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2023_08
31
(Thu)12:47

学生音楽コンクール小学生部門エチュード課題曲

第77回全日本学生音楽コンクール小学生部門のエチュードモシュコフスキーの課題曲のアナリーゼを行ってみたいと思います。

次の課題曲(1)~(3)を演奏すること。演奏順は自由とする。
(1)次から任意の1曲を選択すること
   J.S.Bach : 15 Sinfonias( No.5、No.9は除く)
(2)次から任意の2曲を選択すること。同じ作曲家から2曲でもよい。当日抽選で1曲を決定する
   M.Moszkowski : 20 Little Etudes Op.91
No.4 F major
No.6 E flat major
No.9 G major
   Cramer=Bülow :60 Selected Studies
            No.8 F minor
            No.37 A major
            No.41 D minor
(3)次から任意の1曲を選択すること
   E.H.Grieg:Lyrical Pieces Op.12 No.1 “Arietta”
Lyrical Pieces Op.38 No.6 “Elegy”



モシュコフスキ20の小練習曲op.91よりno.4.6.9又はクラーマー・ビューローより2曲選択です。(当日弾くのは抽選により1曲です)

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左手は直前まであらゆるリズム練習を行い、粒を揃えましょう。

そのような練習を日々積み重ねておくことで、将来に必要なテクニックも同時に身に付けることができます。

そのような意味でも課題曲となっている曲はその年齢に必要なピアノのエッセンスを習得するために課題曲になっており、逃れられない課題でもあります。

右手はソプラノがよく響き、(小指だけの指の独立→ポリフオニー→この事からもバッハの作品をそれまでにきちんと学んできたかも出るところで、一夜漬けでは習得できないテクニックであると同時に、幼少期であるためテクニック、音楽性共に飛躍的に伸びるチャンスの時期でもあります)


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mp,mf,fを段階的に計算して、最後ははつらつと終わると印象が良いでしょう。小さい生徒様によくありがちなただ元気よく、fで突っ走るという演奏は避けたいものです。

ピアノのコンクールである本質の音楽性、芸術性はどこで買えるんですか?というご質問については、阿部裕之先生のあるコンクールでの審査の総評を引用させて頂きます。



第9回とやまクラシックピアノコンクールより引用


阿部裕之先生よりコンクールへの総評をいただきました

「コンクール全体として、これから成長していく段階という印象で、今後それぞれの個性が発揮され音楽の深みが表現できるようになってほしいと思います。そのために、特に小さなお子様は、感性を育てることが大切です。音楽だけではない、美術や絵画、文学、そういったものにも目を向けて、興味を持って接するようにしてほしいです。そういったものに繰り返して接していると、個人個人の心の奥底に蓄えられ、個性として音楽に溢れてきます。それには時間がかかるので、なるべく早くにそういう広い分野に興味を持ってほしいと思います。」



→第77回全日本学生音楽コンクール公式サイト



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2023_08
26
(Sat)14:11

日本ピアノ教育連盟の会報

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日本ピアノ教育連盟の会報です。

日本ピアノ教育連盟ピアノオーディションとは、まだ成長段階にある子どもたちの健全な情操の発達と、ピアノ愛好者等の生涯にわたるピアノ学習の一助、さらには豊かな音楽性が培われることを目的に開催されるものです。(要項より引用)

全日本学生音楽コンクールの課題曲が4月に発表になり、秋まで本選が開催されますが、日本ピアノ教育連盟ピアノオーディションは7月1日に発表になり、11月上旬より予選が開催され、全国大会は3月末に行われますので、ご指導される先生方にとっても、良い一年のサイクルとなっております。

地区大会と全国大会の2段階式で開催され、今年からは全国大会への推薦枠を拡大し、ピアノをお勉強されているたくさんの方々に参加していただけるよう、準備が進められているとのことです。

幼児部門の課題曲は、

①「メトードローズ・ピアノ教則本」よりブーレ、お父さま、ああ かわいい、冬さんさようなら、むかしの歌

②「トンプソン現代ピアノ教本第一巻」より ピアノのくに、はさみとぎ、妖精にハープ、舞い落ちる木の葉、ポップコーン屋さん、

③「グローバー・ピアノ教本・vol1」よりアイススケート、古い柱時計、歯ブラシのマーチ、

④「フアーストピアノ レパートリーアルバム」より1、チュルク 2つのマーチより No.1ト長調2、チュルク2つのマーチよりno.2ヘ長調 3、デイアベリ 主題

より任意の2曲を選択するとなっております。

普段の教本と平行して、または、エチュード、バッハ等(課題曲にバロックが入っている場合は不要)は続けて、曲集をコンクールの課題曲を練習するというカリキュラムをこなせるようでしたら、十分参加可能レベルにあります。先生とご相談という形になりますが、ただ、コンクールの雰囲気は厳格、審査もお遊びのようなものではなくコンクールとしてかなり厳しいものとなっております。

