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2015_11
04
(Wed)06:00

シューマン 「謝肉祭 Op.9」(11/4 第1稿目)

MESSAGE(11/4 第1稿目)
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

シューマン(1810~1856)はドイツロマン派を代表する作曲家ですが、比較的初期の20歳半ばの作品に「謝肉祭」という傑作があります。 この「謝肉祭」は2014年10月9日に大阪倶楽部で私が師事する♪阿部裕之先生♪が弾かれましたが、今日はこの作品について書いてみます。

この作品には副題として「4つの音に基ずく小景」と記されております。 4つの音とはA、es(音読みするとs)、c、hですがこれらを組み合わせるとAsch(アッシュ)となり、シューマンがクララと出会う前に婚約していたエルネスティーネの生まれ故郷の町の名前です。 「前口上」と「ショパン」を除く全ての曲にこの4つの音列が使われております。

シューマンは音楽批評を書いていた事でも有名ですが、初めての音楽批評は1832年のライプツィヒの音楽新聞に載せた「諸君、脱帽したまえ、天才だ」というショパンへの賛辞の批評です。 その後1834年に創刊された新音楽時報に「ダヴィッド同盟」というシューマンと音楽的意見を同じにする音楽家の団体(シューマンの心の中の架空の結社)の名前で音楽批評を展開していきます。

この批評にはシューマンの架空の結社「ダヴィッド同盟」の構成員が登場しますが、シューマンを表すフロレスタンとオイぜビウス、クララ、エルネスティーネ、そして音楽家のシューベルト、ショパン、パガ二ー二などが登場致します。

「謝肉祭Op.9」は前向きなシューマンの友人のダヴィッド(ダヴィデ王)同盟構成員達がカー二バルを祝い、踊り、楽しみ、その勢いで永遠に時代遅れの音楽界の俗物フィルステン(ペりシテ人)の討伐に向かうというあらすじの組曲になっております。 (ベートーヴェンが亡くなり、すぐ続いてシューベルトが亡くなりとした後のシューマンの音楽界への危惧が表現されているのかとも思われます。)

アデリーナ・ララ♪(クララの晩年の弟子)のCD
P1020124.jpg

前口上
前口上

ピエロ
アルルカン

高貴なワルツ(シューベルト)
高貴なワルツ

オイぜビウス(シューマン)
オイゼビウス

フロレスタン(シューマン)
フロレスタン

コケット
返事

スフィンクス
スフィンクス
[Es(S)-C-H-A] [As(AS)-C-H] [A-Es(S)-C-H]の音を長く伸ばして弾くと副題の謎解きができます。

蝶々
A.S.C.H.-S.C.H.A~.踊る文字

キアリーナ(クララ)
キアリーナ

ショパン
ショパン

エストレラ(エルネスティーネ)
エストレラ

再会
パンタロンとコロンビーヌ

ドイツ風ワルツ
ドイツ風ワルツ
クララの「ロマンティックなワルツ」作品4♫が引用されております

パガニーニ
パガニーニ

告白
プロムナード
休息

ぺリシテ人と戦うダヴィッド同盟の行進
行進

シューマン 「謝肉祭」♫~エフゲ二ー・キーシン(ピアノ)



***追記***
ダビデ王(ラテン語David)
旧約聖書に登場する古代イスラエルの王。 ペりシテ人のゴリアテと闘い勝利した話は有名。

フィルステン人(ラテン語Philistini)
旧約聖書に登場するペりシテ人の事。 古代イスラエルの主要な敵。 現代ヨーロッパでは「芸術や文学などに関心のない無趣味な人」の比喩で用いられる。

ベートーヴェン(1770~1827)、シューベルト(1797~1828)、シューマン(1810~1856)、ショパン(1810~1849)、パガニーニ(1782~1840)


続いて本日の第2稿目のブログの「指揮者 垣内悠希さんの年末・年始の日本での演奏会のご紹介」を書きます。
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