ハイドン ピアノ三重奏曲 ト長調 Hob.XV-25 Op.73-2(ランドン版 39番)

ハイドンはピアノ三重奏曲をおよそ45曲作っておりますが、その中でもHob.XV-25は明るくさわやかな演奏効果の高い曲で良く演奏されます。

作曲されたのはハイドンがロンドン滞在中の1795年です。

ハイドンのクラヴィーア3重奏曲は、初期・中期・後期に別れていますが、初期は、ハイドンの若い1760年頃、モルツィン伯爵の下に出入りしていた時期の作品です。 タイトルはディベルティメントとなっていて、クラヴィーアのパートは明らかにチェンバロを想定して書かれております。

そして約20年後、エステルハージ侯爵の時代の後半に書かれた作品群が中期で、その後ロンドン時代に書かれた作品群が後期です。 ロンドン時代の作品はクラヴィーアのパートは明らかにピアノフォルテ用に書かれております。

第1楽章 アンダンテ ト長調 2/4拍子
ピアノが優しい調べで始まり、ヴァイオリンと温もりある対話をしているかのようです。
第2楽章 ポコ・アダージョ ホ長調 3/4拍子
ピアノの素朴な調べは郷愁を誘い深く共鳴するものがあり慰めを感じる調べとして響いてきます。
第3楽章 フィナーレ:ハンガリー風のジプシー・ロンド
プレスト ト長調 2/4拍子
ピアノ、ヴァイオリン、チェロが喜びを分かち合うように、生き生きと明朗軽快に展開していきます。

第3楽章から通称「ジプシー・ロンド」とも呼ばれます。

ハイドン ピアノ三重奏曲 ト長調♫~コルトー



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ハイドン チェンバロ(ピアノ)協奏曲 第11番 ニ長調/Haydn Concert per il clavicembalo o fortepiano D-Dur Hob.XVIII-11 Op.21

ハイドンのピアノ協奏曲第11番ニ長調は私が小学校4年生の時、二度目のコンチェルトで演奏した曲ですが明るくさわやかな曲です。

ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調 第1楽章♫~谷真子(小4)

ハイドンは10曲余りのクラヴィーアのための協奏曲を書いていますが、実際に今日演奏される機会があるのは、このニ長調の協奏曲のみです。 出版は1784年にハイドンの指示によってアルタリア(ウィーン)から行われています。 表題はクラヴィチェンバロ、またはフォルテピアノ用の協奏曲と記載されていますが、この当時ハイドンはハンマークラヴィーアは所有していなかったものと思われます。

楽曲はチェンバロでもピアノでも演奏が可能ですが、内容的にはクラヴィーア曲を盛んに書いていたモーツァルトを意識していると思われます。

そもそもハイドンの前半生では鍵盤楽器といえばオルガンかチェンバロ(ハープシコード、クラヴサンと同じ)で、1780年代になってやっと今のピアノフォルテに近いいわゆるピアノが使われるようになりました。 ただ、この曲はピアノを念頭に作曲されたと思われます。 基本的にはこれらの内のどの鍵盤楽器で演奏しても構いません。

第1・第2楽章にはハイドン自身のカデンツァが存在します。

ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~スコダ
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~プレトニョフ
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~リヒテル
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~ギレリス
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~アルゲリッチ
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~ミケランジェリ
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~ラローチャ


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ハイドン アンダンテと変奏曲 へ短調 Hob.XVII-6/Haydn Andante con variazioni f-moll Hob.XVII-6 Op.83

「アンダンテと変奏曲 へ短調」はハイドン(1732~1809)が1793年に作曲したピアノ曲です。

1789年ハイドンはウイーンの貴族マリアンネ・フォン・ゲンツィンガー夫人の知己を得ます。 ゲンツィンガー夫人はハイドンの音楽の信奉者で二人は手紙を通じて友情を育んでいきます。

1790年ハイドンは主の死によってエステルハージ家の宮廷音楽家の職から解放されます。

ウイーンに出たハイドンはウイーンの社交界に迎え入れられゲンツィンガー夫人との友情はより深いものとなります。

しかしハイドンが第1回目のロンドン旅行からウイーンに戻った翌年の1793年にゲンツィンガー夫人は36歳という若さでこの世を去ってしまいます。

アンダンテと変奏曲はこの夫人の死をきっかけに書かれたというのがこの作品についての最も有名な説です。

哀愁漂うへ短調の第1主題と愛らしいヘ長調の第2主題からなる二重変奏曲で最後のコーダの部分の激しさからは愛する人を失った悲しみが感じられます。

またもう一つのエピソードとしてモーツァルトの死を悲しんで書かれたのではという説もあります。

ハイドンは1781年モーツァルトがウイーンに居を定めて以来親密な交際を続けておりましたが、ハイドンが第1回目のロンドン旅行に発ったその日にモーツァルトは亡くなります。 筆写譜にはモーツァルトの高弟の一人のプロイアー夫人に捧ぐと記されておりモーツァルトの死を悼んでこの作品をモーツァルトの愛弟子に捧げたというのもうなずけるエピソードです。

