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2016_07
20
(Wed)08:33

ドビュッシー 版画/Debussy Estampes

「版画」は1903年に完成されたドビュッシー(1862~1918)のピアノ曲で「映像」とともに印象主義音楽のピアノ曲の書法を確立した作品です。

3曲の独立した曲から成り、オリエント・スペイン・フランスから題材を採っております。

作曲の完成直後に書いた手紙の中で「曲名がとても気に入っています。 東洋にもスペインにも行った事がないため想像で埋め合わせをするしかありません。」と書いています。

1890年代半ば頃から作曲に着手し1903年に完成、翌1904年1月9日にリカルド・ビニェスによって初演されました。

大作オペラ「ペレアスとメリザンド」を完成し初演を終えた時期で本格的ピアノ作品としてはしばらくぶりとなっております。

献呈は第1曲と第3曲はジャック・エミール・ブランシュに、第2曲はピエール・ルイスに献呈されています。

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1 塔 / "Pagodes"
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1889年パリで開催された万国博覧会でバリ島民の演奏するガムラン音楽を聴きドビュッシーは深く興味を持ちます。 この曲はインドシナ民族音楽を模倣したものでアジアを暗示しております。 五音音階を用いた東洋風の主題が独特の雰囲気を作り上げております。
ドビュッシー 版画第1曲”塔♫~チッコリーニ

2 グラナダの夕べ / "La soiree dans Grenade"
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ハバネラのリズム、ムーア人の歌調、ギターの響き、アラビア音階の利用がスペイン情緒を掻き立て、スペインのアンダルシア地方の古都グラナダを彷彿とさせる音楽になっております。 ドビュッシーはスペイン体験がほとんどないにもかかわらず、スペインの作曲家ファリャは「スペインを見事に描き切っている」とドビュッシーの天性の想像力と才能を賞賛致しました。
ドビュッシー 版画第2曲”グラナダの夕べ♫~チッコリーニ

3 雨の庭 / "Jardins sous la pluie"
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フランスの童謡「もう森になんか行かない Nous n'irons plus au bois」や「眠れ坊や眠れ Dodo l'engant do」が引用されており、繊細なアルペジオによってドビュッシーの母国フランスの庭園の木立に降りかかる雨が描写されております。
ドビュッシー 版画第3曲”雨の庭♫~アルゲリッチ
ドビュッシー 版画第3曲”雨の庭♫~ミッシェル・ベロフ

ドビュッシー 版画♫~モニク・アース
ドビュッシー 版画♫~リヒテル
ドビュッシー 版画♫~アルゲリッチ


ピアニスト谷真子公式サイト

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