2015_12
03
(Thu)06:28

リスト パガニー二による大練習曲 S.141

MESSAGE
モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

リストの「パガニー二による大練習曲」はイタリアのヴァイオリニストの二コロ・パガ二‐二(1782~1840)の「24の奇想曲」と「ヴァイオリン協奏曲第2番」に基づきリスト(1811~1886)が編曲した作品です。

1831年に作曲された初版S.140と1851年に改訂されたS.141とがあり、初版は「パガ二ー二による超絶技巧練習曲」、改訂版は「パガ二ー二による大練習曲」と呼ばれて区別されております。

1831年20歳の時パリでヴァイオリニストのパガ二‐二の演奏会を初めて聴いたリストは、その高度な技巧に圧倒されて「自分はピアノのパガ二‐二になろう」と言ったと伝えられております。 やがて1838年リストはヴァイオリニストのパガ二‐二の「24の奇想曲」から5曲を選びピアノ独奏用に編曲し、さらに少し前に出していた「ラ・カンパネッラによる華麗な大幻想曲」(パガ二‐二のヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章ロンドに基づくもの)に手を加え、計6曲からなる「パガ二‐二による超絶技巧練習曲」をパリで出版致します。

後に1851年になってそれを新たに改訂しライプツイヒで最終的に出版したのが「パガニーニによる大練習曲」です。

パガニーニ 24の奇想曲♫~パールマン(ヴァイオリン)

リストの「パガニーニによる大練習曲」の第1曲は原曲はヴァイオリニストのパガニーニの「24の奇想曲」の第5・6番です。 主部が第6番のトレモロによってできているのでこの曲も通称「トレモロ」と呼ばれております。

第2曲は原曲は第17番です。中間部はオクターヴの練習曲になっているので「オクターヴ」とも呼ばれます。

第3曲は「ラ・カンパネッラ」とリスト自身が名付けたものですが、輝かしい技巧により演奏効果の高い見事な名曲となっており単独でよく演奏されます。 パガ二ーニのヴァイオリン協奏曲第2番の終曲の「小さい鐘のようなロンド」を基に作曲された曲ですが、リストはこの曲の中で打弦楽器としてのピアノの特性を最大限に活かしダブル・エスケープメント(鍵盤が完全に上がりきらなくても、同じ音を速く連続打鍵できる装置)の装置のついたエラール・ピアノの性能をこの曲の中で存分に活かしております。

またカンパネッラはイタリア語で鐘という意味ですが、この曲には最大で15度の跳躍があり、この跳躍を16分音符で演奏した後に演奏者に手を移動する時間を与える休止がないまま2オクターヴ上で同じ音符が演奏されるという技巧や薬指と小指のトリルなどという難しい技巧が含まれております。

パガニーニ ヴァイオリン協奏曲第2番終曲♫~アッカルド(ヴァイオリン)

第4曲は原曲は第1番です。 アルぺッジョとスタッカートに終始しているのでアルぺッジョと言われています。

第5曲は原曲は第9番です。 初めからリストが「狩り」と名付けておりました。 

第6曲は原曲は第24番です。パガニーニの原曲同様にリストも主題に基づき11の変奏を書き、それにコーダを付け進行は原曲に忠実です。 またリスト以外にもブラームスやラフマニノフなど多数の作曲家がパガニーニの「奇想曲24番」の主題を基にした変奏曲を書いております。

パガニーニ 24の奇想曲 第24番♫~ハイフェッツ(ヴァイオリン)

リスト パガニーニによる大練習曲 第1曲♫~マガロフ(ピアノ)
リスト パガニーニによる大練習曲 第2曲♫~マガロフ(ピアノ)
リスト パガニーニによる大練習曲 第3曲♫~マガロフ(ピアノ)
リスト パガニーニによる大練習曲 第4曲♫~マガロフ(ピアノ)
リスト パガニーニによる大練習曲 第5曲♫~マガロフ(ピアノ)
リスト パガニーニによる大練習曲 第6曲♫~マガロフ(ピアノ)

リスト パガニーニによる大練習曲第3曲 ラ・カンパネッラ♫~キーシン(ピアノ)


P1020555.jpg
ラ・カンパネラCD~ヴァーシャーリ

P1020556.jpg
パガニーニによる大練習曲CD~ワッツ

P1020557.jpg
ラ・カンパネラ~ボレット

P1020558.jpg

P1020559.jpg
第1曲

P1020560.jpg
第2曲

P1020561.jpg
第3曲

P1020562.jpg
第4曲

P1020563.jpg
第5曲

P1020564.jpg
第6曲


明日はシューマンのピアノ協奏曲イ短調について書きます。