バッハ 4つのデュエット/Bach 4Duette BWV802-805

バッハの4つのデュエットは2声の鍵盤楽器音楽ですが、1739年出版のオルガン・コラール集の「クラヴィーア練習曲集第3巻」に収録されています。

4つのデュエットの4は「地水風火」の四大元素を表すという説もありますが、オルガン・コラール集になぜクラヴィーア作品が入っているのかは確かな事は分かっていません。


バッハ 4つのデュエット~リヒテル


ピアニスト谷真子公式サイトはこちらへ

バッハ ゴルトべルク変奏曲(アリアと30の変奏曲) ト長調/J.S.Bach Goldberg-Variationen Aria mit verschiedenen Veranderungen G-Dur BWV988

ゴルトベルク変奏曲はバッハ(1685~1750)によるアリアと30の変奏曲から成る2段の手鍵盤のチェンバロのための練習曲です。

全4巻からなる「クラヴィーア練習曲集」の第4巻であり1742年に出版されました。

バッハ自身の表題は「2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」となっております。

ゴルトベルク変奏曲というのは俗称で、バッハが音楽を手ほどきしたゴルトベルクが不眠症に悩むドレスデンの延臣カイザーリンク伯爵のためにこの曲を演奏したと言う逸話からこの俗称が付けられましたが、演奏には高度な技術を必要としゴルトベルクは当時まだ14歳であったことから、この逸話については懐疑的な見方が多くあります。

ピアノが主流となった時代から20世紀初頭まで演奏されることは少なかったですが、ランドフスカのモダンチェンバロによる演奏録音やグールドのデビュー録音によって世界的なヒットとなり広く知られるようになりました。

バッハ ゴルトベルク変奏曲♫~シフ
バッハ ゴルトベルク変奏曲♫~ニコライエワ
バッハ ゴルトベルク変奏曲♫~ランドフスカ(チェンバロ)
バッハ ゴルトベルク変奏曲♫~レオンハルト(チェンバロ)


ピアニスト谷真子公式サイト



バッハ 3声のインヴェンション(シンフォニア) 第3番 二長調 BWV789/Bach Sinfonia D-Dur BWV789

インヴェンションとシンフォニア BWV 772-801(Inventionen und Sinfonien BWV 772-801)は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685~1750)が作曲したクラヴィーアのための曲集でケーテン時代の1723年頃の作品です。 同年、バッハは聖トーマス教会音楽監督(トーマスカントル)に就任しておりライプツィヒ時代には教育目的のクラヴィーア曲が多数作曲されました。

P1030466.jpg

P1030467.jpg

長男のために編まれた「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集(Klavierbüchlein für Wilhelm Friedemann Bach)」(1720年頃)の後半部に初稿があり、同書の前半部には「平均律クラヴィーア曲集第1巻」(1722年)の初稿が含まれております。 初稿の曲名は「プレアンブルム」(Praeambulum, 32-46曲, 36-51頁)と「ファンタジア」(Fantasia, 49-62曲, 58-73頁, 72-73頁散逸)でした。

インヴェンションは2声部の、シンフォニアは3声部の、対位法的な書法による様々な性格の小曲です。 シンフォニアは「3声のインヴェンション」と呼ばれることもあります。

演奏だけでなく、作曲も視野に入れた優れた教育作品として、現在も高く評価されており、現代のピアノ学習者のための教材としても広く用いられております。 

シンフォニアはほとんどがフーガ書法で書かれておりますがフーガに独特の累加的な始まり方をするものが全くなく、これは学習用の小品という意図に見合った短い主題を、やはり短い1曲の中でできるだけ多様に展開するためと、響きが硬くなるのを避けるためと考えられます。

部分的には三重対位法が用いられており主題の反行や転回によって多様な組み合わせが現れます。

15曲の調は2声インベンションと同じ配列で並べられておりおそらく実践で用いられる頻度に応じて選ばれたものと思われます。

P1030469.jpg

P1030468.jpg

第3番 ニ長調 BWV 789は4分の4拍子で、冒頭で下属調の第4音であるCが出てくるため、あたかもト長調であるかのような印象を受けます。 平行3度の音階、複雑な左右の受け渡しが発生するストレッタなど、高度な技巧が要求されます。

