2015_12
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(Tue)07:00

ドビュッシー 子供の領分

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ドビュッシーの子供の領分はクロード・ドビュッシ(1862~1918)が1908年完成させたピアノのための組曲です。 1908年デュラン社から出版されその年の12月にはイギリス人ピアニストのハロルド・バウアーによってパリで初演され好評を得ました。

当時3歳だった娘クロード・エマ(愛称シュウシュウ)のために作曲されましたが、子供が演奏する事を目的としたものではなく大人が子供らしい気分に浸る事を目的としたメルヘンともいうべき音楽です。 子供の目を通して見る日常のありさまを、ユーモアに満ちた優しい響きの中に再現しようとしたもので、ドビュッシーの詩的天分を強く印象付けてくれる作品です。

タイトルは英語で書かれており、愛娘クロード・エマにイギリス人の家庭教師が付いていたのと関係があると言われております。

1.Doctor Gradus ad Parnassum グラドゥス・アド・パルナッスム博士
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イタリアのピアニストのクレメンティに「グラドゥス・アド・パルナッスムというピアノ練習曲集があります。 運指の練習曲集ですがドビュッシーもそれが嫌いだったようです。 「パルナッスム」はギリシャのパルナッソス山の事でアポロンとミューズがこの山にこもったという伝説から詩歌・芸術の象徴と言われております。 ラテン語のGradus ad ParnassumはSteps to Parnassus(ミューズの住居パルナッソスへの歩み)という意味ですが、ドビュッシーはこの種の味気ない練習曲集にDoctor(博士)を付ける事でアカデミックな先生連を皮肉っております。 クレメンティの練習曲を退屈そうに練習している子供の姿をパロディ風に風刺して描いており、いやいや練習する子供への父親の優しい同情が繊細な響きの中に聴こえます。

2.Jimbo's Lullaby象の子守歌
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シュウシュウが一番大事にしていたのが象の縫いぐるみのジンボーですが、シュウシュウはベッドでジンボーと添い寝をして子守歌を歌ってやっております。 やがて子供は縫いぐるみの象と一緒に眠ってしまいます。

3.Serenade for the doll人形へのセレナード
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子供がおもちゃの人形にセレナードを歌って聴かせている場面を描写した音楽です。

4.Snow is dancing雪は踊る
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窓辺で降ってくる雪を眺めている子供心を表したものです。 冒頭の4つの単音はちらちらと舞い始めた雪を表しております。 子供心の幻想と侘しさを表現した音楽です。

5.The little shepherd小さな羊飼い
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シュウシュウのガラスのおもちゃの羊飼いは角笛で甘い旋律を吹きます。 美しい牧歌です。

6.Golliwog's cake-walkゴリウォーグのケークウォーク
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シュウシュウの大事なおもちゃのゴリウォーグ(19世紀末頃からヨーロッパで流行した黒人人形)が踊るケークウォークを描写しております。 ケークウォークというのは1850年頃から1930年にかけてアメリカの南部で流行った子供の遊びの事です。 子供たちは音楽に合わせて椅子の周りを歩いたり一緒に踊ったりします。 音楽が止むと椅子を捕まえない子が負けでたった一人が残るまで続けられます。 賞品がケーキだったところからケークウォークと呼ばれるようになりました。 ドビュッシーのケークウォークはその遊びで使われる音楽の事ですが、シンコぺーションを持った強烈なリズムでドビュッシーの「小さな黒人の子」でも使われております。

子供の領分♫~モニク・アース
子供の領分♫~ミケランジェリ
子供の領分♫~ワイセンベルク

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ミケランジェリ

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ギーゼキング

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モニク・アース

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パスカル・ロジェ

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フランソワ

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KAZUKO YASUKAWA


明日はドビュッシーの12のエチュードについて書きます。


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