学年ごとに習得しなければならない曲が課題曲となっており、毎年参加していくことで、お勉強の進め方に迷いのないカリキュラムとなっており、無駄なくピアノのお勉強を進めていくことができます。

高校生部門となると選択制自由曲が取られており、音楽高校は課題曲が多いですが、大学となると(音楽大学)選択制自由曲が多いですので、進学への準備やリハーサルとして活用することもできますし、高校生部門もそのままコンクールと音楽学校の受験を両立して自然に受けていくことができ受験のためにコンクール活動をストップさせなくても良いシステムになっております、

そのような意味で、私も小学生1、2年生のころから積極的に活用し、小学校の間は参加し続けてきたわけですが、音楽大学の卒業試験のように、審査の先生方(ほとんどが音楽大学の先生方)が会場の真ん中か前の方にずらっと横に一列に並ばれ厳格な雰囲気で、講評も頂き、参加賞のようなトロフィーも頂き、目標や励みとなりながらも、温かくも厳しい雰囲気に小さいながらも舞台袖から会場内の先生方の様子を覗いているとその様子が見えて、東京芸大の音楽学校受験の演奏待ちの学校の保健室にあるような仕切りカーテンのような奥で待たされているほど殺風景ではないものの胃の痛くなるような思いも同時にしてきたとも言えます。

結果はどうであれ、参加することで現在の自分の勉強の進度が適切であるか確認できますので、そういう意味では参加することに意義があるのではないでしょうか。ピアノ学習者のためのそのようなオーディションとなっております。


日本ピアノ教育連盟ピアノオーディション公式サイト

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2023_08
15
(Tue)13:45

パリ国立高等音楽院イブ・アンリ教授のレッスンにて④

グリークのホルベアの時代から。
第4曲アリア。

アリアはオペラの中でソロで歌われる部分。
日本ピアノ教育連盟全国大会に出たのは、小学校5年生の時ですが、ヤマハ銀座のヤマハホールで行われ、審査終了後に審査院長先生の市田儀一郎先生による講評がありました。

母のように(の代わりに)、鉛筆を持って一番でメモして聴いていましたが、モーツアルトのソナタkv545の第2、3楽章が課題でしたが、(課題は全楽章ですが、当日指定されたのが第2、3楽章ということでした)

「第2楽章はこれはアリアです。アリアとは歌です。歌のように弾かなければいけない。この曲を選択された方はそれが大変だったと思いますが、ペダルが多くても良くない、また、全く使わないというのも乾燥してこの曲にマッチしない」とお話しされたのを良く覚えています。

それでアリアという言葉を覚えたわけですが、ピアノ曲の中にはバッハのフランス組曲など本当に多くアリアの曲が出てきます。

ホルベア組曲にもアリアという曲が含まれています。
本当に美しい曲です。

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アリアですので、自由に。morendoによって、一旦終始しても、その後、ただ厳格なだけではなく、もう一度、自由にcresc.なども用い、歌い上げる。

この例から今年の2023第77回第全日本学生音楽コンクールの小学生部門の課題曲であるグリーグの叙情小曲集アリエッタの最後の解釈ですが、最後の1小節にも同じことが当てはまるかと思います。
ただ機械的に弱く終わるだけでなく、もう一度、歌い上げるような気持ちも大切。

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ペダルの踏み方により、メロディーラインが切れてしまわず、レガートに。

弦楽合奏版に編曲されていることからも、弦楽器で弾く場合はビブラートで歌い上げるところ、最後はチェロで大切に弾くバスラインですので、当然かと思います。
こういうところは、弦楽器の雰囲気をピアノでも真似できるところです。



→第77回全日本学生音楽コンクール公式サイト



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2023_08
10
(Thu)11:30

グリーグ叙情小曲集Op.12-1アリエッタ

第77回全日本学生音楽コンクール課題曲のグリーグ叙情小曲集Op.12-1アリエッタから。

この曲はとても静かな曲で、指先のコントロールが求められる曲です。

冒頭はバス、真ん中の声部の伴奏部分、ソプラノをよく弾きわけて、ペダルの踏み方もバスの響きがなくなってしまわないように、注意が必要です。

全体をA +B +最後の1小節の短いコーダと捉え、2回反復し、最後は消えていくようにというようにコンクールでは大きなフレーズ感も求められるでしょう。


よくカンタービレでピアノを歌わせることができるかという点を見る課題となっております。

エレジーという曲とどちらか選択することになっていますが、自分の好きな曲の方を選曲することが大切です。(課題曲発表から本番までの長い日程をモチベーション高く持ち続けには、選択曲に迷いがないことも一つの大きな要素です。)




グリークのように個性豊かな作曲家が課題曲になっている場合は、全ての先生がバッハのインベンションのように日頃熱心に研究して精通しているとは限らず、北欧に旅したことまではなくとも、その子どもがグリークの作品を(オーケストラ作品でも構わない)多くそれまでも聞いてきたかの音楽体験の積み重ねが勝因になることもしばしば起こりうると言えます。


→第77回全日本学生音楽コンクール公式サイト



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