ベートーヴェン 「プロメテウスの創造物」の主題による15の変奏曲とフーガ 変ホ長調 作品35
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ベートーヴェンはブラームスと共に変奏曲に特に秀でた手腕を発揮した作曲家と言えると思いますが、ピアノのための独立した変奏曲は20曲ほど残しております。 その中でこの作品35、「ディアベッりの主題による33の変奏曲」、「32の変奏曲ハ短調」は広く親しまれている傑作ではないかと思います。
この「プロメテウスの創造物の主題による15の変奏曲とフーガ 作品35」は1802年作曲されたものですが、主題は1801年作の自作のバレエ音楽「プロメテウスの創造物 作品43」のフィナーレから引用されたものです。 この主題は後1804年に交響曲第3番「英雄」の第4楽章にも使用された事から逆にこの作品35も「エロイカ変奏曲」と呼ばれるようになりました。
♫バレエ音楽 プロメテウスの創造物 抜粋♫~ウイーンフィル・ハーモニー、バーンスタイン指揮
♫交響曲第3番「英雄」♫~ベルリンフィル・ハーモニー、マゼール指揮
序奏ではバレエ音楽「プロメテウスの創造物」のフィナーレの主題の伴奏部が2声、3声、4声の3つの変奏を伴って表れます。 続いてフィナーレの主題のメロディが表れ変奏を繰り広げていきます。 終曲のフーガではまた序奏の主題が表れ最後のコーダではまた主題のメロディが表れるという多彩な構成と充実した精神性のため演奏効果が見事でベートーヴェンらしい曲です。


主題・2声

3声

4声

テーマ

フーガ

コーダ

アルフレッド・ブレンデル

ウイルヘルム・ケンプ

クラウディオ・アラウ
♫プロメテウスの創造物の主題による15の変奏曲とフーガ♫~アルフレッド・ブレンデル
*******
<ギリシャ神話の神 プロメテウス>
プロメテウスは、ゼウスの命に背き人類の幸せを信じて天界の火を人類に与え、ゼウスの逆鱗を買ったギリシャ神話の中の神です。 人間を創造したとも言われている神です。 天界では天地創造の力を持つ「神の焔」を人類に渡すのは禁止されていました。
プロメテウスは人類に同情して火を与えようとし、この事をゼウスに願いましたが、ゼウスは、もし人間に火を持たせると、人類の力も知恵も神に迫り、神々を苦しめるようになるだろうから、神々の世界を安泰に、いつまでも幸福に栄えさせるためには、人類を無知の状態のままにしておいたほうがよいとして、ゼウスはプロメテウスの願いをはねつけてしまいます。
それでもプロメテウスの決心は変わりませんでした。 彼はついに浜辺から一本の葦の髄をとり、日輪の炎に駆け寄り、火を盗み、それを人間に与えます。 このようにして人類は初めて火の文化の恩恵に浴する事になりました。
ゼウスは大いに怒り、人類に禍を与え、プロメテウスを山中に鎖で繋ぎます。 力の神ヘラクレスからその鎖をはずしてもらってプロメテウスは解放されます。
イギリスの詩人シェリーがこのプロメテウスを主人公に愛の勝利を歌い上げる詩劇を書いておりますのでご紹介いたします。

鎖を解かれたプロメテウス シェリー作 岩波文庫
ベートーヴェンは4回も「プロメテウスの創造物」の主題を使用しておりますが、人類への賛歌とともに人類の傲慢さを書いたのかとも思います。
♪11月16日の記事♪に「南極」や「ケープタウン」の話を少し補足致しました。 明日はリストの「バラード2番」について書きます。

ベートーヴェンはブラームスと共に変奏曲に特に秀でた手腕を発揮した作曲家と言えると思いますが、ピアノのための独立した変奏曲は20曲ほど残しております。 その中でこの作品35、「ディアベッりの主題による33の変奏曲」、「32の変奏曲ハ短調」は広く親しまれている傑作ではないかと思います。
この「プロメテウスの創造物の主題による15の変奏曲とフーガ 作品35」は1802年作曲されたものですが、主題は1801年作の自作のバレエ音楽「プロメテウスの創造物 作品43」のフィナーレから引用されたものです。 この主題は後1804年に交響曲第3番「英雄」の第4楽章にも使用された事から逆にこの作品35も「エロイカ変奏曲」と呼ばれるようになりました。
♫バレエ音楽 プロメテウスの創造物 抜粋♫~ウイーンフィル・ハーモニー、バーンスタイン指揮
♫交響曲第3番「英雄」♫~ベルリンフィル・ハーモニー、マゼール指揮
序奏ではバレエ音楽「プロメテウスの創造物」のフィナーレの主題の伴奏部が2声、3声、4声の3つの変奏を伴って表れます。 続いてフィナーレの主題のメロディが表れ変奏を繰り広げていきます。 終曲のフーガではまた序奏の主題が表れ最後のコーダではまた主題のメロディが表れるという多彩な構成と充実した精神性のため演奏効果が見事でベートーヴェンらしい曲です。


主題・2声

3声

4声

テーマ

フーガ

コーダ

アルフレッド・ブレンデル

ウイルヘルム・ケンプ

クラウディオ・アラウ
♫プロメテウスの創造物の主題による15の変奏曲とフーガ♫~アルフレッド・ブレンデル
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<ギリシャ神話の神 プロメテウス>
プロメテウスは、ゼウスの命に背き人類の幸せを信じて天界の火を人類に与え、ゼウスの逆鱗を買ったギリシャ神話の中の神です。 人間を創造したとも言われている神です。 天界では天地創造の力を持つ「神の焔」を人類に渡すのは禁止されていました。
プロメテウスは人類に同情して火を与えようとし、この事をゼウスに願いましたが、ゼウスは、もし人間に火を持たせると、人類の力も知恵も神に迫り、神々を苦しめるようになるだろうから、神々の世界を安泰に、いつまでも幸福に栄えさせるためには、人類を無知の状態のままにしておいたほうがよいとして、ゼウスはプロメテウスの願いをはねつけてしまいます。
それでもプロメテウスの決心は変わりませんでした。 彼はついに浜辺から一本の葦の髄をとり、日輪の炎に駆け寄り、火を盗み、それを人間に与えます。 このようにして人類は初めて火の文化の恩恵に浴する事になりました。
ゼウスは大いに怒り、人類に禍を与え、プロメテウスを山中に鎖で繋ぎます。 力の神ヘラクレスからその鎖をはずしてもらってプロメテウスは解放されます。
イギリスの詩人シェリーがこのプロメテウスを主人公に愛の勝利を歌い上げる詩劇を書いておりますのでご紹介いたします。

鎖を解かれたプロメテウス シェリー作 岩波文庫
ベートーヴェンは4回も「プロメテウスの創造物」の主題を使用しておりますが、人類への賛歌とともに人類の傲慢さを書いたのかとも思います。
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