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ハイドン アンダンテと変奏曲♫~ブレンデル
ハイドン アンダンテと変奏曲♫~パウル・バトゥーラ・スコダ
ハイドン アンダンテと変奏曲♫~シフ
ハイドン アンダンテと変奏曲♫~ラ・ローチャ
ハイドン アンダンテと変奏曲♫~プレトニョフ
ハイドン アンダンテと変奏曲♪~ハスキル
ハイドン アンダンテと変奏曲♪~パデレフスキー
ハイドン アンダンテと変奏曲♪~バックハウス
ハイドン アンダンテと変奏曲♪~エゴン・ペトリ



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ハイドン ピアノ・ソナタ Hob.XVI-37 二長調(ウイーン原典版/ランドン版第50番) 作品30-3/Haydn Sonate fur Klavier Nr.50 D-Dur Hob.XVI-37 Op.30-3

この曲は今年の第70回全日本学生音楽コンクールの小学校の部の本選の課題曲の一つとなっております。

正確な作曲年は不明ですが、出版は1780年にHob.XVI/35~39までの作品から成る「ソナタ集第1巻Op.30」としてウイーンで出版されております。 このソナタ集はアウエンブルッガー姉妹に献呈されております。

ハイドンらしさに溢れた曲で1楽章は大変快活なフレーズで2楽章は荘厳な雰囲気、3楽章はハイドンらしい素朴で無邪気な曲です。

1楽章と3楽章は二長調で2楽章はニ短調で書かれておりますが、ハイドン(1732~1809)のソナタにはニ短調は存在せず、2楽章がニ短調の曲がわずか3曲残っているだけです。

1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
1

2楽章 ラルゴ・エ・ソステヌート
2

3楽章 フィナーレ
3

ハイドン ピアノソナタ第50番♫~コブリン
ハイドン ピアノソナタ第50番♫~ワイセンベルク
ハイドン ピアノソナタ第50番♫~エッシェンバッハ
ハイドン ピアノソナタ第50番♫~リリー・クラウス

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イングリッド・ヘブラー



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ハイドン ピアノ・ソナタ Hob.XVI-51二長調(ウイーン原典版/ランドン版第61番)作品93/Haydn Sonate fur Klavier Nr.61 D-Dur Hob.XVI-51 Op.93

ハイドン(1732~1809)は長くエステルハージ家に仕える作曲家でしたが、1790年エステルハージ候が亡くなったのを機にザロモンの要請でロンドンに渡ります。 1791年~1792年と1794年~1795年の二回イギリスを訪問しておりますが、この二度目のイギリス訪問の際、イギリスで作られたHob.16-50,16-51,16-52の3曲のピアノ・ソナタは「イギリス・ソナタ」と呼ばれており、その第2曲目が今日書きますHob.16-51二長調作品93です。

全2楽章から成り立っております。

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第1楽章 アンダンテ
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冒頭の主題は簡素な音型に基づいており、提示部を反復せず展開部へと切れ目なく続き再現部では第1主題に手を加えております。

第2主題 フィナーレ
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ロンド形式で書かれており、ロンド主題は左右のユニゾンで開始しアウフタクトがこの楽章全体の前進する力を醸し出しております。

参考ブログ
ハイドン ピアノ・ソナタ Hob.XVI-50
ハイドン ピアノ・ソナタ Hob.XVI-52

ハイドン ピアノ・ソナタHob.XVI-51♫~ブレンデル


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ハイドン ピアノ・ソナタ Hob.XVI:52変ホ長調(ウイーン原典版/ランドン版第62番) 作品82

1794年作曲、1798年出版されたハイドンのピアノ・ソナタ変ホ長調Hob.XVI:52はハイドンのピアノ・ソナタの中で最後期に書かれた華やかな充実した作品となっております。

ハイドンは長くエステルハージ候に仕える作曲家でしたが、1790年エステルハージ候が亡くなったのを機にザロモンの要請でロンドンに渡ります。 1791年~1792年と1794年~1795年の二回イギリスを訪問しておりますが、この二度目の訪問の際イギリスで作られたHob.XVI-50,51,52の3曲のピアノ・ソナタは「イギリス・ソナタ」と呼ばれておりその第3曲目が今日のピアノ・ソナタHob.XVI-52変ホ長調作品82です。

