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2015_09
20
(Sun)06:36

イヴ・アンリ教授(パリ国立高等音楽院)レクチャー・リサイタル

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モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

今日は昨日(19日)行われましたイヴ・アンリ教授(パリ国立高等音楽院)レクチャー・リサイタルについて書いてみます。

     プログラム
イヴ・アンリ レクチャー・リサイタル
作曲家は(特にロマン派以降)何かにインスパイアされて作曲している場合が多いのですが、ピアノをお勉強する学生さんの中には少なからず、読譜と練習に追われ作曲家が曲を作る際にインスピレーションを受けたその背景を知らずに演奏している場合が多々あります。

そこでイヴ・アンリ教授は演奏をする際の作品の背景を知る必要性を伝えるために、毎年レクチャー・リサイタルを開かれています。 今回は上の4曲についてお話と演奏が行われました。

スクリーンを使ってのとても分かりやすいレクチャーでしたので、今回聴き逃された方もまたの機会に是非聴講なさって見て下さい。 


まずショパンの「舟歌」の演奏でしたが、これはイタリアのベネチアのゴンドラとゴンドラの浮かぶベネチアの「水」をイメージした曲です。 その映像を見ながらのイヴ・アンリ氏の演奏でした。 「水」をイメージした曲はたくさんありますが、一口に「水」と言っても国、場所、時間、環境によっていろんな表情を見せます。 作曲家が何にインスパイアされて作ったのかを知る事は曲を再現するのには大変重要な事だと思います。



次はリストの「ペトラルカのソネットS.123」でした。 これはイタリアのペトラルカという叙情詩人の詩をリストが読んでインスパイアされ作った曲です。 リストは文学に造詣が深く他にも「ダンテを読んで」、歌曲の「愛の夢」など文学を題材にした作品を多く作っています。

参考ブログ「リスト 愛の夢」♪
参考ブログ「リスト ダンテを読んで」♪




次はラヴェルの「夜のガスパール」でした。 この作品はフランスの詩人ベルトランの詩「夜のガスパール」を読んでラヴェルが作曲したものです。 楽譜の各楽章の冒頭にベルトランの3つの詩がそれぞれ書かれていますので下に楽譜を掲載します。 第3曲の「スカルボ」は帽子をかぶった悪魔の事ですが、その写真を見ながらの「スカルボ」のイヴ・アンリ氏の演奏は、ピアニストにとって「スカルボ」の演奏がいかにテクニックを必要とするかを、改めて感じさせられる凄みのあるものでした。 ラヴェルは私が師事する阿部裕之先生もCDを出され得意とされておりますが、阿部裕之先生のラヴェルの「スカルボ」にリンク致します。

ラヴェル 「スカルボ」~Prof. Hiroyuki Abe
イヴ・アンリ氏公式サイト
ラヴェル参考ブログ

ラヴェル 夜のガスパール
ラヴェル 夜のガスパール メモ
夜のガスパールについての私のメモ

楽譜の冒頭のベルトランの詩
Ondine
Ondine
Le Gibet
Le Gibet
Scarbo
Scarbo



次はボロディンの「ダッタン人の踊り」をイヴ・アンリ氏が編曲した作品でした。 来年にはベヒシュタイン社からオーケストラの曲をイヴ・アンリ氏が編曲した作品のCDが発売されるようです。 ピアノは一台のオーケストラだと納得させられる迫力のある演奏でした。 


アンコールにショパンの「ワルツ」とラヴェルの「ソナチネ2楽章」と「子犬のワルツ」を弾いて下さいました。 以前も書きましたがピアノの練習は感性を消耗する作業ですので、時々良い演奏会を聴いて感性を補充すると、イメージが膨らみ明日への活力になります。

明日は今、阿部裕之先生にレッスンをして頂きながら私が取り組んでいるラヴェルの「鏡」について書きます。 抜粋で演奏される事が多いですが、全曲弾くと30分位かかる大曲です。 今日イヴ・アンリ氏にもレッスンをして頂く事ができ、また新たな気持ちで勉強し直そうと感じている曲です。 
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