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2017_01
31
(Tue)07:38

ラヴェルのレッスン(海原の小舟)

4月29日の奈良の秋篠音楽堂でのコンサートで演奏予定のラヴェルの鏡の第3曲「海原の小舟」は、水をテーマにした曲です。

20世紀初頭は絵画の分野のフランス印象派の影響を受け、音楽分野においても自然をモチーフにした曲が多く書かれるようになりました。

  ・ラヴェルの初期作品である「水の戯れ」
  ・ドビュッシーの「水の反映」
  ・ラヴェルの鏡より「海原の小舟」などです。

現在、私が師事するピアニスト阿部裕之先生はラヴェルをお得意とされるピアニストですが、先日のレッスンの際にこの曲はギリシア神話の「オデュッセイア」を題材にしで書かれた曲だとお話されていました。

海を漂流する困難と苦悩を描いた英雄オデュッセイアの物語を音楽で表したものだそうです。
打ち寄せる波の情景、海にひそむ怪物の声、昼の海の風景、夜の海の風景などが転調や音型によって巧みに表現されています。

「オデュツセイア」はあらすじしか知りませんでしたので、今改めて取り出して読んでおります。

ラヴェル 鏡より 海原の小舟♫~ギーゼキング


ピアニスト谷真子公式サイト
2017_01
30
(Mon)10:49

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18/Rakhmaninov Concerto for piano and orchestra No.2 c-moll Op.18 

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はロシアの作曲家のラフマニノフ(1873~1943)が作曲した2番目のピアノ協奏曲ですが、作曲は1900年秋から1901年4月にかけて書かれました。 ラフマニノフは4曲ピアノ協奏曲を作曲していますが、その中でも最も人気のある傑作のひとつで1905年グリンカ賞を受賞しております。

第2と第3楽章が1900年12月2日に初演され、全曲の初演は1901年11月9日にラフマニノフと指揮者のジロティによって行われました。

ラフマニノフはモスクワ音楽院を卒業した後、「前奏曲嬰ハ短調作品3-2」で一躍有名となりましたが、1897年初演の交響曲第1番の不評以来自信喪失のため制作不能の状態に陥ります。 1899年新しいピアノ協奏曲を依頼されイギリスに渡りますが、病気は続き、1900年ダーリ博士との出会いで次第に快方に向かいます。

ラフマニノフは自分の自信回復のため尽力してくれたダーリ博士にこのピアノ協奏曲を捧げています。

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番♫~キーシン
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番♫~辻井伸行
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番♫~リヒテル
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番♫~ラフマニノフ


ピアニスト谷真子公式サイト
2017_01
28
(Sat)10:38

シューマン 森の情景 作品82/Schumann Waldszenen Op.82

シューマンの「森の情景」はシューマンが作曲した全9曲からなるピアノ独奏曲ですが、1848~1849年にかけて作曲され1850年に出版されました。

ドイツロマン主義者の詩人にとって「森」とは静寂、活気、神秘、情景といった趣を持つものでしたが、シューマンの「森の情景」は文学と音楽の結びつきをさらに高め、ロマン派詩人達の描いた「森」をモチーフとして作曲したと言われております。

作曲当時は各曲に短い詩が載せられておりましたが、出版に際して第4曲目の「気味の悪い場所」のフリードリッヒ・ヘッベルの詩以外は除かれました。

第1曲 森の入り口 / "Eintritt"
1
明るく始まるものの、陰と陽の対比がみられる曲です。 メロディーが高声、内声、低声と様々な音域で歌われていきます。

第2曲 茂みのなかで獲物を待ち伏せる狩人 / "Jager auf der Lauer"
2
 <森の入り口>から一転して、激しさを貫く曲です。 左右の手がユニゾンとなる部分が効果的に挿入されています。

第3曲 孤独な花 / "Einsame Blumen"
3
訴えかけるかのように、メロディーが上に下に曲線を描いていきます。 簡素な伴奏は、このメロディーを非常に引き立てております。

