FC2ブログ
2016_09
30
(Fri)08:50

ワーグナ=リスト イゾルデの愛の死 S.447/Liszt Isoldes Liebestod S.447

リスト編曲の「イゾルデの愛の死」はワーグナー作曲の「トリスタンとイゾルデ」の最終場面「第3幕の終結部」のアリアに基づいてリストが編曲したもので原曲の初演から2年後の1867年に完成致しました。

ワーグナー トリスタンとイゾルデより アリア イゾルデの愛の死♫~マリア・カラス

*****
『トリスタンとイゾルデ』(Tristan und Isolde)は、リヒャルト・ワーグナーが作曲した楽劇。台本も作曲者自身による。
全3幕からなり、1857年から1859年にかけて作曲された。一般に「楽劇 (Musik Drama)」と呼ばれているが、ワーグナー自身は総譜及びピアノ譜に単に「3幕の劇進行 (Handlung)」としている。1865年6月10日、ミュンヘンのバイエルン宮廷歌劇場において、ハンス・フォン・ビューローの指揮で初演された。演奏時間は約3時間55分(第1幕80分、第2幕80分、第3幕75分)。
物語は、ケルトに起源を持つと考えられている古代トリスタン伝説によっており、直接的にはゴットフリート・フォン・シュトラスブルク(?-1210年)の叙事詩を土台として用いている。
ワーグナー自身が「あらゆる夢の中で最も麗しい夢への記念碑」と述べているように、この作品は愛の究極的な賛美であるとともに、その一方で、感情的な体験を超えて形而上的な救済を見いだそうとするものともなっている。作品全体に浸透した不協和音の解放によって『トリスタンとイゾルデ』は、ヨーロッパ音楽史上の里程標と見なされている。また、この作品の極限的な感情表現は、あらゆる分野にわたって何世代もの芸術家に圧倒的な影響を及ぼすものとなった。
第1幕への前奏曲と第3幕終結部(イゾルデの「愛の死」)は、ワーグナーが全曲の初演に先立って演奏会形式で発表したことにちなみ、現在でも独立して演奏会で演奏される。

ワーグナー楽劇 トリスタンとイゾルデ第1幕全曲
ワーグナー楽劇 トリスタンとイゾルデ第2幕全曲
ワーグナー楽劇 トリスタンとイゾルデ第3幕全曲

ワーグナーの分厚く豊かな響きを表現するためにリストは忠実に再現するのではなく演奏効果を似せるという手段をとっております。

オーケストラ的な響きを再現するためにリストは三段譜を用いております。

4小節の前奏は第2幕第2場の「愛の二重奏「から引用されておりますが、これは編曲の最終段階で付加されたものでリストは3度書き直しております。

ワーグナー=リスト イゾルデの愛の死♫~ブレンデル
ワーグナー=リスト イゾルデの愛の死♫~ホロヴィッツ


ピアニスト谷真子公式サイト
2016_09
28
(Wed)08:16

リスト 悲しみのゴンドラ 第1稿 変イ長調 S.200-1、第2稿S.200-2/Liszt La lugubre gondola S.200

1883年2月ワーグナーは70歳で亡くなりますが、友人であったリスト(71歳)はワーグナーの死の3か月前悲しみのゴンドラ第1稿・第2稿を作曲致します。

リストは後にこの曲についてワーグナーの死を予感しながら作曲したと述べております。

悲しみのゴンドラ 第1稿
ワーグナ―の作品に良く見られる半音階的な旋律が用いられております。

悲しみのゴンドラ 第2稿
原曲はヴァイオリンまたはチェロとピアノのための二重奏曲として書かれたものでそれをピアノ版に編曲したものです。 「調のないパガテル」や「灰色の雲」と並び現代音楽の先駆とされた曲です。

リスト 悲しみのゴンドラ 第1稿♫~ポリー二
リスト 悲しみのゴンドラ 第2稿♫~ツイメルマン
リスト 悲しみのゴンドラ 第2稿♫~ブレンデル


ピアニスト谷真子公式サイト
2016_09
26
(Mon)09:43

ラヴェル 左手のためのピアノ協奏曲 二長調/Ravel Concerto pour la main gauche D-Dur

第1次世界大戦で右手を失ったピアニストのパウル・ウィトゲンシュタインは、ラヴェル(1875~1937)に左手だけで弾ける曲の作曲を依頼します。

これに応えて作曲したのが「左手のためのピアノ協奏曲」でラヴェルにとって最初のピアノ協奏曲です。

作曲は1929年冬に始められましたが、ラヴェルは作曲するにあたり古今の作曲家サン=サーンス、ゴトフスキー、ツエルニー、アルカン、スクリャービンらの左手のための曲の勉強を致します。

