シューベルト 即興曲Op.90-2

12月10日の大阪豊中市立芸術文化センターで演奏するシューベルトの 即興曲Op.90-2について書きます。



シューベルトの即興曲Op.90-2はシューベルトの4つの即興曲Op.90の第2番目の曲です。

シューベルトが晩年の1827年頃に作曲した曲ですが、同時期に作曲された4つの即興曲Op.142に比べると、それそれが自由な旋律美を示した彩りある作品です。

Op.90-2はロンド形式で三連符の無窮動となっており、ピアニスティックな技巧を見せつける作品となっております。


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シューベルト ピアノ・ソナタ 第20番 イ長調 D.959/Schubert Piano Sonata No.20 in A major D.959

シューベルト(1797~1828)のピアノ・ソナタ第20番はシューベルトが最晩年の1828年に作曲したピアノ・ソナタ3部作(19番、20番、21番)のひとつです。

死のわずか2ケ月前、兄の元に身を寄せたシューベルトは、体調を崩しながらも創作意欲は衰えず3つのソナタを一気に書き上げます。

10年後の1838年にディアベリ社から19番、21番と共に「シューベルト最後の作品、3つの大ソナタ」として出版されました。

シューベルトはフンメルに献呈するつもりでしたが、出版の前年にフンメルが没したため、出版社の判断でシューマンに献呈されます。

19番の暗いベートーヴェンを思わせるような重厚さ、21番の静謐さと比べて、20番は美しく明るい作品です。 しかしどの作品にも死期を悟っているかのような葛藤が内包しており、これが最後の3つのソナタの魅力といえるのではないかと思います。

シューベルト ピアノソナタ19番♫~ポリーニ
シューベルト ピアノソナタ19番♫~ケンプ
シューベルト ピアノソナタ19番♫~ブレンデル
シューベルト ピアノソナタ19番♫~ニキタ・マガロフ


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シューベルト 2つのスケルツォ D.593/Schubert 2 Scherzi D.593

シューベルトは歌曲の王と呼ばれるほど歌曲を多く作曲した作曲家ですが、古典派からロマン派への掛け橋となった作曲家でもあります。

今日はそんなシューベルトの一面が良くあらわれる可愛らしい作品をご紹介したいと思います。

2つのスケルツォはシューベルト(1797~1828)が1817年に作曲したピアノ小品です。 変ロ長調と変ニ長調の2つのスケルツォで構成されております。

出版されたのは死後の1871年になってからです。

技術的にはさほど難しくなく子供のピアノ作品として紹介されたこともありますが、シューベルトの初期ロマン派の一面があらわれる傑作です。

シューベルト 2つのスケルツォ♫~ルガンスキー


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シューベルト ロンド イ長調 D.951/Schubert Rondo A-Dur D.951 Op.107

シューベルトはオーストリアの作曲家ですが、1797年ウイーン郊外で生まれました。

1808年10月、シューベルトはコンヴィクト(寄宿制神学校)の奨学金を得て、17歳までここに所属し多くの作品を残します。

1813年の終わりにシューベルトはコンヴィクトを去り父の学校に教師として入職します。

1816年、友人ショーパーはシューベルトに作曲活動に専念しないかと提案しシューベルトはショーパーの客人となって作曲に専念します。

シューベルトの友人の輪は次第に広がりゾーンライトナー家はシューベルトに自由に自宅を使わせ間もなくシューベルトの音楽活動はシューベルティアーデと呼ばれるようになります。

シューベルトは31歳という若さで夭折しますが、1828年出版されたシューベルト最後の作品が今日ご紹介するロンドD.951という連弾の曲です。

シューベルト ロンド D.951♫~アルゲリッチ、バレンボイム


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シューベルト 4手のための幻想曲 ヘ短調 D.940/Schubert Fantasie f-moll D.940

シューベルトの幻想曲は、シューベルト(1797~1828)の最期の年の1828年のピアノ連弾曲です。

この作品はシューベルトの数多いピアノ連弾曲の中でも印象深い晩年の傑作として良く演奏されております。 音楽評論家の吉田秀和や前田昭雄によってもこの作品はシューベルトのあらゆるピアノ連弾の中で最も優れた素晴らしいものと評価されております。

シューベルトは1818年夏、ハンガリーの貴族エステルハ―ジ伯爵一家の音楽教師として雇われ2人の娘マリーとカロリーネにピアノを教えます。 また1824年5月にもエステルハージ家に滞在しますが、この2度の滞在からシューベルトは妹のカロリーネに恋心を抱き、1828年にこの曲はカロリーネに献呈されました。