バッハ シンフォニア 第3番♫~シフ
バッハ シンフォニア 第3番♫~ギーゼキング
バッハ シンフォニア 第3番♫~グ―ルド
バッハ シンフォニア 第3番♫~ハープシコード


ピアニスト谷真子公式サイト

アンナ・マクダレーナ・バッハのための音楽帳

J.S.バッハはアルンシュタットとミュールハウゼンでは教会オルガニストとして、ワイマールでは宮廷オルガニストから楽師長、ケーテンでは宮廷楽長、ライプツイヒではトマス・カントルとキャリアを高めていきますが、ケーテン時代の1720年の7月に妻マリア・バルバラが亡くなります。

1721年12月3日、妻の死後ケーテンでアンナ・マクダレーナ・ヴュルケンと再婚致します。 アンナ・マクダレーナはまだ21歳でしたが「ツエルプストの宮廷歌手」として経済的に自立しており、結婚後も引き続き雇用されながら、18人の子供の母として膨大な家事をこなしながら子育てもしておりました。

この才能豊かな若い妻をさらに音楽的に教育するために、バッハは彼女に2冊の音楽帳を贈りました。

彼女はバッハの仕事に強い関心を抱き、ヨハン・セバスチャン・バッハの多くの作品を美しくとても読みやすい記譜で写譜いたしました。 また一緒にホームコンサートを開いたり、作曲法を習ったりいたしました。 

第1巻の音楽帳は1722年にケーテンでまとめられました。 第1巻には5つのフランス組曲とコラール編曲「我が頼みなるイエスは」、変奏曲付きのアリアとメヌエットが収められております。
P1020844.jpg

第2巻は1725年から1734年と1740年にかけてライプツイヒでまとめられました。 「クラヴィーア練習曲第1巻」より2つのパルティータ、2曲のフランス組曲、「平均律クラヴィーア曲集第1巻」よりハ長調の前奏曲、「ゴールドベルク変奏曲」のアリア、クープランのロンドー、いくつかの小品などが含まれております。 またこの巻にはアンナが歌うための歌曲集も含まれております。
P1020845.jpg

P1020843.jpg
第1巻 クラウス・シルデ

P1020842.jpg
第2巻 クラウス・シルデ


レッスン問い合わせ



 

バッハ パルティータ

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

パルティータという言葉はイタリア語がオリジナルで17世紀には変奏曲の意味で使われておりましたが、18世紀ドイツでは共通のモティーフによって統一性を持って構成された組曲という意味で使われておりました。

1731年「クラヴィーア練習曲集第1巻 作品1」として、6つのパルティータをバッハは再度改訂しまとめて1冊の曲集として出版致しました。 1726年にライプツィヒで第1番を、1727年に第2番と第3番を、1728年に第4番を、1730年に第5番と第6番を別々にすでに出版致しておりましたが、「パルティータ」はバッハの作品の中で初めて出版されたものでもあります。

「パルティータ」は「フランス組曲」、「イギリス組曲」とある一連のクラヴィーア組曲集の集大成とも言え、また「平均律クラヴィーア曲集第2巻」や「ゴールドベルク変奏曲」とともにクラヴィーア曲集の最高峰とも言えるのではないかと思います。

導入楽章を持つのはイギリス組曲と共通しておりますが、イギリス組曲は導入楽章がプレリュードと名称が同じなのに比べ、パルティータは導入楽章の名称が異なっております。 また古典舞曲にもイタリア式の割合が増えイタリア趣味ではありますが、構成感覚は非常に堅牢でバロック組曲の総括として古くは「ドイツ組曲」とも呼ばれていたようです。

第1番はプレリューディウム、アルマンド、コレンテ、サラバンド、メヌエット1、メヌエット2、ジ―ガ(バッハはここで初めて左右の手が交差する奏法を使用)、第2番はシンフォニア、アルマンド、クーラント、サラバンド、ロンドー、カプリッチョ、第3番はファンタジア、アルマンド、コレンテ、サラバンド、ブルレスカ、スケルツォ、ジーグ、第4番はウ―ヴァテューレ、アルマンド、クーラント、アリア、サラバンド、メヌエット、ジーグ、第5番はプレアンブルム、アルマンド、コレンテ、サラバンド、テンポ・ディ・ミヌエッタ、パスピエ、ジーグ、第6番はトッカータ、アレマンダ、コレンテ、エール、サラバンド、テンポ・ディ・カヴォッタ、ジーグとなっています。

