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2017_03
31
(Fri)12:01

ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲 第1番 「幻想的絵画」 作品5/Rakhmaninov Suite No.1 "Fantasie-tableaux" Op.5

「二台のピアノのための組曲第1番」はラフマニノフ(1873~1943)のピアノデュオ曲ですが、ラフマニノフが20歳の時の1893年に作曲されました。

ラフマニノフは1891年18歳でモスクワ音楽院ピアノ科を首席で卒業し、翌1892年には同院作曲家を首席で卒業します。 1892年10月にはモスクワ電気博覧会で後ラフマニノフの代表作となる「前奏曲嬰ハ短調”鐘”」を初演致します。

「二台のピアノのための組曲第1番」の初演は1893年11月30日にモスクワでラフマニノフとパプストのピアノで行われ、才能を認め目をかけてくれていたチャイコフスキーへの感謝の思いから彼に献呈されましたが、初演を聴くことを約束していたにも拘わらずチャイコフスキーは11月6日初演を聴く前に亡くなってしまいました。

各楽章冒頭にラフマニノフが作曲のインスピレーションを受けた詩が載せられており、インスピレーションを基に絵画的に作曲された作品です。

第1楽章 バルカローレ
ロシアの詩人レールモントフの詩「ベネチア」の一節が引用されております。

(ミハイル・レールモントフ)
おお、涼しいゆうべの波が、
ゴンドラのオールを静かに打つ。
―あの歌がまた! またギターで鳴る!
―遠くでいまは、憂鬱そしてまた幸せに、
聞こえるのは古い舟歌の響きか、
「ゴンドラは水面を滑り、
時も愛とともに飛び去る、
水はふたたび穏やかになり、
情熱はもはや高まらない」

第2楽章 夜と愛と
イギリスの詩人バイロンの詩が記されています。

(ジョージ・ゴードン・バイロン)
ナイチンゲールの高いさえずりが
枝から聞こえる時刻に、
恋人同士の誓いあう囁きが、
穏やかな風や近くの水音が、
孤独な者の耳に音楽となる。

第3楽章 涙
ロシアの詩人チュッチェフの同名の詩が引用されています。

(フョードル・チュッチェフ)
人の懸念、おお、人の涙!
お前は朝から晩まで流れ、
人知れずに、目に見えずに、
無限に、無数に流れる、
まるで土砂降りの雨のように、
秋の夜の深遠の中に流れる。

第4楽章 復活祭
ロシアの詩人ホミャコフの同名の詩が引用されています。

(アレクセイ・ホミャコーフ)
強大な鐘の音が大地を越えて鳴り、
大気のすべては嘆き、おののき、苦しむ。
美音の銀色の雷鳴は、
聖なる勝利の知らせを告げる。

ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲 第1番♫~ラベック姉妹


ピアニスト谷真子公式サイト
2017_03
29
(Wed)10:07

演奏会の打ち合わせでホールまで行ってまいりました。

月曜日の夕方、来たる4/29の東京音楽大学校友会関西支部演奏会の打ち合わせのために秋篠音楽堂まで行ってまいりました。

東京音楽大学校友会関西支部支部長の近藤孝司さん、事務局の矢野光子さん、出演者で先輩の日西麻紀さん、そして私の4名が参加致しました。

当日のスケジュールの詳細な説明を秋篠音楽堂のスタッフの方から受けながら細部を綿密に打ち合わせをするのですが、あまり大きな問題もなく終了致しました。

支部長の近藤孝司さんは東京音楽大学の大先輩でプロのトロンボーン奏者でいらっしゃいます。 支部長と言う肩書は持っていらっしゃいますが、日本センチュリー交響楽団の首席トロンボーン奏者を今春までしていらした方で、CDも出していらっしゃいます。