シューベルト 4手のための幻想曲♫~キーシン、レヴァイン



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シューベルト 3つの軍隊行進曲 D.733 Op.51/Schubert 3 Marches militaires D.733 Op.51

シューベルトの「3つの軍隊行進曲」はシューベルト(1797~1828)がピアノ連弾のために作曲した曲集ですが、第1番が特に有名でピアノ独奏版でも良く弾かれます。

シューベルトがジェリズに赴任していた1818年に作曲されましたが、この年にはエステルハ―ジ伯爵家のふたりの娘にピアノを教えるために多くの連弾曲を生み出しております。

3曲とも明るい力強い楽しい曲でエステルハージ家でのシューベルトの楽しいレッスン風景が目に浮かぶようです。

シューベルト 3つの軍隊行進曲♫~連弾



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シューベルト ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調/Schubert Sonate fur Klavier Nr.19 c-moll D.958

1828年9月、体調を崩し兄の元へ身を寄せたシューベルトは死のわずか二か月前に最後の3つのピアノ・ソナタを一気に書き上げます。

第19番はその1作目で10年後の1838年にディアベリ社から「シューベルトの最後の作品3つの大ソナタ」として第20番、第21番とともに出版されました。

シューベルトはフンメルへ献呈するつもりでしたが、出版の前年にフンメルが没したため、出版社の判断でシューマンに献呈されました。

第1楽章 アレグロ
1
前年に没したベートーヴェンへのオマージュなのか冒頭主題はベートーヴェンの32の変奏曲に良く似ておりベートーヴェンを想起させるものがあります。

第2楽章 アダージョ
2
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ悲愴を想起させるものがあります。

第3楽章 メヌエット アレグロ
3
比較的穏やかな楽章です。

第4楽章 アレグロ
4
タランテラのような生き生きとした躍動感あふれる楽章です。

シューベルト ピアノ・ソナタ19番♫~チョ・ソンジン
シューベルト ピアノ・ソナタ19番♫~ブレンデル
シューベルト ピアノ・ソナタ19番♫~アラウ
シューベルト ピアノ・ソナタ19番♫~リヒテル
シューベルト ピアノ・ソナタ19番♫~ケンプ

ベートーヴェン 32の変奏曲♫~キーシン


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シューベルト 3つのピアノ曲(即興曲) D.946/Schubert 3 Klavierstucke D.946

「3つのピアノ曲」はシューベルト(1797~1828)の死の半年前の1828年の5月の作品です。 最期の年のシューベルトの創作意欲はむしろ高まっており最後の3つのピアノ・ソナタD.958~960等といった傑作が生み出されております。

この作品は死後忘れられておりましたが、ブラームスがその価値を認め「3つのピアノ曲」と題名を付けて1868年に(匿名で)出版致しました。

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第1曲 三部形式
1
情熱的なタランテラの主題。

第2曲 ロンド形式
2
主題は落ち着いた平易なもの。

第3曲 三部形式
3
シンコぺーションを取り入れた素朴で活発な主題。

シューベルト 3つのピアノ曲♫~ブレンデル
シューベルト 3つのピアノ曲♫~ケンプ
シューベルト 3つのピアノ曲♫~ポリーニ
シューベルト 3つのピアノ曲♫~アヴデーエワ


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シューベルト 楽興の時/Schubert Moments musicaux D.780 Op.94

シューベルトはオーストリアの作曲家ですが、「楽興の時」はシューベルト(1797~1828)が作曲した6曲からなるピアノ曲集です。

1823年から1828年にかけて作曲され1828年に作品94として出版されました。

日本ではコマーシャル等で広く知られており、特に第3番ヘ短調が名高いです。

シューベルト 楽興の時 第3番♫~ホロヴィッツ

「楽興の時」というのは19世紀に主としてピアノ曲のジャンルで広まった性格小品の一種で、シューベルトの「楽興の時」はこれらの初期のものという事ができます。

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第1番 ハ長調 モデラート
1
変化に富む曲調であり装飾音が多く演奏には技術が必要です。 両手三連符によるト長調の穏やかな中間部が落ち着きのない主部と好対照を成しております。

第2番 変イ長調 アンダンティーノ
2
シチリアーノのリズムを基本としたロンド形式になっております。 穏やかな主部にエピソードが二度挿入されますが二度目は突発的な激情の爆発で始まります。 シューベルトは穏やかな曲にこうした激情的な部分を挿入する事が多くあります。

