2015_12
02
(Wed)06:03

リスト 2つの演奏会用練習曲 S.145

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

2つの演奏会用練習曲はリスト(1811~1886)が1862年から1863年にかけてワイマール時代の弟子のディオニス・プルックナー(1834~1890)のためにローマで書いて彼に献呈したものです。

原題はZwei Konzertetudenとドイツ語で書かれており各曲のタイトルもドイツ語でリスト自身が付けたものです。 3つの演奏会用練習曲とともに演奏会でよく取り上げられるサロン風のロマンティックな小品集です。

第1曲のWaldesrauschen(森のささやき)は、左手の表情に富んだ主題を木々の葉擦れのような16分音符の細かい音型がタイトル通りに繰り返し飾っていっております。 そして旋律と伴奏音型が上になったり下になったりしながら微妙に変奏されていきます。 イギリスの文学者のシットウェルはこの曲を「松の林にそよぐ風。 ドイツやボヘミアの森では真っ直ぐに伸びた幹が槍騎兵のように並び、垂れた枝の房のような葉が風に揺れています。 森の中にいると甲冑に身を固めた騎士が森のそばを駆けていくような幻想にとらわれます。」と詩的に説明しております。 詩情豊かな作品です。

リスト 森のささやき♫~キーシン
リスト 森のささやき♫~アラウ


第2曲のGnomenreigen(小人の踊り)は森のささやきと一対の形で作曲されたもので、装飾音やスタッカートの効果、豊かな転調と斬新な和声、リズムの変化など旋回するような弾みを持つスケルツォの曲となっております。

Gnome(妖精)はヨーロッパ各国のフォークロアに現れる妖精ですが、この老人の姿をした小人が踊っている姿がよく表現されております。

*****
Gnome
四精霊(地、水、風、火を司る四種の霊)の中で大地を司り地中の宝を守る地の精霊・妖精。 地中で生活をしており老人のような容貌をした小人。 手先が器用で知性も高く優れた細工品を作る。 

タイトル通り、いかにもメルヘンの中の小人の踊りを思わせる軽妙な筆致で書かれたリストらしい奔放な作品です。 幻想的でリズミカルな曲想が大変楽しく、私は小学生の時この曲をお勉強致しましたが、ファンタジ―溢れる作品を楽しくお勉強したのを覚えております。

リスト 小人の踊り♫~シフラ
リスト 小人の踊り♫~リヒテル
リスト 小人の踊り♫~リパッティ
リスト 小人の踊り♫~ラフマニノフ
リスト 小人の踊り♫~ボレット
リスト 小人の踊り♫~アラウ

P1020516.jpg

P1020517.jpg
森のささやき

P1020520.jpg
小人の踊り

P1020521.jpg
2つの演奏会用練習曲CD~ボレット

P1020522.jpg
小人の踊りCD~リヒテル

P1020523.jpg
2つの演奏会用練習曲CD~ペライア


明日はリストの「パガニーニによる大練習曲」について書きます。