ラヴェル 夜のガスパール

ラヴェル(1875~1937)がベルトランの幻想的な散文詩全57篇の中から3篇を選びそれをもとに作曲した「夜のガスパール」は、厳密さと明晰さと正確さの巨匠であるラヴェルが幻想的なものに取り組んだ時の実に個性的なやり方を見せてくれる不思議な魅力の作品です。

ルイ・アロイジュス・ベルトラン(1807~1841)はフランス・ロマン派の詩人ですが、貧困と病の為、遺作「夜のガスパール」一巻を残して34歳の若さで亡くなります。 「夜のガスパール」は幻想豊かな散文詩で後にボードレールを啓発しベルトランの再認識が行われるようになります。 ラヴェルはベルトラン再興の時にその詩集を読み感銘を受けこの曲を作曲いたしました。

1908年にこの作品は作曲され翌1909年1月9日にパリでビニェスのピアノによって初演されますが、ラヴェルのピアノ曲の中でも技術的にも内容的にも最も充実した傑作に挙げられます。 また3曲から成るこの作品の譜面上に、もととなったベルトランの詩をイメージとして書き添えており、この3曲はそれぞれ別々の人物に献呈されております。

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第1曲水の精(オンディーヌ)
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湖に住む水の精オンディーヌが窓を伝って人間の若者に愛をささやきます。 しかし彼女は若者に裏切られ、涙をこぼしたかと思うと大きな笑い声をあげ窓ガラスを伝う雨の中へと流れ去ります。 ラヴェルの書法は実に精妙で幻想的でその流麗なピアニスティックなパッセージは技巧的に非常に難しいものです。 後半はベルトランの字句を忠実に追ったものと言われております。 曲はイギリス生まれの名ピアニストのハロルド・バウアー(1873~1951)に捧げられております。

第2曲絞首台(ジべ)
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遥かに聴こえる沈鬱な鐘の響きの中で、絞首台にさらされた罪人の抱く妄想や沈みゆく夕日に照らしだされる恐ろしい光景が凄まじい圧迫感を伴って描写されております。 音楽評論家のジャン・マルノールに献呈されております。

第3曲スカルボ
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スカルボとはベルトランの詩に現れる「身体の太った地の精」で不気味な夜を象徴しております。 いたずら好きの小悪魔スカルボが月の光に導かれて人間の部屋に出没いたします。 そして大きな跳ね回りを繰り返したかと思うと、突然青ざめてろうそくの光が消えるようにいなくなってしまいます。 32分音符の連打など超絶的ともいえる技巧をこらしたピアニスティックな作品ですがスイス生まれの名ピアニストでアメリカへ移住したルドルフ・ガンツ(1877~1972)に捧げられております。

ラヴェル スカルボ♫~♪阿部裕之先生

これら3曲は非常に対照的で新印象主義的な歌、陰鬱な幻想、フランス的な華々しい表現主義の一例ですが、厳格にコントロールされた熟練の技という点では共通いたしております。 ラヴェル一流の完璧主義で幻想的なものを表現する時どうなるかそれを見事に表している作品と言えるのではないかと思います。

ラヴェル 夜のガスパール♫~V.ペルルミュテール
ラヴェル 夜のガスパール♫~ミケランジェリ
ラヴェル 夜のガスパール♫~アルゲリッチ

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ペルルミュテール

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阿部裕之先生

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ギーゼキング

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フランソワ

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モニク・アース

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ピエール=ロラン・エマ―ル

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パスカル・ロジェ

参考ブログ♪イヴ・アンリ(パリ国立高等音楽院教授) レクチャー・リサイタル


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プロフィール

谷真子 masakotani

Author:谷真子 masakotani
東京音楽大学卒業

ADRESS
奈良市学園前

ピアニスト谷真子公式サイト
http://masakotani.co
奈良市学園前 谷真子ピアノ教室 教室ブログ「musica」
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