第3番 ヘ短調 アレグロ・モデラート
3
この曲は1823年に出版されたシューベルトの他の作品集に「ロシア風歌曲」というタイトルですでに収録されており、シューベルトの存命中から「ロシア風歌曲」として有名で愛されていた曲です。

第4番 嬰ハ短調 モデラート
4
右手の無窮動風の旋律を左手の単調な伴奏が支える構図の曲です。

第5番 ヘ短調 アレグロ・ヴィヴァーチェ
5
行進曲風の進撃的な主題です。

第6番 変イ長調 アレグレット
6
落ち着いた間奏曲です。

シューベルト 楽興の時♫~ブレンデル
シューベルト 楽興の時♫~グルダ
シューベルト 楽興の時♫~ギレリス


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シューベルト 幻想曲「さすらい人幻想曲」 ハ長調 D.760 作品15

「さすらい人幻想曲」はフランツ・シューベルト(1797~1828)が作曲したピアノ独奏曲ですが、幻想曲といいながら4楽章制の自由な形式のソナタ風作品で切れ目なく演奏されます。 リストのピアノ・ソナタロ短調に影響を与えたと言われており、作曲されたのは1820年で出版は1822年です。

第2楽章の変奏曲主題がシューベルトの歌曲「さすらい人」D.493によるのでこの名があります。 

シューベルトの歌曲「さすらい人D.493」は詩はシュミット・フォン・リューベックによるものですが、この世のいずこにも幸福を見出せぬさすらい人の心が歌われたシューベルト若き日の楽曲です。 

「自分は自分自身の安息できる地を、ため息をつきながら探してきた」と歌われ、主人公が理想の国を追い求めて歌う途中の主題(詩の第2節の部分)がピアノ曲の「さすらい人幻想曲2楽章」に引用されております。

第2節
Wo bist du, mein geliebtes Land?
Gesucht, geahnt und nie gekannt!
Das Land, das Land, so hoffnunsgrün,
das Land, wo meine Rosen blühn,
Wo meine Freunde wandeln gehn,
wo meine Toten auferstehn,
das Land, das meine Sprache spricht,
O Land, wo bist du?

シューベルト 歌曲「さすらい人」D.493♫~フィッシャー=デイスカウ

また「さすらい人幻想曲」の第1楽章の主題の冒頭音型(ダクティルリズム)はメロディとしては優美とは言えませんが、歌曲「さすらい人」の伴奏音型を利用したものでこの冒頭音型のリズム(ダクテイルリズム)が全体を統一いたしております。

*****
ダクティル
詩の韻脚の一つ。 アクセントの強い音節の後に2つのアクセントの弱い音節が続く。(長ー短短)

ところでこの「さすらい人幻想曲」はシューベルトにとって特殊な作品で、穏やかな曲想の多いシューベルトのピアノ作品としては高度の演奏技術を必要としシューベルト自身が「こんな曲は悪魔にでも弾かせてしまえ」と言ったというほどの逸話が残っております。

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第1楽章
歌曲「さすらい人」のダクティルリズムを基にした主題によるソナタ形式です。
1

第2楽章
歌曲「さすらい人」の悲愴な旋律による変奏曲です。
2

第3楽章
第1楽章の主題のリズムをさらに強調した主題によるスケルツォ風楽章です。
3

第4楽章
ピアニスティックで華やかな楽章です。 第1楽章の主題がフーガ風に回想されて始まります。 左手のアルペジオが難しいです。
4

シューベルト さすらい人幻想曲♫~ブレンデル(ピアノ)
シューベルト さすらい人幻想曲♫~ケンプ(ピアノ)
シューベルト さすらい人幻想曲♫~ポリーニ(ピアノ)
シューベルト さすらい人幻想曲♫~キーシン(ピアノ)

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ポリーニ


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シューベルト ピアノ五重奏曲 イ長調 作品114 D.667 「ます」

カテゴリー「室内楽」♪に入っております。

シューベルト ピアノ・ソナタ 第13番D.664、第21番D.960

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シューベルトは18歳から最晩年の死の直前までピアノ・ソナタの創作に意欲を持ち続け完成曲とみなされているものだけでも計11曲を書き残しております。 ところが、そのうち生前に世に出た作品はわずか3曲にすぎません。

ピアノ・ソナタに関する限り長く不遇の扱いを受けてきたシューベルトですが近年になっては事情は一変しシューベルトのピアノ・ソナタが著名なピアニストのプログラムを多く飾っております。

