2015_09
04
(Fri)06:38

続室内楽を聴く楽しさ(モーツァルト弦楽五重奏曲)

<続室内楽を聴く楽しさ>~モーツァルト弦楽五重奏曲

今日はモーツァルト(1756~1791)の弦楽五重奏曲について書いてみようと思います。 

弦楽五重奏というのは通常は弦楽四重奏に中音部のヴィオラか低音部のチェロが追加されて演奏されるものをいいます。 弦楽四重奏の響きの純度に比べると、弦楽五重奏は中音部が分厚くなったり低音部が分厚くなったりしますので、音の絡み合いが複雑になり作曲される方には苦労が多いようです。

モーツァルトも弦楽四重奏曲は23曲作っていますが、弦楽五重奏曲は6曲しか作っておりません。 

今日は弦楽五重奏曲第3番ハ長調と第4番ト短調をまずご紹介しようと思います。
ヨゼフ・スークとスメタナ四重奏団
スメタナ四重奏団とヨゼフ・スーク

このCDにはモーツァルトの弦楽五重奏曲第3番ハ長調(1787年4月)と第4番ト短調(1787年5月)が入っております。  モーツァルトが31歳の頃の作品です。

モーツァルトは前年の1786年には「フィガロの結婚」がプラハで熱狂的に受け入れられており、弦楽五重奏曲第3番と第4番が作曲された1787年の10月にはプラハで「ドン・ジョヴァン二」を初演しています。
フィガロの結婚
フィガロの結婚全曲CD
ドン・ジョヴァン二
ドン・ジョヴァン二全曲CD

また翌年の1788年には7月に交響曲第40番ト短調、8月には第41番ハ長調「ジュピター」と傑作を作っています。
モーツァルト交響曲第40,41番
モーツァルト交響曲第40番、第41番~クーべリック指揮、バイエルン放送交響楽団

さて話を弦楽五重奏曲第3番、第4番に戻しますが、第4番ト短調は終始悲しく美しいメロデイが流れ完成直後亡くなる病気の父への気持ちを歌ったのではないかと思います。 次に第3番ハ長調ですが、モーツァルト弦楽五重奏曲の中ではこの曲を私は一番好んでいます。 モーツァルトの弦楽五重奏曲の中では一番壮大な世界なのではないかと思います。

モーツァルト弦楽五重奏曲第3番ハ長調、第4番ト短調~スメタナ四重奏団、ヨゼフ・スーク(第1ヴィオラ)
https://www.youtube.com/watch?v=FMRiMUYgzIw

演奏者のスメタナ四重奏団は1945年結成されたチェコの20世紀を代表する弦楽四重奏団です。 またヨゼフ・スーク(1929~2011)はドヴォルザークのひ孫にあたりプラハ音楽院出身のチェコのヴァイオリ二スト・ヴィオリストです。 正統派の気品のある演奏をされるヴァイオリ二スト・ヴィオリストの方です。

次はモーツァルトの弦楽五重奏曲第1番と第2番をご紹介します。
モーツァルト弦楽五重奏曲第1,2番

第1番は1773年17歳のまだザルツブルクにいる時に作曲された作品です。 イタリア的な明るい若々しい曲です。

第2番は1782年に作曲した「管楽せレナード12番ハ短調K.388」(管楽器による八重奏曲)を、弦楽五重奏曲第3番と第4番を作曲した後の10月に編曲したものです。

モーツァルト弦楽五重奏曲第2番(1787)
https://www.youtube.com/watch?v=V9SoZmUc6jU&list=PLs66GYnrLDSTa2qVRRwJeDarAN03gkYig

モーツアルト「管楽セレナード12番K.388」(1782)
https://www.youtube.com/watch?v=CWbWHUTBM9I

モーツァルト弦楽五重奏曲第1番(1773)
https://www.youtube.com/watch?v=0pv57oIQXxw&list=PLs66GYnrLDSS8_ZD2XBa7ssE6KIVucTyZ 

次は晩年の1791年に作曲された第6番をご紹介します。  モーツァルトはこの後クラリネット協奏曲K.622そして未完のレクイエムを作曲し同年35歳で亡くなります。 この曲には慕っていたハイドンの弦楽四重奏曲第39番「鳥」(1781)からの引用が多く、死を目前にしてハイドンに捧げたのではないかと言われています。 神童と言われたモーツァルトですが、晩年の作品にはその人生の音楽への研鑽の深淵さが滲み出ており人間がなぜこんなピュアで邪心のない曲を作れたのかとモーツァルトの難しさを改めて感じます。 

モーツァルト弦楽五重奏曲第6番(1791)
https://www.youtube.com/watch?v=x9m5TWfosyo&list=PLs66GYnrLDSRgyIEC1s4UCks1gkcbmwvN

ハイドン弦楽四重奏曲第39番ハ長調「鳥」(1781)
https://www.youtube.com/watch?v=O83w6rfdNTw

このハイドンの弦楽四重奏曲第39番「鳥」は、ハイドンの「ロシア四重奏曲Op,33」と呼ばれる6曲の弦楽四重奏曲の第3曲になります(1781)。 モーツァルトはハイドンの「ロシア四重奏曲」を聴いて刺激を受け「ハイドン四重奏曲」(ハイドン・セット)と呼ばれる6曲の弦楽四重奏曲をハイドンに捧げたと言われています(1782~1785)。 ハイドンはこの曲を聴いてモーツァルトの才能を高く評価しモーツァルトが亡くなった時イギリスにいたハイドンは大変嘆いたと言われています。 ハイドンのお葬式ではモーツァルトの「レクイエム」が流されたそうです。

モーツァルト「クラリネット協奏曲 イ長調 K.622」~カール・ライスター(クラリネット)
https://www.youtube.com/watch?v=8g7J9-VYgIs


明日は私の好きなモーツアルトのヴァイオリン・ソナタ第28番 ホ短調 K.304について書きます。 名曲ですので愛聴されている方も多いかと思います。
(門下のご家族の方で記事の中に出てきましたCDをお聴きになりたい方は生徒さんを通して受付までお尋ね下さい。)