ベートーヴェン/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ (全10曲)
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通称ベートーヴェン 「バイオリン・ソナタ」と言われますが、正しくは「SONATE FUR KLAVIER UND VIOLINE」です。 ベートーヴェン(1770~1827)は生涯に10曲のヴァイオリン・ソナタを作っておりますが、後期に作曲されたのは第10番だけで、第1番から第9番までは1803年までに作られたものです。
ベートーヴェン当時のヴァイオリン・ソナタは今のヴァイオリン・ソナタと違い「ヴァイオリン助奏付きのピアノ・ソナタ」が主流であって、ピアノの比重が大変重たいものでした。 第5番当たりからヴァイオリンの比重が重たくなってまいりますが初期のヴァイオリン・ソナタはまだモーツァルトの影響の強いものでした。
第1番二長調Op.12-1と、第2番イ長調Op.12-2と、第3番Op.12-3は、1797~1798年に作曲されたと言われており師であるサリエリに献呈されています。 この頃は有名なピアノ・ソナタ第8番「悲愴」など初期の名作が生み出された頃で、少しモーツァルトの影響から抜け出てベートーヴェンらしさも見えています。
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第1番♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第2番♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第3番♫
第4番イ短調Op.23は初めて短調が使われております。 第5番へ長調Op.24は1801年に作曲されたものでかなりヴァイオリンの技巧が華やかにピアノと渡り合ってきています。 この頃のベートーヴェンは「傑作の森」と呼ばれる時期に入ろうとしていた時代で、ベート―ヴェンの個性がはっきりと現れてきています。 第5番の「春」はベートーヴェン自身が名付けたものではありませんが、まるで春の到来を思わせるかのような幸福感に満ちた曲です。
ちなみにこの第5番は初版の時点では「ピアノフォルテのための、ヴァイオリンを伴う2つのソナタ、作品23」として第4番とペアで1801年にウイーンで刊行されました。 そのままですと第5番はOp.23-2という事になったのでしょうが、出版社の事情から第4番が作品23、第5番が作品24として出版される事になったという逸話がございます。
第5番は2013年6月7日、大阪倶楽部で阿部裕之先生と四方恭子さんが演奏された曲です。 私もベルギーのバイオリニストの方と近い内に1楽章だけですが演奏致しますので、10人のピアニストの音源を集めてみました。
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第4番♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~ケンプ(ピアノ)、メニューイン(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~グリュミュオー(バイオリン)、ハスキル(ピアノ)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~アシュケナージ(ピアノ)、パールマン(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~アルゲリッチ(ピアノ)、クレーメル(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~ヘブラー(ピアノ)、シェリング(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~ルービンシュタイン(ピアノ)、シェリング(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~オボーリン(ピアノ)、オイストラフ(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~Colin Stone(ピアノ)、Krzysztof Smietana(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~アラウ(ピアノ)、グリュミュオー(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~Enrica Cavallo(ピアノ)、Franco Gulli(バイオリン)♫
第6番イ長調Op.30-1,第7番ハ短調Op.30-2,第8番ト長調Op.30-3は共に1802年に作曲されておりロシアのアレクサンドル1世に献呈されたため「アレキサンダー・ソナタ」と呼ばれております。 この3曲はこれまでのピアノが中心となったバイオリン・ソナタから脱皮しバイオリンのウエイトがかなり高くなってきております。 特に第7番は第5番に続き4楽章で書かれており、ハ短調という調性からくる悲壮感により内容的に優れた作品となっております。 4楽章で書かれているのは第5番と第7番と最後の第10番だけです。
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第6番♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第7番♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第8番♫
第9番イ長調Op.47はヴァイオリニストのルドルフ・クロイツエルに献呈されたため、「クロイツエル・ソナタ」と呼ばれていますが、クロイツエルが演奏する事はなかったようです。 1803年に作曲されております。
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第9番♫
第10番ト長調Op.96だけが後期に作られた唯一のヴァイオリン・ソナタです。 これはルドルフ大公に献呈されています。
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第10番♫
ベートーヴェンは「ピアノは一台のオーケストラである」というポリシーを持っていたために、1803年以降はほとんどバイオリン・ソナタを作っておりません。 音色の違う鍵盤楽器と弦楽器を有機的に絡ませて音楽を作るというのは大変な事で、弦の音に一番近いと言われるベーゼンドルファーのピアノは室内楽では良く使用されます。