<ピアノ・ソナタ13番D.664>
1819年の夏、シューベルト(1797~1828)は友人の歌手ミヒャエル・フォークルに誘われてオーストリアのシュタイルに演奏旅行に出かけます。 この旅でピアノ五重奏曲「鱒」が生まれたのは有名ですが、その折にお世話になった商人の家の娘で、アマチュアながら声楽とピアノに秀でていたヨゼフィーネ・フォン・コラーのために、このピアノ・ソナタは書かれました。

故に当時18歳の少女にプレゼントされたこの曲は規模が比較的小さく、技術的にも難しくなく、愛らしい曲想に溢れております。 歌曲のような抒情性とソナタの構成感が自然に結びついた作品で、音楽的才能に満ちたコラー嬢の面影を想像させるような優しく爽やかな名品です。

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第1楽章
2つの主題はまるで歌曲のような無類の美しさです。
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第2楽章
この楽章の美しさも筆舌に尽くしがたく、ピアノによるリートとなっております。
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第3楽章
自由なソナタ形式のフィナーレです。 華やかなピアノ技巧を駆使して楽しい気分を盛り上げております。 
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ピアノ・ソナタ13番♫~リヒテル
ピアノ・ソナタ13番♫~アラウ
ピアノ・ソナタ13番♫~アシュケナージ
ピアノ・ソナタ13番♫~シフ


<ピアノ・ソナタ21番D.960>
ピアノ・ソナタ第21番は1828年9月26日という日付を持ったシューベルト最後のピアノ・ソナタです。  ベートーヴェン以降書かれたピアノ・ソナタの中で、最も深く内省的で洗練され、詩情あふれており、ピアノ・ソナタの傑作と言えるのではないかと思います。

また前年亡くなったベートーヴェンの偉業へのチャレンジとしてシューベルトらしいピアノ・ソナタの世界を樹立させたとも言えるのではないかとも思います。 シューベルトは自分の創造した主題旋律に自信を持っており、それを展開していく事をまるで拒否したかのように、転調法でハ‐モ二ーの世界に主題のメロディを響かせ融けさせていきました。 同じウイーンという空間に住みながらべート―ヴェンとは全く違った方法論で先輩のピアノ・ソナタに並ぶ大傑作の創造に成功したのです。 

シューベルトはその若き最晩年に病状が悪化し1828年に入ってからは誰の目にも衰弱が激しくなってまいりますが、反比例してシューベルトの名声は高まってまいりました。 そのため創作意欲は衰えず大作を次々と生み出してまいります。 9月には最後の3つのピアノ・ソナタ(D.958 D.959 D.960)、また8月頃には「白鳥の歌」を作曲しております。 しかし11月には31年の短い生涯を閉じる事となります。

ピアノ・ソナタ21番D.960には、死を意識したとしか考えられないような浄化された崇高美が備わっておりますが、その書簡類からは回復に対する希望を多く持っていた事が残っております。 また公のコンサートとでの演奏を意図し出版も考えていたようです。 ディアベリ社からソナタ3曲が発行されたのはシューベルトの死から10年後の1838年でした。

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第1楽章
全体が「歌」に満ちた歌うソナタ形式となっております。
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第2楽章
この楽章も歌に満ち溢れた楽章です。 第1楽章に比べるとより内面的で静かな表情が胸を打ちます。
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第3楽章
明るく繊細なスケルツォはシューベルトならではです。
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第4楽章
展開部を欠く長大なソナタ形式ですが、リズミカルな性格で統一されており、情緒としては一貫しております。 最後は一気に曲を終えています。
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ピアノ・ソナタ21番♫~ブレンデル
ピアノ・ソナタ21番♫~リヒテル
ピアノ・ソナタ21番♫~アラウ
ピアノ・ソナタ21番♫~内田光子

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ピアノ・ソナタ13番~ブレンデル

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ピアノ・ソナタ13番~シフ

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ピアノ・ソナタ13番、21番~ルプー

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ピアノ・ソナタ21番~バレンボイム

18歳の頃東京・代々木にあるヴェルディ・アートサロンでワルター・ハウツィッヒ氏によるマスタークラスでベートーヴェンのピアノ・ソナタ第26番「告別」を見て頂いた際、前の方がこのシューベルトのソナタのレッスンを受けておられ、ハウツィッヒ氏がこの第2楽章を弾かれ、とても美しかったのを覚えています。