参考ブログ
バッハ フランス組曲とイギリス組曲



ではアシュケナージ、コヴァセヴィッチの演奏にリンク致します。

バッハ パルティータ第1番、第2番、第3番♫~アシュケナージ
バッハ パルティータ第4番♫~コヴァセヴィッチ
バッハ パルティータ第5番♫~アシュケナージ
バッハ パルティータ第6番♫~アシュケナージ

P1020488.jpg
6つのパルティータ ヘンレ版

P1020489.jpg

P1020490.jpg
6つのパルティータCD~イエルク・デームス


明日はシューマンの「交響的練習曲」について書きます。












バッハ フランス組曲とイギリス組曲

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

バッハの全クラヴィーア作品の中でそれぞれ6つの組曲からなる「フランス組曲」、「イギリス組曲」、「パルティータ」という3つの組曲集はバッハ作品の中でも傑作の一つと言えるのではないかと思います。

バッハはこれらの作品を通して古典組曲の様式を頂点にまで持っていきましたが、同時にクラヴィーア書法の全てを展開しており、それらが現代でも「バッハは鍵盤楽器の基礎である」と音楽のお勉強には必修の作曲家と言われる所以です。

古典組曲というのは、(原則として)調性は同じだが性格が違ういくつかの音楽を一定の法則に従って並べた多楽章の器楽曲の事で、バロック時代の代表的な楽曲形式の一つです。

アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグという主要な4つの舞曲がその順番で配列されているのが古典組曲の特徴ですが、バッハの場合は冒頭にプレリュード、序曲などを置いたり、サラバンドとジーグの間にメヌエットやガヴォット他、またエールなどを挿入しているのが普通です。

*****
<アルマンド>
16世紀ごろから主にフランスで流行した緩やかなテンポの2拍子系の舞曲。 しかし組曲に使われる舞曲は18世紀には踊りの伴奏という実用的な性格は失われ、器楽曲として半ば様式化されておりました。 バッハの場合はアルマンドはほとんどが4拍子です。
バロックダンス アルマンド♫ 

*****
<クーラント>
16世紀後半に起こったテンポの速い3拍子系の舞曲。 急速な3拍子のイタリア風クーラントのコレンテと比較的速い3/2もしくは6/4拍子のフランス風クーラントがあります。
バロックダンス クーラント

*****
<サラバンド>
16世紀にスペインで流行し、のちにフランスやイギリスに広まった3拍子の舞曲。 ゆったりとした運びと荘重な気分が特徴です。
バロックダンス サラバンド

*****
<ジーグ>
16世紀にイギリスで流行し発展した3拍子系の活発な舞曲。 
バロックダンス ジーグ

*****
バロックダンス メヌエット
バロックダンス ガヴォット


ほとんど同時期に作曲されたフランス組曲とイギリス組曲(どちらも第三者が命名したもの)ですが、イギリス組曲は6曲すべてに規模の大きなプレリュードを冒頭においており全体に長大で力強い曲想を持っておりますが、フランス組曲の6曲は全ていきなりアルマンドから始まり全体に比較的小ぶりで優雅で繊細な雰囲気なのが特徴です。

バッハ フランス組曲全曲♫~アンドラ―シュ・シフ
バッハ イギリス組曲全曲♫~アンドラ―シュ・シフ

バッハ フランス組曲第5番♫~ルドルフ・ゼルキン
バッハ フランス組曲第5番♫~チェンバロ

バッハ イギリス組曲第3番♫~リヒテル
バッハ イギリス組曲第3♫~チェンバロ

私はフランス組曲は小学生の時に、イギリス組曲は中学生の時にお勉強したしましたが、楽譜はヘンレ版を使っておりました。

P1020470.jpg
フランス組曲 ヘンレ版

P1020469.jpg
イギリス組曲 ヘンレ版

P1020481.jpg
バッハ フランス組曲全集CD~イングリッド・ヘブラ~
(↑私が小さい時一日家の中でかかっていたCDの一枚です。)