♪カテゴリー「室内楽」♪に室内楽についての記事を多く書いておりますので、またお読み頂けたらと思います。

通称ベートーヴェン 「バイオリン・ソナタ」と言われますが、正しくは「SONATE FUR KLAVIER UND VIOLINE」です。 ベートーヴェン(1770~1827)は生涯に10曲のヴァイオリン・ソナタを作っておりますが、後期に作曲されたのは第10番だけで、第1番から第9番までは1803年までに作られたものです。
ベートーヴェン当時のヴァイオリン・ソナタは今のヴァイオリン・ソナタと違い「ヴァイオリン助奏付きのピアノ・ソナタ」が主流であって、ピアノの比重が大変重たいものでした。 第5番当たりからヴァイオリンの比重が重たくなってまいりますが初期のヴァイオリン・ソナタはまだモーツァルトの影響の強いものでした。
第1番二長調Op.12-1と、第2番イ長調Op.12-2と、第3番Op.12-3は、1797~1798年に作曲されたと言われており師であるサリエリに献呈されています。 この頃は有名なピアノ・ソナタ第8番「悲愴」など初期の名作が生み出された頃で、少しモーツァルトの影響から抜け出てベートーヴェンらしさも見えています。
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第1番♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第2番♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第3番♫
第4番イ短調Op.23は初めて短調が使われております。 第5番へ長調Op.24は1801年に作曲されたものでかなりヴァイオリンの技巧が華やかにピアノと渡り合ってきています。 この頃のベートーヴェンは「傑作の森」と呼ばれる時期に入ろうとしていた時代で、ベート―ヴェンの個性がはっきりと現れてきています。 第5番の「春」はベートーヴェン自身が名付けたものではありませんが、まるで春の到来を思わせるかのような幸福感に満ちた曲です。
ちなみにこの第5番は初版の時点では「ピアノフォルテのための、ヴァイオリンを伴う2つのソナタ、作品23」として第4番とペアで1801年にウイーンで刊行されました。 そのままですと第5番はOp.23-2という事になったのでしょうが、出版社の事情から第4番が作品23、第5番が作品24として出版される事になったという逸話がございます。
第5番は2013年6月7日、大阪倶楽部で阿部裕之先生と四方恭子さんが演奏された曲です。 私もベルギーのバイオリニストの方と近い内に1楽章だけですが演奏致しますので、10人のピアニストの音源を集めてみました。
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第4番♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~ケンプ(ピアノ)、メニューイン(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~グリュミュオー(バイオリン)、ハスキル(ピアノ)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~アシュケナージ(ピアノ)、パールマン(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~アルゲリッチ(ピアノ)、クレーメル(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~ヘブラー(ピアノ)、シェリング(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~ルービンシュタイン(ピアノ)、シェリング(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~オボーリン(ピアノ)、オイストラフ(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~Colin Stone(ピアノ)、Krzysztof Smietana(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~アラウ(ピアノ)、グリュミュオー(バイオリン)♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第5番~Enrica Cavallo(ピアノ)、Franco Gulli(バイオリン)♫
第6番イ長調Op.30-1,第7番ハ短調Op.30-2,第8番ト長調Op.30-3は共に1802年に作曲されておりロシアのアレクサンドル1世に献呈されたため「アレキサンダー・ソナタ」と呼ばれております。 この3曲はこれまでのピアノが中心となったバイオリン・ソナタから脱皮しバイオリンのウエイトがかなり高くなってきております。 特に第7番は第5番に続き4楽章で書かれており、ハ短調という調性からくる悲壮感により内容的に優れた作品となっております。 4楽章で書かれているのは第5番と第7番と最後の第10番だけです。
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第6番♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第7番♫
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第8番♫
第9番イ長調Op.47はヴァイオリニストのルドルフ・クロイツエルに献呈されたため、「クロイツエル・ソナタ」と呼ばれていますが、クロイツエルが演奏する事はなかったようです。 1803年に作曲されております。
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第9番♫
第10番ト長調Op.96だけが後期に作られた唯一のヴァイオリン・ソナタです。 これはルドルフ大公に献呈されています。
♫ベートーヴェン バイオリン・ソナタ第10番♫
ベートーヴェンは「ピアノは一台のオーケストラである」というポリシーを持っていたために、1803年以降はほとんどバイオリン・ソナタを作っておりません。 音色の違う鍵盤楽器と弦楽器を有機的に絡ませて音楽を作るというのは大変な事で、弦の音に一番近いと言われるベーゼンドルファーのピアノは室内楽では良く使用されます。
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