ワルター・ハウツィッヒ
1921年ウイーン生まれ。 18歳の時にナチスの難を逃れて渡米。 シュナーベルに師事した名匠。 1956年初来日以来日本で積極的に小品集を録音。

カテゴリー♪シューベルト♪の他の記事についても合わせてお読み頂ければと思います。


明日はドビュッシーの子供の領分について書きます。


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シューベルト「アルぺジョーネ・ソナタ」

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

今日はシューベルトが1824年に作曲した「アルぺジョーネとピアノのためのソナタ イ短調 D.821」について書きます。 この作品は当時使用されていたアルぺジョーネという楽器のために書かれたシューベルトの現存する唯一の作品です。

アルぺジョーネについては追記で書きます。

シューベルトの死後1871年に出版された頃にはアルぺジョーネは使用されておらず、現在ではチェロやヴィオラで代用されて演奏される事が多いのですが、編曲の際アーティキュレーションが手直しされる事が多く、チェロにとっては高音域の演奏が非常に困難でチェロの難曲と言われております。

現在ではアルぺジョーネは復元されておりますが、奏者は少なくアルぺジョーネを用いての演奏はほとんど行われておりません。 そのような中で珍しいCDをご紹介致します。 ピアノフォルテはパウル バドゥーラ=スコダ、アルぺジョーネはニコラ・デルタイユによるものですが、古楽器による音色に心癒されるCDです。

シューベルト アルぺージョ・ソナタCDご紹介♪~アルぺジョーネの楽器を使用して
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シューベルト 「アルぺジョーネ・ソナタ D.821」♫~ニコラ・デルタイユ(アルぺジョーネ)、Alain Roudier(ピアノフォルテ1828)(No.1)
シューベルト 「アルぺジョーネ・ソナタ D.821」♫~同上(No.2)





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シューベルト:アルぺジョーネ・ソナタ~ロストロポーヴィチ(チェロ)、ブリテン(ピアノ)

シューベルト 「アルぺジョーネ・ソナタ D.821」♫~PERENYI(チェロ)、SCHIFF(ピアノ

この曲と同時期に作曲された作品に弦楽四重奏曲「死と乙女」がありますが、この頃シューベルトは重い病気を患っており、この曲も全体が暗い雰囲気に覆われております。 しかし綺麗な名曲ですので愛聴される方は多いようです。


***追記***
arpeggione(アルぺジョーネ)は1823年から1824年にかけてウイーンで発明された6弦の弦楽器です。 弓で演奏致しますが24のフレットも合わせ持っておりギターの特徴も持っております。 現在は楽器は復元はされておりますが奏者は大変少なく、チェロやビオラで代用される事が多いです。 しかしシューベルトの意図を完全に再現しようと試みると、やはりアルぺジョーネを使用するのが本来は一番ふさわしいのではないかと思います。 


明日は京都コンサートホールへシベリウスの「ヴァイオリン・コンチェルト」やドヴォルザークの「新世界」を聴きにまいりますので帰宅後その感想をアップ致します。 指揮者は今人気上昇中の新進気鋭の若手指揮者でウイーン在住の垣内悠希さんです。 実は現在私が通っている大学院の非常勤講師で垣内悠希さんのお父様が授業を開講されており、私はお父様の授業を受けた事がございます。 そのご縁で今回ご案内を頂き初めて聴きに伺います。 大変楽しみにさせて頂いております。

↓垣内悠希さんプロフィール
http://amati-tokyo.com/artist/post-9.html

シューベルト 4つの即興曲Op.90, Op.142(全8曲)

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モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

フランツ・シューベルト(1797~1828)は決して裕福ではない教師の息子として生まれますが、その才能を認められ1808年に奨学金を得てウイーンのコンヴィクト(寄宿制神学校)に入ります。 

コンヴィクトとはウイーン楽友協会音楽院(現代のウイーン国立音楽大学)の前身の学校です。 そこで宮廷礼拝堂少年聖歌隊(1498年神聖ローマ帝国皇帝によって設立された聖歌隊で現在のウイーン少年合唱団)の一員として17歳の変声期を迎えるまで音楽のお勉強をしています。 この時の指導者はアントニオ・サリエリですが、サリエリにはコンヴィクトを去った後も授業を受けていたようです。

コンヴィクトではモーツアルトの作品と出会う等多くの刺激を受けたようで、多くの同級生達にも助けられその天才ぶりを作曲で示していくようになります。

1813年コンヴィクトを去り教師の仕事を得ますが、1816年からは友人のアドヴァイスで芸術活動に専念するようになり、少年聖歌隊の卒業生の自宅に寄宿しシューベルティアーデと呼ばれる音楽活動を行っていきます。
シューベルト