P1020482.jpg
バッハ フランス組曲全集~グレン・グールド

P1020483.jpg
バッハ イギリス組曲全集~イエルク・デームス

P1020484.jpg
バッハ イギリス組曲第3番~エヴァ・ポブウォッカ



明日はバッハの「パルティータ」について書きます。







バッハ「イタリア協奏曲」へ長調BWV971

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

Johann Sebastian Bach(1685~1750)は日本では「音楽の父」と呼ばれ西洋音楽の始祖に位置づけられ西洋音楽の基礎を作った作曲家と評されていますが、バロック音楽研究者の間ではバロック音楽を集大成させた作曲家としてバロック時代の最後尾に置かれております。

そのバッハが1735年出版した「クラヴィーア練習曲集・第2部」には「イタリア協奏曲」と「フランス風序曲」の2曲が収められております。
「イタリア協奏曲へ長調BWV971」
Concerto nach Italienischem Gusto(イタリア趣味による協奏曲)
「フランス風序曲ロ短調BWV831」
Ouverture nach Franzosicher Art(フランス様式による序曲)

今日は♫「イタリア協奏曲」♫について書いてみます。

この曲はチェンバロ独奏による急ー緩ー急という3楽章の協奏曲ですが、形式はイタリアのコンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)の形式を取り入れており、独奏部と総奏部の違いを2段鍵盤式チェンバロで表現しようとしております。
P1010844.jpg
 
バッハには珍しく強弱記号もきちんと記入されており、明るい1楽章、右手がアリアを奏でる2楽章、プレストで走る3楽章とその対照も見事で、バッハの音楽を批判したヨハン・アドルフ・シャイベ(1706~1776)も「単一の楽器で演奏する協奏曲の最大で最高の曲」とこの曲は褒めております。

この曲は中学1年の時、全日本学生音楽コンクール大阪大会予選で演奏した曲ですが、その時の楽譜等を掲載致します。
↓第1楽章(クリックされると拡大致します。)
P1020156.jpg
↓第2楽章(クリックされると拡大致します。)
P1010826.jpg
↓第3楽章(クリックされると拡大致します。)
P1010827.jpg
↓第1楽章についての私の中1の時のメモ(クリックされると拡大致します。)
P1010831.jpg

<参考ブログ>
第48回全日本学生音楽コンクール大阪大会の思い出
故片岡みどり先生(当時相愛大学名誉教授)の思い出
バッハ イタリア協奏曲の思い出

バッハ イタリア協奏曲♫~ガブリリュク
イタリア協奏曲(チェンバロ)♫~Celine Frisch
(チェンバロ演奏の映像ですが、奏者の手元が映っていますので二段鍵盤で弾くイタリア協奏曲のイメージが良く分かります。)


+++チェンバロ+++
Cembalo(独)
clavicembalo(伊)
harpsicord(英)
clavecin(仏)
チェンバロは鍵盤を用いて弦をはじかせ発音する楽器です。
各国呼び方が違いますが、皆同じ楽器を指しています。 ちなみにクラヴィーアとは鍵盤楽器の総称の事です。 クラヴィーアにはチェンバロ、クラビコード、ピアノフォルテなどいろいろな楽器があります。

+++1996年鍵盤楽器の楽しみ(NHK-BS放映)~(元)日本ベーゼンドルファー社後援+++
P1010851.jpg
(↑クリックされると拡大致します。)


P1010834.jpg
アントン・ワルター(レプリカ)

P1010835.jpg
ジョン・ブロード・ウッド(1814年)

P1010837.jpg
プレイエル(1840年)

P1010837.jpg
ベーゼンドルファー(1858年)

P1010840.jpg
エラール(1903年)

P1010843.jpg
ベーゼンドルファー(1895年)

P1010844.jpg
フレミッシュハープシコード デュルケン 1745年モデル

P1010850.jpg
↑ショパンが描いた風景画(鉛筆画)~クリックされると拡大致します。

P1010849.jpg
↑ベートーヴェンがブロードウッドに宛てた手紙(1818年)~クリックされると拡大致します。







 




バッハ=ブゾーニ 「シャコンヌ」

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

ピアノを勉強する人にとっては「シャコンヌ」と言えばブゾーニ編曲の「シャコンヌ」を指している場合が多いのですが、これはもともとはバッハ作曲のヴァイオリンのための名曲です。 心を打たれる名曲ですので、ブゾーニ以外にもブラームスも左手だけのピアノ用の練習曲として編曲をしております。

バッハ 「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番二短調 シャコンヌ」♫~アイザック・スターン

