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2016_05
30
(Mon)08:50

ブラームス シューマンの主題による変奏曲 嬰へ短調 作品9/Brahms Variationen uber ein Thema von Schumann fis-moll Op.9

主題はシューマンの「Bunte Blatter(色とりどりの小品)作品99」の中の4番目の曲の「Funf Albumblatter I.Ziemlich langsam(5つの音楽帳第1曲)」からとられております。

シューマン 色とりどりの小品 作品99♫~リヒテル

ブラームスは第1変奏から第9変奏、第12変奏から第16変奏までを1854年6月、第10,11変奏を1854年8月12日の聖クララの日に、デュッセルドルフで作曲しております。

シューマンは病院での療養生活を送っており、その妻のクララは家族を維持することに全力を傾けておりました。 ブラームスはクララへの慰めとシューマンへの敬意をかねてこの変奏曲を書きクララに捧げました。

シューマンもクララもこの楽譜を見て喜び、シューマンは「何と独創的で創意に溢れていることか」とその多様さ、すばらしさについて記しております。

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ブラームス シューマンの主題による変奏曲 作品9♫~オピッツ
ブラームス シューマンの主題により変奏曲 作品9♫~コブリン

なおブラームスは「シューマンの主題による変奏曲 変ホ長調 作品23(連弾)」も書いております。


ピアニスト谷真子公式サイト
2016_05
28
(Sat)19:45

樫本大進&小菅優&クラウディオ・ボルケストリオの演奏会に行って来ました。

兵庫県立芸術文化センターまで樫本大進&小菅優&クラウディオ・ボルケストリオの演奏会を聴きに行ってまいりました。

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オール・ベートーヴェン・プログラムでピアノ三重奏曲第1,2,7番「大公」の3曲でした。

樫本大進さんはベルリン・フィル第1コンサートマスターのヴァイオリニストですが、さすがと思わせる実力の持ち主でまたソロを聴きに行きたいと思いました。

小菅優さんは10歳からドイツでお勉強をされている女性ピアニストの方ですが、紅一点衣装がとても素敵でした。 このピアニストの特徴は磨き抜かれた素晴らしいテクニックと、美しいppの音から紡ぎだされる豊かな音楽性ではないかと思います。

チェリストのボルケスさんはジュネーヴ国際音楽コンクール優勝の実力の持ち主ですが、とてもいい味を出しておられたように思います。

私も室内楽の演奏会が続いておりますので、大変良いお勉強をさせて頂きました。

ワックスマン カルメン幻想曲♫~樫本大進

ショパン エチュード Op.10-12♫~小菅優



ピアニスト谷真子公式サイト
2016_05
28
(Sat)07:50

ピアノ・コンクールとは?

ピアノ・コンクールは登山と同じではないかと思います。 一口に山と言っても国内の初級者向けの山から外国のプロの登山家向けの厳しい山までいろいろございます。 コンクールも同じだと思います。 主催者によってコンクール開催の目的が違いますので、自分の目的に合ったコンクールを選ぶことが大切かと思います。

しかしどんな初級者用の山でも登山は登山です。 万全の準備をして臨まないと思わぬ事故に巻き込まれる事もあります。 ピアノコンクールも同じだと思います。 どんな小さなコンクールでも自分にできる最善の努力をして出場しなければ予選の通過は難しいものがあります。

「何故山に登るのか?」「それはそこに山があるから」と答えた登山家がいますが、ピアノコンクールも同じだと思います。 頑張る途中経過に意義があるのであって、結果がどうであれ結果が出た瞬間から、それが次のスタートになります。 

生きる力を学ぶために部活を致しますが、子供のピアノ・コンクールは個人競技の運動部の部活と近いものがあるかと思います。子供のピアノ・コンクールは保護者の方が捉え方を間違えなければ、生きる力を学ぶ良い機会ではないかと思います。


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2016_05
27
(Fri)10:25

ブラームス 4つのバラード 作品10/Brahms 4 Balladen Op.10

ブラ―ムス(1833~1897)の「4つのバラード作品10」はブラ―ムス初期の作品集です。 ショパンやリストの叙事詩的なバラードと異なり叙情的な小品集となっております。 単独で演奏されることもありますが、調性上の関係から4曲まとめて演奏される事が多くあります。

