ラフマニノフ 練習曲集「音の絵」 Op.33,Op.39

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モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

セルゲイ・ラフマニノフ(1873~1943)はスクリャービンと並んでロシア近代音楽を代表するピアニスト・作曲家・指揮者ですが、今日書きます「練習曲~音の絵」は高校生の時、中学3年生から帰阪するまでお世話になっていた東京在住ピアニスト・関孝弘先生のもとで一度お勉強した曲です。 
モスクワの憂鬱 藤野幸雄著
モスクワの憂鬱~スクリャービンとラフマニノフ 藤野幸雄著

完全に帰阪した後、ロシアのモスクワ音楽院のエレーナ・リヒテル教授のレッスンを京都で受ける機会があり、ラフマニノフの「エチュード・タブロ」Op.39-1とOp.39-8を再度レッスンして頂いた事があります。 「エチュード・タブロ」は各曲に標題は付いていないものの「ETUDES-TABLEAUX」というフランス語のタイトルのように絵画的な曲ばかりで、私の好きな作品の一つです。 エレーナ・リヒテル教授のラフマニノフの演奏はロシアのロマンティシズムという感じでラフマニノフが良く分かる演奏でした。  

ラフマニノフ 「エチュード・タブロ」
ラフマニノフ「エチュード・タブロ」

作品33(1911年)は初めは9曲作曲されましたが、第4曲は改訂され次の作品39-6として作品39に加えられ、第3曲と第5曲は公表されないままで1914年に6曲だけ出版されました。 (初演は確かではありません。) ラフマニノフの死後、第3曲と第5曲の手稿が発見され1948年にそれらがソヴィエト国立音楽出版社から出版され、その後ブージー=ホークス社から順番を入れ替えて8曲出版されました。(Op.33-4は欠番となっております。)

作品39(1916~1917年)はラフマニノフのロシア時代最後の作品で1917年ラフマニノフ自身によって初演されております。 出版は1920年ロシア音楽出版社から出版されています。

1930年にレスピーギがラフマニノフの「音の絵」から5曲抜粋して管弦楽に編曲した際、ラフマニノフはレスピーギにその5曲の標題について伝えた記録が残っていますが、それ以外は具体的な標題をラフマニノフは明らかにしておりません。 ラフマニノフは「音楽から連想したものを自由に描き出せばよい。」と標題を明らかにすることを嫌っていたようです。

ラフマニノフ/レスピーギ 「音の絵」
第1曲 「海とかもめ」 Op.39-2
第2曲 「定期市の光景」 Op.33-4
第3曲 「葬送行進曲」 Op.39-7
第4曲 「赤ずきんちゃんと狼」 Op.39-6
第5曲 「東洋の行進曲」 Op.39-9

ラフマニノフ/レスピーギ「音の絵」~BBC Philharmonic, Gianandrea Noseda

華麗な技巧という何種類もの筆を使って音という絵具で絵を描こうとする意図でこの練習曲が作られたと思えますが、一つずつの楽曲の意図が明確でありまた多様である事を考えますと、練習曲と呼ぶには超えたものがあるのではないかと思います。

Op.39-1 ハ短調
Op,39-1
右手の急速な分散和音に対して左手はシンコぺーションを刻みピアニスティックな激しい曲で、高度な技術を要求される難曲です。

Op.39-8 ニ短調
Op,39-8
曲の頭の動機で全体が統一されています。 もの悲しい軽快な曲です。

Op.33-6 変ホ短調
Op.33-5
2小節の序奏(ノン・アレグロ)に続き、疾風のようなプレストの起伏の激しい楽想になり力強い音の流れに圧倒されます。 嵐を描写するような音楽で高度な技術のいる曲です。

Op.39-3 嬰へ短調
Op.39-3
情熱の炎のような曲です。 目まぐるしく拍子が変わっていき、冒頭の音型が執拗に繰り返されているうちに、流れるような音型に変わりまた冒頭の音型に戻ります。 スクリャービン的な響きも聴こえます。

♯・・・♭
エレーナ・リヒテル女史(モスクワ音楽院教授)はゲンリッヒ・ネイガウスと息子のスタニスラフ・ネイガウスの弟子でスタニスラフ・ブーニンの先生ですが、「ネイガウスのピアノ講義」という本を編纂しておられますのでご紹介いたします。 ゲンリッヒ・ネイガウスは巨匠リヒテルやギレリスを育てたロシアの名教授です。
ネイガウスのピアノ講義(エレーナ・リヒテル編)
ネイガウスのピアノ講義~そして回想の名教授(音楽之友社)

エレーナ・リヒテルマスタークラス
エレーナ・リヒテル教授 マスタークラス受講証明書



<追記>
フィギュアスケート選手の皆さんがクラシックの曲を良く試合に使われますが、音楽を見事に表現されるその芸術性にはいつも感心いたします。 ラフマニノフの名曲2曲アップ致します。
ラフマニノフ 前奏曲 嬰ハ短調 Op.3-2 「鐘」(管弦楽編曲版)~浅田真央選手

ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲 作品43より~羽生結弦選手(2010 World Juniors フリー)


明日はショパンの「ロンド 変ホ長調 Op.16」について書きます。 この曲は中学2年生の時、恩師の故片岡みどり先生(相愛大学名誉教授)に伴われ、元日本ベーゼンドルファー大阪ショールームでProf.Aquiles Delle=Vigne(元ロッテルダム音楽院教授)にレッスンをして頂いた曲です。




















プロフィール

谷真子 masakotani

Author:谷真子 masakotani
東京音楽大学卒業

ADRESS
奈良市学園前

ピアニスト谷真子公式サイト
http://masakotani.co
奈良市学園前 谷真子ピアノ教室 教室ブログ「musica」
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