1720年バッハは「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV1001~1006」という3つのソナタと3つのパルティータからなる曲集を作曲しております。 その中のBWV1004は「パルティータ第2番」と呼ばれ5曲の舞曲で成立しています。 パルティータ第2番の終曲の第5曲が「chaconne」です。

シャコンヌ(chaconne)はフランス語で、3拍子の変奏形式による舞曲の一種です。 起源は16世紀末のスペインでスペイン舞踊ではchacona(チャコーナ)と呼ばれます。 スペインの大陸進出で新大陸へと広まり、そこからイタリア、フランス、ドイツと逆輸入され広まっていきます。 もともとは多くは歌を伴う快活な長調の舞曲だったようですが、17世紀半ばフランスに入ると短調の曲も見られるようになり、落ち着いた曲に変わっていったようです。 ドイツのバッハの「シャコンヌ」はシャコンヌの歴史の集大成の曲ではないかと思います。

さてバッハの「シャコンヌ」ですが、ヴァイオリンのお勉強をされる方にはこの無伴奏の3曲のソナタと3曲のパルティータは必修の曲のようですが、4本の弦でバッハの「シャコンヌ」の世界を表現するのはヴァイオリンの高度な技術を必要とします。 

ブラームスが右手を故障したクララのために編曲したと言われる「左手のためのシャコンヌ」は、クララのためというよりもバッハに敬意を表して和声楽器のピアノの右手を使わず作曲したのではないかという意見もあるようです。

バッハ シャコンヌ(ブラームス編曲)♫~クリスティアン・ツイメルマン

それに反してブゾーニは原曲にない音も追加しておりますし、バッハ=ブゾーニ 「シャコンヌ」にはいろいろな見解があるようですが、シャコンヌのメロディが親しまれてきたのはブゾーニの編曲が大きな役割をになってきたのではないかと思います。

フェルッチョ・ブゾー二(1866~1924)はイタリア生まれですが、ほとんどをドイツで過ごしております。 オルガンの響きのような壮大な世界はピアノで表現しても難しく、技巧的には中学生でも弾けるのですが、精神の表現はとてつもなく深く難しいものがあります。

バッハ=ブゾーニ シャコンヌ 二短調♫~エフゲニー・キーシン(楽譜付き)

バッハ シャコンヌ ブライトコプフ版
バッハ シャコンヌ 楽譜

名曲ですので、是非トライしてみて下さい。

明日は、本日行われるイヴ・アンリ氏のレクチャー・リサイタルについて書きます。  















バッハ 平均律 第1巻・第2巻(ほどよく調律されたクラヴィーアのための)

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

バッハ(1685~1750)はバロック音楽を集大成した18世紀の作曲家・鍵盤奏者ですが、「平均律」と呼ばれる2巻からなるクラヴィーア曲集を作曲しています。 この曲集はピアノを勉強する者には必修の教本で、試験やコンクールには必ず課題曲として出されます。

何故必ず課題曲になるのでしょうか?

それはピアノを学ぼうとすると、クラシック音楽の基本の一つである対位法を学ぶ必要があるからです。 楽譜の構造を織物にたとえると、和声(ハーモ二ー)が縦糸であるとするならば、対位法は横糸だとイメージされて下さい。

演奏に一番大切な事は学問的な研究ではなく、「聴く人の心にどれだけ訴えるか」なのですが、クラシック音楽の場合は曲の内容の深さや形式の構築性、各声部の計算された論理性が聴く人の心を動かしています。 ですからそれらを再現しようとすると演奏者は楽譜を分析して研究しなければ再現する事はできないのです。
市田儀一郎著バッハ平均律解釈と演奏法
「バッハ平均律解釈と演奏法」市田儀一郎著
バッハ 平均律 第1巻 第2番 フーガ 分析
(中学生時代フーガ分析)
バッハ 平均律 第2巻 第1番 プレリュード楽譜
(中学生時代書き込み)


ところで「平均律」と言われますがバッハ自身は「Das Wohltemperirte Clavier」と名付けています。 現在のドイツ語表記では「Das Wohltemperierte Klavier」となります。 この「wohltemperirte」は「well-tempered」という意味で「ほどよく調律された」という意味です。

