10歳でパリ音楽院に入学しますが、作曲も同時に学んでおり1884年作曲の「ローマ大賞」を得てローマに留学します。 

1890年に作曲された「ベルガマスク組曲」は、2015年6月9日大阪倶楽部で私が師事する♪阿部裕之先生♪が演奏された曲ですが、タイトルのベルガマスクは北イタリアのベルガモ地方から来た言葉と一説では言われております。 ベルガマスクというのは「ベルガモ人、ベルガモの踊り、ベルガモの」という事を意味しておりますが、この組曲は直接的にはベルガモ地方の風物を描写したものではありません。 ですが北イタリアのベルガモ地方の印象からドビュッシーがインスパイアされて作曲した作品とは言えるのではないかと思います。

専門的な事はフランス文学者の杉本秀太郎さん訳のドビュッシー評論集「音楽のために」をお読み頂ければと思います。
P1020091.jpg

1890年に「ベルガマスク組曲」を作曲した後ドビュッシーは15年の間この曲の推敲を何度も重ね出版されたのは1905年になってからです。

またフランスの象徴派詩人のヴェルレーヌの詩集「艶なる宴」の中の詩「月の光」の中に「マスクとベルガマスク」(仮面劇とベルガモ風舞曲)という言葉が出てまいりますが、その言葉からもインスパイアされたのではないかとも言われております。

ヴェルレーヌの詩集「艶なる宴」はフランスの画家アントワーヌ・ヴァトー(1684~1721)の世界を象徴したものですが、ドビュッシー自身ヴァトーの名画「シテール島への巡礼」にインスパイアされて作曲した「喜びの島」等があり、ドビュッシー自身も絵画は好んでいたようです。

P1020092.jpg
ドビュッシーが描いたパステル画

*****ちなみにシテール島はエーゲ海にありギリシャ神話の美と愛の女神アフロディーテの誕生の地とされておりますが、そこからアフロディーテと同一視されているローマ神話の愛と美の女神ヴィーナスをイメージする島とも言われております*****

「ベルガマスク組曲」は「Prelude(前奏曲)」「Menuet(メヌエット)」「Clair de lune(月の光)」「Passepied(パスピエ)」の4曲からできておりますが、♫17Cクラヴサン音楽♫を愛したドビュッシーの嗜好を反映した昔の宮廷の優雅な遊びの世界を表現したものとなっております。 形式的にも前奏曲があり「メヌエット」と「パスピエ」という2つの舞曲の間に「月の光」という表題のある音楽をはさんでおり、17Cから18Cにかけてのフランスクラヴサン音楽家の形式を踏襲致しております。

ではギーゼキングの演奏にリンク致します。
ベルガマスク組曲 Prelude
ベルガマスク組曲 Menuet
ベルガマスク組曲 Clair de lune
ベルガマスク組曲 Passepied


<ドビュッシー「Suite Bergamasque」CDより>
P1020084.jpg
アルド・チッコリーニ

P1020085.jpg
サンソン・フランソワ

P1020088.jpg
モニク・アース

P1020086.jpg
パスカル・ロジェ

<ドビュッシー 「Suite Bergamasque」 楽譜>
P1020096.jpg

P1020097.jpg
Prelude(前奏曲)

P1020099.jpg
Menuet(メヌエット)

P1020100.jpg
Clair de lune(月の光)

P1020101.jpg
Passepied(パスピエ)


続いて本日第2稿目の「11/8のコンサートの声楽の曲目(谷真子伴奏)」についてのブログを書きます。

























2015_08
30
(Sun)06:54

ドビュッシー チェロ・ソナタ 二短調、12の練習曲

MESSAGE(8月30日1稿目)
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

チェロという楽器は何故か人の心に染み渡る音色を持っている魅力的な楽器ですが、私が今までソロで生を聴いたチェリストはミッシャ・マイスキーと上村昇と宮田大とニコラ・デルタイユ各氏の4人です。

どなたも世界的な素晴らしい演奏家の方ですがそれぞれに個性がありいつもチェロの音には心を癒されて帰宅致します。 ピアノも人の声のような、そしてチェロのような音が出せればと日々練習をしておりますが高い目標です。