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第1楽章 アレグロ
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ディナーミクが楽章全体を通して目まぐるしく変化する事が特徴的です。 展開部の開始2小節のフェルマータの扱いはハイドンの弟子のベートーヴェンのピアノ・ソナタに引き継がれていきます。
ハイドン ピアノ・ソナタHob.XVI-52 第1楽♫~キーシン

第2楽章 アダージョ
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ハイドン ピアノ・ソナタ HOb.XVI-52 第2楽章♫~キーシン
 
第3楽章 プレスト
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この楽章にはクレッシェンドおよびディミヌエンドが1度も記されておらずその過程を経ないディナーミクの変化・対比が特徴的です。
ハイドン ピアノ・ソナタ Hob,XVI-52 第3楽章♫~キーシン

参考ブログ
ハイドン ピアノ・ソナタHob.XVI-50


ハイドン ピアノ・ソナタ Hob.XVI-52♫~ホロヴィッツ
ハイドン ピアノ・ソナタ Hob.XVI-52♫~ブレハッチ


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ハイドン ピアノ・ソナタ Hob.XVI:50 ハ長調(ウイーン原典版/ランドン版第60番) 作品79

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

ハイドン(1732~1809)はウイーン古典派を代表するオーストリアの作曲家ですが、「交響曲の父」「弦楽四重奏曲の父」と呼ばれ数多くのシンフォ二ー、弦楽四重奏曲を作っており、ピアノ・ソナタも60曲以上作っています。

♪カテゴリー「交響曲」♪の中にハイドンに関する記事が入っておりますので、合わせてお読み頂けたらと思います。

ハイドンは長くエステルハージ家に仕える作曲家でしたが、1790年エステルハージ候が亡くなったのを機にザロモンの要請でロンドンに渡ります。 1791年~1792年と1794年~1795年の二回イギリスを訪問しておりますが、この二度目のイギリス訪問の際、イギリスで作られたHob.16-50,16-51,16-52の3曲のピアノ・ソナタは「イギリス・ソナタ」と呼ばれており、その第1曲目が今日書きますHob.16-50 Op.79のハ長調のピアノ・ソナタです。

このソナタは大規模な構成的にも優れたピアノ・ソナタで2楽章はベートーヴェンのピアノ・ソナタにも通じる充実した緩徐楽章の表現で、3楽章ではベートーヴェンの初期のピアノ・ソナタでもまだ使われていない3点のイ音まで最高音が達しています。

ハイドンのピアノ・ソナタは初期はハープシコード(チェンバロ)を想定して作曲されていますが、このハ長調のピアノ・ソナタを作曲した頃はクラビコードやピアノフォルテの楽器をイメージして作曲していたのではないかと思われます。
ハイドンの生家
ハイドンの生家(クラビコード)

ハイドンの肖像画
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ハイドンの肖像画

ハイドンのGumpendorfの家の内庭
ハイドンがリタイア後に住んだウイーン郊外のGumpendorfの家の内庭

建て直されたハイドンのGumpendorfの家のインテリア
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建て直されたハイドンのGumpendorfの家の清潔なインテリア

このハイドンのピアノ・ソナタハ長調は、♪相愛音楽教室♪の卒業実技テストで弾き1番を頂き、その後の卒業演奏会でベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ2番」とリストの「小人の踊り」を演奏させて頂けた思い出の曲です。

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ウイーン原典版(ランドン版)
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第1楽章序奏(主題)
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第1楽章展開部
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第1楽章再現部

この曲はピアニストによってテンポや解釈がかなり違いますのでランランとブレンデルの演奏にリンクします。
ランランのピアノ演奏
ハイドン ピアノ・ソナタ ハ長調 Hob.16-50 作品79 その1
ハイドン ピアノ・ソナタ ハ長調 Hob.16-50  作品79 その2♬ 

ブレンデルのピアノ演奏
ハイドン ピアノ・ソナタ ハ長調 Hob.16-50 第1楽章
ハイドン ピアノ・ソナタ ハ長調 Hob.16-50 第2楽章
ハイドン ピアノ・ソナタ ハ長調 Hob.16-50 第3楽章

ブレンデル ハイドン CD
アルフレッド・ブレンデルCD

明日は音楽家が書いた種々のご本をご紹介します。 

















室内楽を聴く楽しさ(ハイドン弦楽四重奏曲)

カテゴリー「室内楽」♪に入っております。
プロフィール

谷真子 masakotani

Author:谷真子 masakotani
東京音楽大学卒業

ADRESS
奈良市学園前

ピアニスト谷真子公式サイト
http://masakotani.co
奈良市学園前 谷真子ピアノ教室 教室ブログ「musica」
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