第4曲 気味の悪い場所 / "Verrufene Stelle"
4
この曲にのみ、冒頭に詩が添えられています。その内容は光の届かない森の中で高く伸びた花は青白く、ただ一本赤い花も、陽の光ではなく、大地の色、人間の血を吸い込んだ赤色をしているという不気味なものです。

第5曲 親しみのある風景 / "Freundliche Landschaft"
5

第6曲 宿 / "Herberge" 
6
主に高声で歌われるメロディーが、時折、中音域や低音域に移り、会話を連想させます。 メロディーそのものも、音形もリズムも共に、語りかけるような語尾が特徴的です。

第7曲 予言の鳥 / "Vogel als Prophet"
7
曲の中ほどで、ほんのひと時、コラール風の場面がみられます。 曲全体が、半音階的な音の動きに満たされています。

第8曲 狩の歌 / "Jagdlied" 
8
勇壮な趣に、どこか哀愁も感じられる曲です。

第9曲 別れ / "Abschied"
9

シューマン 森の情景♫~ピリス
シューマン 森の情景♫~リヒテル


ピアニスト谷真子公式サイト
2017_01
25
(Wed)09:16

プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」 変ロ長調 作品83/Prokofiev Sonata for piano No.7 B-Dur Op.83

プロコフィエフ(1891~1953)は生涯で9曲のピアノ・ソナタを残しておりますが、このピアノ・ソナタは、それまで米国、パリで暮らしていたプロコフィエフがソビエトに戻り、彼の創作活動の円熟期ともいえる時期に作曲された作品です。

第6番から第8番までのピアノ・ソナタは第2次世界大戦中に書かれたため「戦争ソナタ」とも呼ばれますが、とりわけこの7番のピアノ・ソナタは演奏される機会も多く、3楽章はアンコール・ピースとしても良く取り上げられます。

初演は1943年1月18日、モスクワでリヒテルによって行われています。

大戦やソビエト体制の深刻な社会状況が当然作品に反映されていると考えられますが、戦争を賛歌したものではなく、反戦歌ではないかと思います。

演奏者に高度な技巧を要求すると同時に、隙のない構成美や美しい抒情性、ダイナミックさ、野性的な活力を兼ね備えており、ピアノ・ソナタ史上でも特筆すべき作品です。

プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番♫~ホロヴィッツ
プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番♫~リヒテル
プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番♫~ガブリリュク
プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番♫~ポリーニ
プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番♫~アルゲリッチ
プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番♫~プレトニョフ


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2017_01
21
(Sat)22:32

松川暉さんのヴァイオリンコンサートへ行ってきました。

昨年の11月秋篠音楽堂でモーツァルトのピアノ四重奏曲をご一緒致しましたヴァイオリニストの松川暉さんのコンサートへ行ってきました。

京都の丸太町にあるカフェ・モンタージュという小劇場ですが、アンティークなスタインウエイのピアノが設置されており、カジュアルなサロンという雰囲気の和やかなコンサート会場でした。

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カフェ・モンタージュ入口

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サロンの中

プログラムはバッハのヴァイオリン・ソナタト長調とエルガーのヴァイオリン・ソナタホ短調でした。 8時開演の1時間のコンサートの後、ドリンクサービスがあり出演者の方と談笑できるようになっておりました。

松川暉さんは全日本学生音楽コンクール小学校部門全国優勝という輝かしい経歴の持ち主の方ですが、東京芸術大学入学後イギリスのギルドホール音楽院へ留学され、最近帰国された方です。

分厚い響きの音楽はヨーロッパでの研鑽ぶりを偲ばせるものがあり、その素晴らしい芸術に、一時豊かな時間を過ごしてまいりました。

またラベルのヴァイオリン・ソナタやフランクのヴァイオリン・ソナタ、グリーグのヴァイオリン・ソナタ等ご一緒できればと思います。


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