ピアノの技術の事は演奏する事とは別の仕事ですので、私も難しくて良く分からないのですが簡単にご説明いたします。

平均律(十二平均律)とはそれまでの古典調律法とは違い1オクターブを均一に12等分した調律法の事です。 固定されたピッチを持つ鍵盤楽器では曲に合わせてピッチを変えるという事はできません。 そこで平均律という調律法で機械的にすべての半音を同じ音程で並ばせ24調どの調で弾いてもきれいな響きで聴こえるように固定しているわけです。 

バッハの時代以前では中全音律と呼ばれる調律法が主体的に使われておりました。 中全音律で24調を弾くと響きに耳を覆いたくなるような汚い和音の響きが出てくるのです。 ですからそれまでは中全音律の鍵盤楽器では限られた調の音楽しか実際には作られなかったようです。

しかしヴェルクマイスターという人が以前から考えられていた今の平均律に近い理論を具現化させ新しい古典調律法を考案しました。 そして徐々にそれらは実用化され、早速バッハはその「ほどよく調律された」鍵盤楽器のためにシャープやフラットがいくつも付いた調号での作曲を試みたようです。 そこで「well-tempered」とタイトルに書いたのであって現在の平均律の事ではありません。

さてC音を基音と考えて1:2の振動数の割合でオクターブ高いC音を求め7オクターブ高いC音を求めていってみます。 また一方別のやり方でC音を基音とし2:3の振動数の割合で5度高いG音を決め、そのG音からまた2:3の振動数の割合で5度高いD音を決め、それを12回繰リ返して行くと先程と同じC音に至ります。

しかし後のやり方で得られたC音の方がわずかに高くなります。 これはピタゴラス・コンマと呼ばれギリシャのピタゴラスがその昔すでに発見していた事です。 これは固定されたピッチを持つ鍵盤楽器には大変な問題で、中全音律ではそのしわ寄せをシャープやフラットが多い調にずっと負わせてきていたわけですが、その部分はひどい響きになるので実際には殆んどシャープやフラットの多い調号での曲は作られなかったようです。

ですからヴェルクマイスターの調律法はいかに画期的な事であったか、現代に生きる我々は時空を超えて考えないと理解不能になるかもしれません。

ピアノの発展とともに、調律法も時代に合わせて変化してきていますので、古典派であるモーツァルトやハイドンなどのソナタが、♭や♯の少ないシンプルな調の曲が多いのは、その当時のピアノや調律法が、シンプルな調性にしか美しく響かなかったためかと思われます。



さてバッハの平均律第1巻ですが、ケーテン時代(1717~1723)に作られ”ほど良く調律されたクラヴィーアのための”と表記されましたが、第2巻は晩年の1744年に集大成されこちらには前述のような表記はなく”24の新しい前奏曲とフーガ”と記されているだけです。  しかし現在では平均律第2巻と呼ばれています。

ヨーロッパではバッハの平均律とショパンのエチュードとベートーヴェンのソナタは全曲お勉強するのが普通だと関孝弘先生をはじめ外国の先生方がよくお話しされていましたが、日本では試験の曲しかしていないという事が多いです。 でもそれがピアニストとして仕事をしていくようになった時に禍するようです。 将来プロで活動していきたい方は中学、高校の一番吸収できる年齢の時に平均律全曲弾いてみるという楽しい目標を掲げてお勉強をしてみられたら良いのではと思います。
P1010359.jpg
(バッハ平均律第1巻ヘンレ版)
P1010360.jpg
(バッハ平均律第2巻ヘンレ版)


平均律の曲の中から私の好きな曲をご紹介したいと思います。 1曲目は第1巻の第4番 嬰ハ短調 BWV849です。 そしてもう1曲は第2巻の第22番 変ロ短調 BWV891です。 どちらも精神性の深い楽曲的にも難しいものですが、それと感じさせない世界にバッハのすごさを感じます。

バッハ 平均律 第1巻 第4番 プレリュード~オコンサール
https://www.youtube.com/watch?v=QbWF0L3d6o8
バッハ 平均律 第1巻 第4番 フーガ~オコンサール
https://www.youtube.com/watch?v=eoca4MtnYQY 
バッハ 平均律 第2巻 第22番 プレリュード~オコンサール
https://www.youtube.com/watch?v=DqwgVvYg2O8
バッハ 平均律 第2巻 第22番 フーガ~オコンサール
https://www.youtube.com/watch?v=A6Ft8AbZRJk

