2015_12
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(Tue)06:03

リスト 3つの演奏会用練習曲 S.144から「ため息」

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モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

「3つの演奏会用練習曲」は1845年に着手され、リスト(1811~1886)がピアニストとして一線を退きワイマールで職に就いた1848年に完成した作品ですが翌1849年に出版されております。 

出版された時は「Trois etudes de concert」とフランス語の題で出版されリストは標題は付けておりません。 のちにフランスで「Trois Caprices Poetiques」(3つの詩的なカプリス)として出版された際に、各曲にイタリア語で標題が付けられ現在もそれが通称として使われております。

甘美な詩情に溢れたサロン風のロマンティックな小品集で特に第3曲の「ため息」は単独で演奏会でもよく弾かれます。

第1曲の「Il lamento」(悲しみ)は旋律と伴奏とを弾き分ける練習曲で、(気まぐれに)と指定された序奏の後、物思わしげな旋律が現れ、これが様々に展開してまいります。

第2曲の「La leggierezza」(軽やかさ)は右手の繊細なコントロールのための練習曲でその光と影の精妙さがすばらしいです。

第3曲の「Un sospiro」(ため息)はアルペジオと両手で旋律を歌い継いでいく練習曲です。 後半「タールベルクの三本の手の技法」が典型的な形で用いられております。

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タールベルクの3本の手
ショパン・リストと並ぶ19世紀を代表するスイスのピアニスト・作曲家のタールベルク(1812~1871)が用いたピアノ演奏の技法。 右手、左手単独の演奏に加え両手の主に親指を組み合わせてあたかも三本目の手があるかのような演奏を行う。


悲しみ♫~クラウディオ・アラウ
軽やかさ♫~クラウディオ・アラウ
ため息♫~クラウディオ・アラウ
ため息♫~リヒテル
ため息♫~ヴァン・クライバーン
ため息♫~ヤン・リシエツキー
ため息♫~フジ子・ヘミング

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ため息CD~リヒテル

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3つの演奏会用練習曲CD~ボレット

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ため息CD~アンドレ・ワッツ

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ムジカ・ブタペスト版

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悲しみ

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軽やかさ

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ため息



「ため息」はフィギュアスケート選手の宮原知子選手が今季のフリーで使用している曲ですが、羽生結弦選手がショートで使用しているショパンのバラード1番の参考ブログにもリンク致します。

参考ブログ
ショパン バラード第1番


明日はリストの「2つの演奏会用練習曲 S.145」について書きます。