さてドビュッシー(1862~1918)のチェロ・ソナタですが、この曲はドビュッシー最晩年の作品で(1915)当初は「いろんな楽器のための6つのソナタ」を作る構想だったようですが、3つ完成したところでドビュッシーは亡くなり未完に終わったようです。 しかし3つのソナタはどれも名曲でそれぞれ今も多くの演奏家に愛奏されております。(「バイオリン・ソナタ」、「フルート・ヴィオラとハープのためのソナタ」、「チェロ・ソナタ」)

ドビュッシーのチェロ・ソナタは第1楽章がPrologue 第2楽章がSerenade 第3楽章がFinalとなっておりますが、第2楽章と第3楽章はアタッカで結合されており続けて演奏されます。 

お聴きになられた事のない方も多いと思いますのでyou tubeにアップしておりますニコラ・デルタイユさんと私の演奏にリンク致します。
blog_import_55c8104e5ce24.jpg

ドビュッシー チェロ・ソナタ第1楽章~ニコラ・デルタイユ(チェロ)/谷 真子(ピア)♫

ドビュッシー チェロ・ソナタ第2・第3楽章~ニコラ・デルタイユ(チェロ)/谷 真子(ピアノ)♫

ドビュッシー チェロ・ソナタ♫~アルゲリッチ、マイスキー

ドビュッシーについては各種の文献が出されており私も演奏する際にはこれらの本に目を通すわけですが、今日はドビュッシー本人が書いた評論とインタビューが集められ一冊の本としてフランスで出版されたものを、日本語に翻訳した本がありますのでそれをご紹介したいと思います。 評論の方は生前ドビュッシー自身が選んだ自選集のようです。

「Monsieur Croche autres ecrits」(1971)~Francois Lesure編集・校訂 ガリマール書店
「ドビュッシー評論集~音楽のために」 杉本秀太郎訳(フランス文学者) 白水社
ドビュッシー評論集 杉本秀太郎訳 白水社
ドビュッシー評論集目次



ドビュッシーの曲でもう1曲ご紹介致したいと思います。 「12の練習曲」の中の11曲の「Pour les arpeges composes」(アルぺージョのための」という曲です。 「12の練習曲」はドビュッシーの遺言書とも言える晩年の曲ですが、彼のピアノ書法が全て表されておりこの曲の後はピアノ独奏曲は作曲しておりません。 ギーゼキングを始めこの曲は何枚かCDを所有しておりますがその中で貴重なCDをご紹介したいと思います。

安川加寿子 ドビュッシー・ピアノ音楽全集
 安川加寿子 ドビュッシー・ピアノ音楽全集

安川加寿子さんはメトードローズやラジリティなどの教則本の校訂でもお名前が知られている日本を代表される女性ピアニストの方ですが、生まれてすぐフランスに行かれ18年間フランスで育たれたそのエレガントな優美さは今の私達にとっても憧れのピアニストの方です。

you tubeには安川加寿子さんのこの曲はアップされていませんので内田光子さんのドビュッシーの「12の練習曲」のコンプリート版にリンク致します。 「アルぺージョのための」は第11曲になります。

ドビュッシー「12の練習曲」~内田光子

フランス近代風景画展図録より
ちなみにyou tubeにドビュッシーの「12の練習曲」より第11曲の私の演奏もアップしております。 よろしければお聴き頂ければ嬉しく思います。

ドビュッシー 「12の練習曲」より第11曲「重複するアルぺージョのための」~谷 真子




最後に、この記事の初めのドビュッシーのチェロ・ソナタで登場しましたベルギーのチェリストのニコラ・デルタイユ氏のCDをご紹介致します。
F. Schubert 「アルぺージョとピアノのためのソナタ」D821
チェロ~ニコラ・デルタイユ/ピアノ~パウル バドゥーラ=スコダ(ウイーンを代表する巨匠の方です。)
ニコラ・デルタイユCD
アルぺージョという古楽器で演奏されたシューベルトのアルぺージョ・ソナタですが心癒されるベルギーのニコラ・デルタイユ氏のアルぺージョの音色とウイーンのスコダ氏の熟練されたピアノを楽しめるのではないかと思います。

Nico;as Deletaille公式サイト(現在ベルギーブリュっセル王立音楽院准教授)♪


ドビュッシーの「12の練習曲」については別に詳しく書いておりますのでそちらもお読み頂ければと思います。

ドビュッシー 12の練習曲 ブログ