オコンサール.M 公式サイト(Mehmet Okonsar, 現在David Ezra Okonsar)…トルコを代表する世界的なピアニスト
http://www.okonsar.com/

平均律のCDは発売されている著名なピアニスト全てと言っていいくらい持っていますが、その内のいくつかをご紹介致します。 趣味として愛好するというより、私自身が子供のときよりお勉強のために買い集めて来ていつのまにか集まったという感じです

本来、バッハの原典版と呼ばれる楽譜には音以外にはほとんど何も指示が書かれていませんので、演奏者によっていろいろな解釈が出てまいります。 ですからお勉強する時は、いろいろな出版社のバッハの楽譜やある時はCDの演奏を参考にし、「ここは繋げるか、ここはスタカートにするか、レガートにするか」等、楽譜を睨みながら研究を致します。 ですから気が付いたら「平均律」のCDが何枚も集まっているわけです。

門下のご家族の方で下のCDをお聴きになりたい方は生徒さんを通して受付へお尋ねください。

ウイルヘルム・ケンプ
ケンプ
エドウイン・フィッシャー
エドウイン・フィッシャー
イエルク・デームス
イエルク・デームス
イエルク・デームス(新録音)
デームス 平均律CD 新録音
タチアナ・二コラーエワ
タチアナ・二コラーエワ
ダニエル・バレンボイム
バレンボイム
アンドラーシュ・シフ
アンドラーシュ・シフ
グレン・グールド
グールド
フリードリッヒ・グルダ
グルダ

グレン・グールド演奏 バッハ平均律第2巻22番プレリュード・・・ファンは多いですが個性的です。
https://www.youtube.com/watch?v=T07ElVeIgbw

リヒテル演奏 バッハ平均律第1巻4番プレリュード・・・巨匠の演奏ですのでテンポだけを真似ると全く違うものになります。
https://www.youtube.com/watch?v=k4xGqq1VwkU

アンジェラ・ヒューイット演奏 バッハ平均律第2巻22番プレリュードとフーガ…バッハ弾きと言われているカナダの女流ピアニストです。
https://www.youtube.com/watch?v=HRoBL-UqFvA

同じ曲でもピアニストによって随分違うのがどなたでも分かると思います。 ウイ―ンのピアニスト、イエルク・デームスの演奏にリンクしたかったのですがアップされていませんでしたが、デームスは私が参考にする事が多いピアニストの一人です。

明日はベートーヴェンの交響曲4番と6番「田園」と9番「合唱」をリストがピアノ用の楽譜に編曲したCDを持っていますので、それについて書いてみようと思います。








  

バッハ「マタイ受難曲」BWV244

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

J.S.Bach(1685~1750)はドイツの作曲家ですが、今日はバッハの「マタイ受難曲」について書いてみようと思います。 この「マタイ受難曲」は1727年ライプツィヒの聖トーマス教会で初演された作品ですが、新約聖書の中の「マタイによる福音書」の第26章と第27章の記述をバッハが音楽で描写したものです。

新約聖書には「マタイによる福音書」「マルコによる福音書」「ルカによる福音書」「ヨハネによる福音書」と4つの福音書がありますが、バッハが自分で音楽を付けたのは「マタイ」と「ヨハネ」の2つだけです。 

福音書というのは「キリストの誕生からの伝記と言行、そして受難と死と復活」を4人の使徒がそれぞれに記述したものですが、同じ出来事でも4人それぞれ述べる角度が違いますので当然「マタイ受難曲」と「ヨハネ受難曲」ではバッハの音楽も違ってきます。 何も知らずにただ音楽を聴くだけでもその精神性に深く感動させられますが、聖書の中のキリストの受難の出来事を知るとより音楽への理解も深まるのではないかと思います。
バッハ「マタイ受難曲」
バッハ「マタイ受難曲」

バッハが音楽を付けているのは新約聖書の「マタイによる福音書」の中の第26章1節から第27章66節までの6ページ程の部分ですが、バッハはまず「マタイ受難曲」の冒頭で、キリストが磔になるため十字架へ静かに進む道のりの場面を音楽で描写しています。(第1曲)
バッハ「マタイ受難曲」スコア
1(コーラス)