即興曲を作曲したのは1827年でシューベルトの最晩年にあたります。 作品90と作品142の8曲ですが、レベル的には難しいものでも中級程度ですので、単独で子どもの発表会やコンクールで良く弾かれ親しまれている曲が多いです。 

しかし一音一音の音の美しさの追及には際限のないものがあり、即興曲だけでCDを出すピアニストもいるくらい美意識に溢れた作品で私の好きな作品の一つです。
ブレンデル シューベルト即興曲CD
(アルフレッド・ブレンデル シューベルト4つの即興曲CD)
シュヌアー教授 シューベルト即興曲CD
(シュヌアー教授 シューベルト4つの即興曲CD)

作品90(D899)は4つの小品でできていますが、自由な旋律の美しさが魅力の作品です。 

Op.90-2やOp.90-4は小学生で皆さらう曲で、一見ツエル二ーの練習曲にも見えるピアニスティックな技巧を見せつける曲です。 しかしその一つずつの音の美しさの追及には際限がありません。
シューベルトOp.90-2
Op.90-2
シューベルトOp.90-4
Op.90-4

Op90-3はアインシュタインが「無言歌」だと評したそうですが、上声部はドイツリートの歌のように聴こえます。

作品142(D935)も4つの曲からできていますが、作品90とは少し違い構築性に優れています。 シューマンは第3曲を除いて一つのソナタだという解釈を示しています。 

Op.142-3は独立した曲として良く子どものコンクールの課題曲になる変奏曲ですが、主題は下にリンクしたシューベルトの作品ですでに使われているものです。
シューベルト Op.142-3
Op.142-3

劇付随音楽「キプロスの女王ロザムンデ」の間奏曲第3曲
弦楽四重奏曲第13番「ロザムンデ」第2楽章

シューベルト4つの即興曲 作品90-2♫~ツイメルマン
シューベルト 4つの即興曲 作品90-3♫~キーシン
シューベルト 4つの即興曲 作品90-4♫~キーシン
シューベルト 4つの即興曲 作品142-3♫~キーシン
シューベルト 4つの即興曲 作品90 D899~アルフレッド・ブレンデル♬ 
シューベルト 4つの即興曲 作品142 D935~アルフレッド・ブレンデル♬

アルフレッド・ブレンデル
ドイツ音楽には定評のある巨匠です。 ベートーヴェン、シューベルト、リスト、ハイドンを弾く時には私は必ずチェックをするピアニストです。 楽譜に書かれている事を正確無比に再現するその真摯さはピアニストのお手本というべき姿勢で、多くのピアニストに尊敬されているピアニストです。 文学にも造詣が深く本も出されています。 1983年オックスフォード大学から音楽の名誉博士号を贈られています。

フリードリッヒ・ヴィルヘルム・シュヌアー
同じくドイツ音楽では定評のある元デトモルト音楽大学の学長です。 ミュンヘン国際音楽コンクール1位というキャリアを持っていらっしゃいます。 名教授として名高く日本にも多くのお弟子さんがおられます。 昨日ご紹介したクラウス・シルデ先生と同じマイスター・ミュージックから数多くのCDを出されていますが、恩師の故片岡みどり先生(相愛大学名誉教授)の門下の先輩の方がデトモルトでシュヌアー先生に師事されていたので、そのご縁から一度コンサートに伺った事があります。
シュヌァアー教授リサイタルプログラム

マイスター・ミュージック


明日は、リストのスペイン狂詩曲について書きます。 この曲は技巧的には大変高度のテクニックを要求され、非常に演奏効果の高い華やかな曲です。 スペインのファリアとホタ・アラゴネーサという民族舞曲がモティーフとなっていますので、曲の理解の一助のために、スペインの文化の一側面である2つの民族舞踊をyou tubeからアップしてみます。 






 

シューベルト 弦楽四重奏曲 第12番

カテゴリー「室内楽」に入っています。↓

http://masakotani.jp/blog-entry-74.html

シューベルトとドイツリート

カテゴリー「ドイツリート」に入っています。↓

http://masakotani.jp/blog-entry-56.html
プロフィール

谷真子 masakotani

Author:谷真子 masakotani
東京音楽大学卒業

ADRESS
奈良市学園前

ピアニスト谷真子公式サイト
http://masakotani.co
奈良市学園前 谷真子ピアノ教室 教室ブログ「musica」
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