1931年11月27日ウイーンでウィトゲンシュタインのピアノで初演が行われましたが、ウィトゲンシュタインは楽譜通りに弾ききれずその上音楽性をも非難したためラヴェルとの仲は険悪なものとなります。

ラヴェル晩年の傑作として高く評価されると同時に左手だけのピアノ・ソロやジャズの影響が色濃く反映されており極めて個性的なピアノ協奏曲です。

曲は切れ目なしに演奏される単一楽章ですが、大きく3つの部分に分けられピアノ・パートは大変な難曲でとても片手で弾いているとは思えない見事な書法で書かれております。

ラヴェル 左手のためのピアノ協奏曲♫~フランソワ



ピアニスト谷真子公式サイト
2016_09
23
(Fri)11:17

ハイドン チェンバロ(ピアノ)協奏曲 第11番 ニ長調/Haydn Concert per il clavicembalo o fortepiano D-Dur Hob.XVIII-11 Op.21

ハイドンのピアノ協奏曲第11番ニ長調は私が小学校4年生の時、二度目のコンチェルトで演奏した曲ですが明るくさわやかな曲です。

ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調 第1楽章♫~谷真子(小4)

ハイドンは10曲余りのクラヴィーアのための協奏曲を書いていますが、実際に今日演奏される機会があるのは、このニ長調の協奏曲のみです。 出版は1784年にハイドンの指示によってアルタリア(ウィーン)から行われています。 表題はクラヴィチェンバロ、またはフォルテピアノ用の協奏曲と記載されていますが、この当時ハイドンはハンマークラヴィーアは所有していなかったものと思われます。

楽曲はチェンバロでもピアノでも演奏が可能ですが、内容的にはクラヴィーア曲を盛んに書いていたモーツァルトを意識していると思われます。

そもそもハイドンの前半生では鍵盤楽器といえばオルガンかチェンバロ(ハープシコード、クラヴサンと同じ)で、1780年代になってやっと今のピアノフォルテに近いいわゆるピアノが使われるようになりました。 ただ、この曲はピアノを念頭に作曲されたと思われます。 基本的にはこれらの内のどの鍵盤楽器で演奏しても構いません。

第1・第2楽章にはハイドン自身のカデンツァが存在します。

ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~スコダ
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~プレトニョフ
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~リヒテル
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~ギレリス
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~アルゲリッチ
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~ミケランジェリ
ハイドン ピアノ協奏曲 ニ長調♫~ラローチャ


ピアニスト谷真子公式サイト♪ 
2016_09
20
(Tue)23:05

パリ国立高等音楽院イヴ・アンリ教授レッスンとジョイント・リサイタル

パリ国立高等音楽院(パリコンセルヴァトワール)のイヴ・アンリ教授に11月7日秋篠音楽堂で演奏するモーツアルトピアノ四重奏曲第1番のレッスンをして頂きました。

パリ国立高等音楽院というのは世界の最難関校の音楽学校のうちの一つですが、アンリ先生はそこの教授をしていらっしゃる他、シューマン国際ピアノコンクールの審査員でもいらっしゃり、またショパン国際ピアノコンクールの予備審査にも入っていらっしゃいます。

アンリ先生には1年に2度くらいのペースでレッスンをして頂いておりますが、室内楽のレッスンを受けたのは初めてです。 ヨーロッパの室内楽のエッセンスを学ぶことができたように思います。

P1030641.jpg

P1030642.jpg

レッスン終了後、アンリ先生をお迎えしてのジョイント・リサイタルが開かれました。 私は浦瀬さんとおっしゃる方とドヴォルザークのスラヴ舞曲集から抜粋で3曲連弾を演奏しました。

P1030644.jpg

P1030645.jpg

P1030647.jpg

秋は生徒のコンクールも多く、11月の室内楽コンサートを控えて忙しいスケジュールが続きます。 生徒たちにも伝えたいことですが、コンクールであれコンサートであれ一つの行事が終了したら一度リフレッシュをして次の行事に向かって前進する事が長く音楽活動を続けていく秘訣ではないかと思います。

どなたかピアニストの方がおっしゃっていた事ですが、ピアノのお勉強は天国と地獄を行ったり来たりするそうです。 コンクールシーズンですので生徒たちも悲喜こもごもですが、音楽の歓びを忘れずたゆまぬ努力を続けていってほしいと思います。


ピアニスト谷真子公式サイト