 そしてバッハは聖書の第26章と第27章を音楽で描写していきます。 

聖書の「マタイによる福音書」の第26章と第27章は、祭司長達の合議、ユダの裏切り、最後の晩餐、オリーブ山での弟子たちの躓きのイエスの予言、ゲッセマネの園での人間イエスの苦しみ、捕縛、大祭司の尋問、ペテロの否認、ユダの後悔、ピラトの尋問とイエスの愛、ピラトの判決とイエスへの鞭打ちと民衆のイエスへの嘲弄、イエス・キリストの十字架への道、そして磔、イエスの死、埋葬とキリストの受難を記述しています。。

バッハはこのキリストの受難を聖書の記述に従って音楽でそれを描写していきます。 

そして最後は墓前にひざまずく信徒達の祈りを描写した「終曲」で音楽は静かに終わります。
68(78)終曲
 
このイエスの受難の場面は聖書の中でも一番良く絵画や文学でも取り上げられる場面ですので皆さん想像はしやすいのではないかと思います。

音楽的にさらに詳しい事は音楽学者の礒山雅さん(1946~)の「マタイ受難曲」(東京書籍)をご参考になさって下さい。 日本を代表するバッハの研究家の方です。

ヘンデルに比べるとバッハはその死後、一部の作品を除けばあまり上演されなくなってしまいます。 バッハを大変尊敬していたメンデルスゾーンは初演以後100年近く経った1829年自身の指揮でバッハの「マタイ受難曲」を復活上演します。 19世紀のバッハ復興運動のきっかけとなった出来事です。

バッハ「マタイ受難曲」第1曲~カール・リヒター
https://www.youtube.com/watch?v=ckPYCVX2I4Y

バッハ「マタイ受難曲」終曲~カール・リヒター
https://www.youtube.com/watch?v=8ZnlgMgou-g

第49(58)曲<アリア>のご紹介
聖書の「マタイによる福音書」の第27章23節では「しかし、ピラトは言った、"あの人は、いったい、どんな悪事をしたのか"。すると彼らはいっそう激しく叫んで、"十字架につけよ"と言った。」(母の学生時代の聖書より)としか記述はされていませんが、バッハはこの場面をアリアで清らかに歌いあげて描写しておりその気高い慈しみに満ちた音楽は多くの人の心を打つものとなっています。ブルーノ・ワルターも前後の曲に比してこのアリアは天使のような美しさを持つと言ったそうです。
49(58)アリア

ドイツ語歌詞
Aus Liebe will mein Heiland sterben,  
Von einer Sunde weiss er nichts,
 Dass das ewige Verderben
 Und die Strafe des Gerichts
 Nicht auf meiner Seele bliebe.

日本語歌詞~秋岡陽訳
その愛ゆえに、私の救い主は死のうとしています
たったひとつの罪さえ知らない方ですのに
 こうして、永遠の滅びも
 裁きの罪も
 私の魂に留まらないようにしてくださるのです

バッハ「マタイ受難曲」第49(58)曲アリア"Aus Liebe will mein Heiland sterben"~Jegyung Yang
https://www.youtube.com/watch?v=fCY_AiazQoQ



<門下の小学生の方へ>
クラシック音楽は難しい事でも、また知識を人に自慢する事でもありません。 天才と言われる作曲家の人達も皆同じ人間なのです。 いろんな事を悩み苦しみまたある時は幸せを感じ喜びを感じ、それを音楽で描写して名品と言われる作品が生まれてきました。 古今東西の真理がテーマになっているため、時空を超えて皆に愛されて受け継がれてきています。 絵画でも文学でも音楽でも長い歴史の中を受け継がれてきた芸術品には万民にどこか共通する人間の真実が描かれています。 人が経験できる事はたかが知れています。 芸術に触れる事で人は様々な心の引き出しを増やす事ができます。 喧噪の現代ですが、一日5分でも人類の文化遺産に触れしばし穏やかな時を感じて下さい。

明日はハイドンの弦楽四重奏曲の楽しさについて書きます。










プロフィール

谷真子 masakotani

Author:谷真子 masakotani
東京音楽大学卒業

ADRESS
奈良市学園前

ピアニスト谷真子公式サイト
http://masakotani.co
奈良市学園前 谷真子ピアノ教室 教室ブログ「musica」
最新記事
カテゴリ
リンク
検索フォーム
カウンター