事務局の矢野光子さんも東京音楽大学の大先輩の方ですが、大学へ教えに行かれてお忙しい中を、事務局のお世話を精力的にして下さっています。

打ち合わせ終了後、場所を変えていろんなお話をうかがいながらお茶を頂きましたが、ひとつの会を運営するのは大変な事のようでいろんな苦労話もお伺いしました。

私に出来る事は良い演奏をお届けする事だけですので、精一杯の努力で頑張りたいと思います。

当日は大勢の方にご来場頂けますのをお待ち申し上げております。



ピアニスト谷真子公式サイト
2017_03
27
(Mon)11:01

シューマン ダヴィッド同盟舞曲集 作品6/Schumann Die Davidsbundlertanze Op.6

「ダヴィッド同盟舞曲集」はシューマンが1837年に作曲し、後自費出版した18曲から成るピアノ曲集です。

「ダヴィッド同盟」というのはシューマンが考え出した架空の団体で、保守的な考えの人に対して新しい芸術を創作するために戦っていく人達の集まりの呼称です。 「謝肉祭」の中にも表れます。

当時、ロマン主義芸術家の間では芸術を理解しない保守的な俗物「ペリシテ人」に対抗する新しい芸術のための運動である同盟構想がよく行われておりました。

ダヴィッドとは旧約聖書に描かれているペリシテ人戦士ゴリアテを倒したダビデ王に由来しますが、同盟のメンバーはシューマン自身を表すフロレスタンやオイゼビウスやクララ・ヴィーク、フリードリヒ・ヴィークなどをモデルにした人物等で構成されております。 また実際の社会的活動として音楽評論雑誌を発刊したりもしておりました。

曲はシューマンとクララの将来の結婚式の前夜に集まった同盟員達の様子を描いており、フロレスタンとオイゼビウスという2人の人物が主役となっております。

フロレスタンはシューマンの中の明朗で積極的な「動」を表し、オイぜビウスは冷静で瞑想的な「静」の部分を表す人物として描かれております。

作品には初稿と第2稿があり初稿には曲の性格が動である時には「F]、静である時には「E」と書かれ、冒頭に格言も記述されていますが、第2稿ではこれらの記述は削除されております。

シューマン ダヴィッド同盟舞曲集♫~アラウ
シューマン ダヴィッド同盟舞曲集♫~コルトー
シューマン ダヴィッド同盟舞曲集♫~ギーゼキング



ピアニスト谷真子公式サイト
2017_03
24
(Fri)23:07

神戸大学大学院学位記授与式に行ってまいりました。

今日3/24、三宮の神戸ポートアイランドホールへ神戸大学大学院学位記授与式に行ってまいりました。

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授与式では代表の方だけが学位記を受領され他の学生は場所を変えて大学の方で担当教授から渡されました。

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午後は異人館通りの神戸北野美術館へ足を伸ばして来ました。

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旧アメリカ領事館官舎の建物です。

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入口にて

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お庭で

美術館の中の可愛いワッフルのお店ミュージアムカフェで美味しいワッフルを頂いて少し休憩をした後、夕方からは三宮で表現系の先生と学生の謝恩会がありました。

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ピアニスト谷真子公式サイト
2017_03
22
(Wed)10:14

シューマン クライスレリアーナ 作品16/Schumann Kleisleriana Op.16

「クライスレリアーナ」はシューマンが1838年に作曲した8曲から成るピアノ曲集ですがショパンに献呈されております。

作家のE.T.A.ホフマンにシューマンは大変傾倒しておりましたが、ホフマンの書いた小説に登場する「楽長クライスラー」からタイトルの「クライスレリアーナ」は取られております。

シューマンは叶わぬ恋を描いたこの小説の主人公クライスラーに自分を重ね、当時結婚に反対され苦しんでいた自分とクララとの恋愛にも重ねあわせ、創作の源泉としたようです。

シューマンはこの時期に他にも傑作を多く生み出しております。

シューマン クライスレリアーナ♫~アルゲリッチ
シューマン クライスレリアーナ♫~ホロヴィッツ
シューマン クライスレリアーナ♫~ポリーニ


ピアニスト谷真子公式サイト