1853年ブラームスはハンガリーのヴァイオリニストのレメーニと演奏旅行に行き、旅行の途中デュッセルドルフのシューマン家を訪れます。 そしてその時にブラームスのクララ・シューマンへの生涯にわたる愛が始まり、ブラームスはシューマン夫妻が最も信頼する音楽家となっていきます。

バラード4曲は、作品9「シューマンの主題による変奏曲」とほぼ並行して1854年夏にデュッセルドルフで書き上げられ、1856年に出版、友人でピアニストのマリウス・オットー・グリムに捧げられております。

ブラームスは作品5「ピアノ・ソナタ第3番」でピアノ独奏用のソナタから離れ、ピアノ独奏曲では変奏曲と小品の世界へと向かいます。

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第1番 ニ短調
1
バラードとしての性格が最も強く劇的な曲です。 この曲はドイツロマン派の詩人ヘルダーの「諸民族の声」の中の「スコットランドのバラード<エドワード>」からインスパイアされて作曲され「エドワード・バラード」とも呼ばれております。 この詩は父を殺したことを静かに問い詰める母と、罪の意識にさいなまれる息子エドワードの対話から成っております。
ブラームス バラード作品10-1♫~ツイメルマン

第2番 ニ長調
2
優しい雰囲気を持つ曲想です。 この曲はブラームスのモットー(Frei aber froh 自由にしかし喜ばしく)の各語のイニシャルに基づきFis-A-Fisの進行となっております。
ブラ―ムス バラード作品10-2♫~ツイメルマン

第3番 ロ短調
3
4つのバラードの中で間奏曲的な位置を占めスケルツォ的な性格を持ちます。
ブラ―ムス バラード作品10-3♫~ツイメルマン

第4番 ロ長調
4
シューマンの影響があらわれており、ブラームスの特徴の「癒されぬ郷愁」も感じられます。 「親しみのある感情をもって、しかし旋律をあまり強調しないように」とのブラームス自身の指示があります。
ブラームス バラード作品10-4♫~ツイメルマン

ブラームス バラード作品10♫~ミケランジェリ
ブラームス バラード作品10♫~ギレリス


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2016_05
25
(Wed)08:45

リスト へクサメロン(演奏会用小品~ベッリーニの「清教徒」の行進曲による華麗な大変奏曲)S.392/Hexameron(Morceau de concert)~Grandes variations de bravoure sur le marche des Puritains S.392

リストの「へクサメロン」(別名へクサメロン変奏曲)は1837年クリスティナ・トリヴルツィオ・ベルジョイオーソ侯爵夫人の発案により生まれた作品です。 それはリストと5人の友人のピアニスト(ショパン、ツエルニー、エルツ、ピクシス、タールベルク)と共同でべッリーニのオペラ「清教徒」の中の”清教徒の行進曲”による変奏作品をまとめないかという発案でした。

へクサメロンとは旧約聖書「創世記」の創世の6日間を表す単語でギリシャ語で「6編の詩」という意味があり6人の作曲家を表しています。

曲は1837年3月31日パリのベルジョイオーソ夫人のサロンで行われ、フランス在住のイタリア難民の慈善コンサートのための委嘱作品でした。

その会でタールベルクとリストは「世界一のピアニスト」というタイトルの有名な「ピアノ対決」を行い、ベルジョイオーソ夫人は有名な評定「タールベルクは世界で一番のピアニスト、リストは世界で唯一のピアニスト」という評定を下します。

曲は序奏(リスト)、主題(リスト編)、第1変奏(タールベルク)、第2変奏(リスト)、第3変奏(ピクシス)-リトルネロ(リスト)、第4変奏(エルツ)、第5変奏(ツェルニー)-接続部分(リスト)、第6変奏(ショパン)-コーダ(リスト)、フィナーレ(リスト)から成り立っております。

リスト ヘクサメロン♫~ホロヴィッツ(その1)
リスト へクサメロン♫~ホロヴィッツ(その2)
ショパン へクサメロン変奏曲(第6変奏)♫~アシュケナージ
べッリーニ オペラ「清教徒」


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